11月中旬にビットコインからの分裂を予定していたSegwit2xですが、11月9日に突然の公開中断が発表されました。Segwit2x推進グループ代表のマイク・ベルシェ氏(ビットコインウォレット企業・米BitGoのCEO)は、「我々はブロックサイズ拡大の必要性を強く信じているが、さらに重要なのは、コミュニティーの絆を保つことだ。われわれが十分なコンセンサスを構築できていないことは明らかだ。分裂を強行すると、コミュニティーを分裂させてビットコインの成長を後退させる可能性がある。これは決してSegwit2xの目標ではない」と発表し、完全なる中止ではなく導入の延期を決定しました。
この声明には、5月に取り決められたSegwit2xニューヨーク合意に参加したBTC1クライアントのジェフ・ガージック氏、Xapoのウェンセス・カサーレスCEO、Bitmainのジハン・ウーCEO、ブロックチェーンのピーター・スミスCEO、Shapeshiftのエリック・ヴォーリーズCEOが名を連ねています。SegWit2xの中核陣が迷いを見せている中、マイニングプールViaBTCの提供サイトCoin.danceのViaBTCが生成したブロックのコインベース取引テキストから「NYA」の文字列が消えており、トップページに掲載されているカウントダウンからはSegwit2xの今後の動向を伺う姿が見られます。Segwit2xは各方面から多くの期待と不安を集めていただけに、市場に与える影響は大きくなりそうです。
強硬派はSegwit2xのハードフォーク継続を主張
11月9日のSegwit2xハードフォーク中断表明に抗議する匿名人物により、抗議サイトbitcoin2x.orgが立ち上げられました。サイトの運営は「我々はハードフォーク計画の継続を決定した。ビットコインの運命を6名の個人にコントロールされることは許容できるものではない。予定日は変わらず、11月15日だ」と声明を発表して予定に沿ったSegwit2xハードフォークによるBitcoin2x分裂の継続を求めています。
bitcoin2x.orgを分析
TOPページ
トップページに記載されているイラストと「When moon」(意訳:目的を見失った)という文章が、彼らの心境を表しています。チープに感じてしまう内容ですが、Bitcoin2xを皮肉った表現と取ることができます。しかしサイト全体で見た構成はBitcoin2xを肯定的に受け取る表現をしているので本心は未だにBitcoin2xを信じたいのでしょう。例えるのなら、アイドルの引退発表を知ったファンの心境とも言えそうです。
Introduction(前書き)
「Introduction」の「You need to Know」内を見ると、Segwit2xを取り扱う上でのリスクとしてSegwit2xはまだ実験的な技術であるとの記載があります。他にも流動性のリスクなど、仮想通貨を扱う上での一般的なリスクに関する記載があり、サイトの公平性を保とうとする姿勢がうかがえます。
Resources(情報)
Bitcoin2xの取引をサポートする取引所を3か所、サポートする可能性のある取引所を2か所紹介しています。他の項目を見ると非常に役立つ予備知識が記載されており、訪問者にBitcoin2xの知識を深めてもらい、その便利さを知って支持者になって貰おうという考えが現れています。
Innovation(革新)
この項目では、Bitcoin2xの決済システムに関して掘り下げています。その中で特に気になるのが下記の文面です。この文面以外においては全て、ビットコインで成し遂げられるものですからBitcoin2xだからできる革新とは言えません。つまり、運営にも決済における特徴把握はできていないのですが、サイト訪問者に関心を寄せてもらう為の項目なのでしょう。
【原文】
The potential of Bitcoin2x is still being explored, and some of the most interesting applications may not even be discovered.
