リップル(XRP)はリップル社が発行した仮想通貨で、銀行間の国際送金を約4秒という速さと、格安の手数料で行うことができるという技術を備えています。橋渡しの役目があるリップル(XRP)は「ブリッジ通貨」とも呼ばれています。その技術がメディアにも取り上げられ、知名度が上がり、日本の大手銀行もすでにリップルネットワークに参加しています。そしてついに世界的にも最大級の大手国際送金サービスである「UAEエクスチェンジ」がリップル社と提携したことを発表しました。
銀行間の国際送金はコストがかかる
海外に旅行に行く際に、日本円から外貨に両替するだけでも、まあまあの手数料を取られると感じた経験があるかと思います。それと同じで、銀行間の国際送金も、手続きをする手間と時間がかなりかかる上に、仲介銀行に支払う手数料は、送る側にはそれなりのコストがかかります。しかし、リップルネットワークを銀行が使うことで、手間もなく格安の手数料で国際送金を行うことができます。
日本でも日経新聞などに取り上げられたことでリップルネットワークは知名度を上げました。それに乗じてリップルの価格はしばらく1XRP=20円台でしたが、知名度が上がったことで300円まで高騰したこともあります。現在は100円台で落ち着いています。リップル(XRP)は、リップル社の技術に注目した世界中の金融企業が注目している仮想通貨でもあります。リップル社の公式サイトにある『Ripple for Market Makers』にはRCL/XRPを使った価値交換の仕組みがマーケットメーカー向けに説明されています。現在はRCLにILPが統合されてことで原文の公開は停止されています。
UAEエクスチェンジとの提携を発表
アラブ首長国連邦の取引所であるUAEエクスチェンジは、リップルのブロックチェーン技術を採用して、リアルタイムの国際送金を実現しました。2018年2月11日、ツイッターでUAEエクスチェンジが国際間即時決済をリップル社と提携したと発表しました。
UAEエクスチェンジの最高経営責任者(CEO)であるプロモス・マグハット氏は、以前からブロックチェーンの熱心な支持者であり、金融分野に限らず全ての分野に対して可能性を持っていると、考えていたそうです。今回の契約により、UAEエクスチェンジを含め100社以上の銀行や金融機関が、ブロックチェーンネットワークであるRippleNet(リップルネット)に加わりました。これにより、銀行や支払いパートナーとの金融取引においてリアルタイムな送金が可能になります。
UAEエクスチェンジは低価格で即時性のある送金サービスを目指す
UAEエクスチェンジのマグハット氏はリップルと提携することで、さらなる革新的なサービスを導入することができたと、以下のように述べています。
「当社の成長戦略は、顧客中心のアプローチによって常に推進されてきており、今後も継続されます。リップルのブロックチェーンテクノロジーを当社の決済システムに組み込むことで、顧客はより多くの新しい決済を経験することになるでしょう。それは、革新的なテクノロジーを早期に導入することにより、競合優位性を持った低価格で即時性のある国際送金サービスを提供できるということです。当社は、リップルと共に将来の支払いを提供できることを誇りに思っています」
そのわずか数日前、UAEエクスチェンジは、電子顧客確認(e-KYC)の有効性のためのコンソーシアムに加わったことを明らかにしています。アブダビ国際市場の金融規制当局(FSRA)は開発を開始し、分散型台帳技術(DLT)は、プラットフォーム内のコア機能を支えると考えられています。UAEエクスチェンジは35年間にわたり、中東やインドを中心に31ヶ国800拠点で両替・国際送金サービスを提供してきた巨大金融企業です。1日当たり平均顧客数は40万人を突破しています。両替サービスで有名な「Travelex(トラベレックス)」と同じ株主を持っていることでも知られています。
出稼ぎ労働者が世界で3番目に多いアラブ湾岸地域における送金業界の発展は、国際的にも重要な意味を持っていると言えます。日本国内で生活していると国際送金する機会はあまりありませんが、海外への留学生や、日本に働きに来ている外国人労働者には国際送金の負担は大変なストレスになります。UAEエクスチェンジは広域にわたる世界有数の送金業社となっており、世界5大陸に800カ所に近い支店を抱えているので、業界に先駆けてリップルのような優れたサービス、ネットワークを取り入れるのは、必須にもなってくると思われます。
その他の企業とも提携を発表
その他にも、1月11日にマネーグラムという金融企業がリップル社との提携を発表し、その結果、国際送金サービスを取り扱っている米マネーグラム・インターナショナルの株価が急上昇したそうです。リップルとの提携が市場にはかなりの好印象だったようです。それだけリップル社の送金技術には世界が注目しているようです。またリップルは、2月15日に、世界的に有名は国際送金会社「Western Union(ウエスタン・ユニオン)」との提携を発表しました。
「ウエスタン・ユニオンはリップルの通貨であるXRPも実用化を視野に入れて様々なテストをしていると、ウエスタン・ユニオン広告担当者は発言している。銀行を介した資金送金プロセスは不要な要素が多く存在しており、送金において銀行は必要無く、XRP実用化に向けた方向性を後押ししてくれている」とリップル公式ページにて述べています。また2月に、リップルが新たに提携した南半球最大の銀行や送金業社を以下のように発表しました。
・イタウ・ウニバンコ:ブラジルのサンパウロに本社がある南半球最大級の銀行
・インドゥスインド:インドに拠点を置く銀行
・インスタレム:新ガポーツのフィンティック企業
・ビーテック:ブラジルの送金業社
・ジップ・レミット:カナダの送金業社
今回の提携が発表された5社は、リップル社が提供するプロダクト「xVia」と「xCurrent」のいずれかを採用する予定です。
・「xVia」 :送金情報や送金ステータスの提供
・「xCurrent」:金融機関間でリアルタイムのメッセージや送金処理ができるソフトウェア
UAEエクスチェンジで使われる仮想通貨はXRPではない
ここで1つ要注意なのが、UAEエクスチェンジがリップルネットワークで使用するトークンはXRPではないということです。あくまでリップツネットワークを使い仲介する手間や手数料などの削減を目指しています。この提携についてリップルのディリップ・ラオ氏は、「決済フローが大きい地域における不効率を解決することにしている。UAEエクスチェンジのような市場のリーダーがリップルネットに参加することで、アラブ首長国連邦における一般消費者が海外に送金する際、即座かつ確実、また低コストで決済できるようになる」としています。
それでもマグハット氏はリップルのブロックチェーン技術を高く買っており、今後の成長にも大きく関わってくるのではないでしょうか。リップルはビットコインのように価格が何十万と高くなる仕組みではありませんが、いくつかの日本の取引所でも取り扱っています。将来性を見越して保留して置くのもありの仮想通貨と言えます。