2018年現在、仮想通貨業界には新しい仮想通貨が続々と登場しています。その中には国家公認の仮想通貨というのも存在しており、その代表格なのがMAXBOXです。新しいICOの「MAXBOX(マックスボックス/単位:MBX)」は現在、トークン・プレセール中です。
MAXBOXはフィリピンでICOを行い資金を集め、フィリピン政府公認の仮想通貨取引所開設やフィリピン国内でのICOをサポートするプラットフォームを築くことなどの各種事業を展開する計画を持っています。すでに、ホワイトペーパーが英語版と日本語版で提供されており、大型案件として注目されています。
すでにMAXBOXのHPで事業予定などは確認することができます。購入できるMBトークンの提供は、2018年10月を予定しています。最終目標としては、フィリピンの証券取引所SMBボードに2022年の上場を目指すとしており、大きな成長が期待されています。
MAXBOXは「フィリピンのための仮想通貨」
MAXBOXはフィリピン政府が推し進めるICOプロジェクトの名称で、「フィリピンのための仮想通貨」です。将来はフィリピン政府の公認を得て仮想通貨取引所を開設し、日本ではZaifがCOMSAで行っているような、ICOでスタートアップ企業の資金調達をサポートできるプラットフォームを構築するという、はっきりした目標があります。
フィリピンには現在、仮想通貨を売る販売所はあっても、セキュリティがしっかりしていて安心して交換できるような取引所は、まだありません。MAXBOXは仮想通貨でありながらフィリピンの金融機関と連携し、また、フィリピン国内の小売業や運送業などと協力しながら、法定通貨の「フィリピン・ペソ」並みの使い勝手の良さを確保して、社会の中で広く流通させることを目指しています。つまり、MAXBOXの発行によって国の経済インフラの一角を担おうとしているわけです。
MAXBOXの発行上限は1億MBXに設定。MAXBOXの技術面では基本プラットフォームにイーサリアム(ETH)のそれを採用し、ビッグデータと人工知能(AI)を活用しながら、データ処理を効率的に行います。とりわけ、2030年には全世界で2兆円規模の市場になると予測されているAIは企業内部の情報処理、たとえば企業分析やその評価、財務や人事管理のサポートなどでも活用されるようになることを想定しています。
具体的には「AIによるビッグデータの収集と、関連づけ、マッピング」「リアルタイムな情報収集と、最先端の手法による企業分析、評価(格付け)、財務、取引先、リスクマネジメント、キャッシュフローの最適化」「ブロックチェーンとスマートコントラクトに基づく契約の担保と、セキュアで確実な取引実行」を、自動的に行います。ビッグデータとしては消費者のSNSや社会的なデータも取り込むほか、人事管理では、社員のメールやチャットなどの分析、評価、人材配置の最適化もAIが行います。企業にとっては頼りになる経営支援ツールと言えるでしょう。
フィリピンにゆかりがある仮想通貨としては「NOAHコイン」「PGC」「HEROコイン」などが挙げられますが、MAXBOXのように国の経済発展にこんなに密接に関係しようとするのは初めてです。
MAXBOXの味方につきそうなのは政府や金融機関だけではありません。マスメディア、出稼ぎ準備のための語学関連企業やその労働者団体とも提携し、フィリピン経済に大きな力を持っている「財閥(コングロマリット)」や不動産関連企業にもアプローチしています。さらに日本企業でも、フィリピン国内でネット通販モールやサービス系ポータルサイト、求人サイトを運営する楽天、リクルートがMAXBOXと提携しました。
MAXBOXで「出稼ぎ大国」ゆえの海外送金の需要を狙う
MAXBOXが目指すのは、政府も公認する信頼性のある金融プラットフォームを築いてフィリピンの経済発展に貢献することですが、ここでフィリピン経済の現状と将来性と特別な事情についてご説明します。
フィリピンはASEAN(アセアン/東南アジア諸国連合)の加盟国で、APEC(エイペック/アジア太平洋経済協力)のメンバーでもあります。首都マニラにはアジア開発銀行(ADB)の本部があります。GDP成長率は2018年の予測では6.6%で、アジアでは第2位です。東南アジアではベトナムやミャンマーにも負けないぐらいの経済成長を続けています。
東南アジアはインドネシアやマレーシアやミャンマーもそうなのですが、フィリピンの潜在的な可能性として多くの人が指摘しているのが「若い人が多い国」だという点です。人口ピラミッドは若年層ほど多くなるきれいなピラミッド型で、高齢者ほど人口が多くなっている日本とは正反対です。ですからこの先も人口の増加が期待でき、国連では現在約1億人の人口は21世紀には日本を追い抜いて1.5億人を超えると予測しています。
しかし、経済が発展しても若年層の人口増加に追いつかず、国内での就職先が限られているため、公用語の英語ができる若い人はどんどん海外へ出稼ぎに出て行きます。必要な研修を行うなど政府も後押ししてきたので、国外労働者の数は約40年の間に60倍以上の224.2万人にふくらみました(2013年)。出稼ぎの職業としてよく知られているのがフィリピン人女性の家政婦(メイド)さんで、世界じゅうの家庭で仕事をしています。
彼らはフィリピンにいる家族に送金するので、海外送金の受け入れ額は約280億米ドルと、インド、中国に次ぐ世界第3位の規模があり、それが個人消費の活性化を通じて経済成長に貢献しています。ところが、外貨送金の受け入れが可能な銀行口座を開いている人はフィリピンの総人口の3割程度しかなく、それ以外の人たちは仲介業者に高い手数料を取られ、時間がかかっています。海外送金や両替の手数料が安くなり時間もかからないMAXBOXはまさにその良き解決策で、NOAHコインやPGCが伸びたように、フィリピンでは歓迎されています。