【日本語訳】
Bitcoin2xの可能性はまだ探究されており、最も興味深いアプリケーションのいくつかは発見されないかもしれません。
Participate(参加する)
Support Bitcoin2x(Bitcoin2xのサポート情報)、Buy Bitcoin2x(Bitcoin2xの購入方法)の2つに分かれています。現在はBitcoin2xの分裂が中断となった為に購入することはできません。それでも購入ページを用意する理由にはいつでも対応できる準備があるという現れに取れます。
FAQ
FAQにも彼らの姿勢が表れています。
「What is the Hardworkに記載内容の意訳」
各フォークは、元のブロックチェーンをサポートし、将来の方向の独自のバージョン(更新を含むかどうか)をサポートします。
「Why is the fork happening?に記載内容の意訳」Bitcoin2xフォークは、トランザクションごとにブロックサイズを1MBから2MBに倍増させました。Bitcoin2xの主張は、Bitcoinを拡張するのに役立つということです。オリジナルのBitcoinにはいくつかの固有のスケーリングの問題がありました。ブロックが大きくなると、トランザクションを挿入して次のブロックに挿入しようとする競合が少なくなります。これは、各ブロックでより多くのトランザクションを意味します。これにより、ネットワークでの取引手数料およびスループットが低下します。理論的には、これはBitcoin2xを誰にとっても安くて使いやすくします。主流の採用を増やし、Bitcoin2xを毎日より頻繁に使用するようにすることを目的としています。
この項目でBitcoin2xは素晴らしいという事を伝えたい様子です。確かにハードフォークによって引き起こされる事実なのですが、Segwit2xの開発はマイク・ベルシェ氏一人で行われており、ソースコードもほとんど検証されていない状態です。残念ながら、このFAQに記載できるほどの確固たる仮想通貨にはなり得なかったのです。
Bitmain CEOのジハン・ウー氏がbitcoin2x.orgを批判
【和訳】
bitcoin2x.orgのドメイン管理者は誰でしょうか? どこにソフトウェアのコードがあるのでしょうか。SW2xは、いわばUAHFのようなものです。まあ、フォークしても何十億年とかければブロックは解けるでしょうが。
ジハン・ウー氏はbitcoin2x.orgには不透明な点が多すぎると指摘しています。ウェブサイトのドメイン管理者は不明であり、セキュリティポリシーの記載はあるもののクリックしても404エラーが表示されて該当ページが削除(?)されていて見つかりません。
実際、マイナーがついてこないならばハードフォークは発生しません。ジハン・ウー氏はこの抗議サイトに対して「本件は単なるいたずらと見てもいいだろう」と語っています。
本家ビットコインが大打撃、相場の急落が止まらない
Sagewit2xハードフォークによるBiton2x配布の期待からビットコインを購入していた投資家たちがハードフォーク失敗を知り、ビットコインから資金を引き揚げています。その影響で11月11日の夜10時には、ビットコインの相場が一瞬70万円を割る事態となり、この3日間でその価値を20%程度下げる事態となりました。グラフを見ても投資家心理が反映されており、不安を示すギザギザな線を描いています。このような市場心理では今後突然相場が急落する恐れがある為に、今後のビットコインの動きには特に注意が必要です。
ビットコインキャッシュ、Segwit2xの影響で相場が高騰
Bitcoin1x(今のビットコイン)とBitcoin2x(Segwit2x)はどちらも長所短所が逆であり、Bitcoin2xが採用されるとBitcoin1xが消えてしまう可能性があるのが今回のハードフォークです。今回はたまたまハードフォーク中断によりBitcoin1xの価値が保たれましたが、現在抱えているネットワークの負担などの問題は解決されておらず今後のビットコイン価格がどうなるか見通しが立ちません。
そのなかで、本家ビットコインに一番近いシステムを採用しておりネットワーク負担の軽いビットコインキャッシュが注目されています。11月11日にはBitcoin2xの迷い人が流れた為に70,000円程度だった相場が50%アップの140,000円までに高騰しており、第二のビットコインになりつつあります。投資家たちが取るべき行動は、ビットコインキャッシュに資金をかけるか、買いや売りのポジションを取らずに一旦現金に逃がすのが賢明でしょう。