MAXBOXは約1,000万人の個人情報を扱う出稼ぎ労働者の統括団体と提携し、銀行口座を持っていない人でも海外送金が受けられる専用ウォレットを提供することで、この大きなマーケットに食い込もうとしています。
フィリピンを「アジアのシリコンバレー」に
HP上では、MAXBOXの事業展開について、第1フェーズと第2フェーズに分けて説明されています。まずは既存の仮想通貨を取引できる仮想通貨取引所を開設し、第2フェーズでICOプラットフォームをリリース予定となっています。仮想通貨取引所が開設されれば、仮想通貨の購入から送金と受け取り、決済などもできるようになる予定です。
4月1日から始まったMAXBOXのトークンプレセールは1000万MBXの発行を予定していて、4月30日に終了します。日本語の公式サイトも開設し、日本にもビットコイン、イーサリアムによる送金・投資を呼びかけています。購入ボーナスに早期購入ボーナス5%を加えた合計ボーナス率は、100万円相当以上が6%、300万円相当以上が7%、500万円相当以上が8%、1,000万円相当以上が9%、3,000万円相当以上が10%となっています。MAXBOXのトークン・プレセールのプレミアム率は最大10%ありますが、それを保有し続けることで、取引所から得る手数料収入の10%が毎月、トークンホルダーに付与されるというインセンティブも受けられます。
MAXBOXのその後のスケジュールは、2018年4月中にフィリピン政府公認の仮想通貨取引所「MB EXCHANGE」が開設される予定です。「ウォレット」「販売所」「取引所」「取引管理」「顧客管理」「レポート」などの機能を提供し、MAXBOXのほかビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、フィリピン・ペソが主要なペア通貨になります。10月には海外の仮想通貨取引所でICOを実施して〃世界デビュー〃します。
2018年12月にはスタートアップ企業のICOによる資金調達を支援する目的で独自のプラットフォームを立ち上げます。ICOしたトークンはMB EXCHANGEで上場させるので、上場先に困ることはありません。もちろん信頼性を維持するために、支援先企業のビジネス・デューデリジェンスは事前にしっかりと行い、支援先の財務サポートや人材育成も行います。目指しているのは、フィリピンからベンチャーが次々と立ち上がって世界的な有名企業も輩出する「アジアのシリコンバレー」になることです。
2019年には「MAXBOXファンド」を設立して、マニラ、セブ、パラワン、ダバオなど主要都市の都市開発プロジェクトに投資・参入する予定になっています。インフラ投資は東南アジアでは重要です。また、フィリピン国内の銀行との提携やM&Aも想定しています。既存の金融サービスに仮想通貨を活用したり、仮想通貨を活用する新しいインフラを提供するようなスキームです。MAXBOX自体も2022年にフィリピン証券取引所(AMEボード)への株式上場を目指しています。上場すればMAXBOXは名実ともにフィリピンを代表するような企業になることでしょう。
HPで事細かな事業計画と具体的なスケジューリングが把握できるので、MBトークンの購入を検討する方はじっくりと熟読することをお勧めします。開発が進んでいけば、MBトークンの価値も上がっていくので、期待している投資家は多いようです。
MAXBOXが最終的に実現したいゴール
MAXBOXが最終的に実現したいゴールは、銀行口座もクレジットカードも消費生活も海外送金も医療も不動産も投資も求職・求人も、全てを一つにまとめた「スマートウォレット」のサービスです。しかし、そこに至るまでのアプローチはまだ始まったばかりです。MAXBOXのホワイトペーパーの目論見通りにプロジェクトが成功をおさめるかどうかですが、そこには当然、リスクが伴います。
他の仮想通貨との競合リスクも、日本で問題になったネットワークセキュリティ上のリスクも、南部でイスラム過激派が活動しているという地政学的なリスクも、「アジアのトランプ」ことドゥテルテ政権の政治リスクもあります。熱帯のフィリピンは台風の通り道で、火山の噴火や地震も多発し自然災害が経済に何度も大打撃を与えてきた歴史もあります。MAXBOXは外国の経済を支えようという仮想通貨ですから、日本とは事情が異なる点が多々あることも考慮に入れる必要があります。
MAXBOXの将来性について
MAXBOXの魅力は、事業計画が緻密で、具体的な数値を用いたシミュレーションがすでに提示されている点です。MBトークンの価格上昇については5年間で32倍と想定されています。
さらに、MAXBOXの強みはすでに日経大手IT企業やフィリピンの銀行など具体的な提携先が想定されている点です。国内の金融機関との提携が進めば、独自トークンの発行やデビットカードなどとの連携も予定されていて、金融インフラの促進が見込めます。AIを活用した企業分析などの情報提供等も進めていく予定で、企業の経営支援なども事業計画に含まれており、事業拡大のイメージもつきやすいのが投資家の目にとまっています。
フィリピンは、GDP成長率も6%を超える経済発展の目覚しい国です。今後35年でもっとも経済成長するであろうと見込まれている国でもあります。そんなフィリピンに関連するICO案件ということもあり、MAXBOXの注目度は高いのです。出稼ぎ労働者が多く、海外送金の利用度も高いことから、今後仮想通貨の利用も増加すると見込まれています。