外貨獲得のために行なったタックスヘイブンによって金融依存体質へ

キプロス共和国はトルコの南に位置する地中海に浮かぶ島国で、山形県ほどの面積の中で約80万人が暮らしていますが、そのキプロス共和国はバカンスとしてヨーロッパからの旅行客が多く訪れる国になっているので、主な産業は観光業となっています。

キプロス共和国は一時期タックスヘイブンとして知られていた時期もありました。タックスヘイブンは税金を無くしたり低い税率にしたりすることによって、外国から資産などを誘致することによって外貨獲得を行なっていこうとする国家や地域の施策をいいます。タックスヘイブンを行なっている国や地域の特徴は、国土面積が狭くて主な産業が少なく独自の産業で立国することが難しいために、外貨獲得のための国家プロジェクトとして行われていることが傾向としてあります。

国土が狭いキプロス共和国も観光以外の外貨獲得源を得るために法人税率を4.25%と低い税率にしていましたが、2004年にEUへ加盟することによって法人税率を10%まで引き上げ、現在は12.5%となっています。しかしそれでもEU加盟国内では低い税率であったため、イギリスから資格をとった弁護士や会計士が多く開業していたり、ロシアなどの企業がキプロス共和国に設立した会社を経由して投資などを行なっていたり、FX会社をキプロス共和国に設立してFX事業を行っている会社も多く存在していて、FX事業などの金融も産業のひとつになっていて、その結果キプロス共和国のGDPに対して約8倍に銀行資産が膨れ上がっていて、金融経済に過度に依存する国家体質になっていました。

キプロス危機による支援受け入れを巡り混乱

キプロス危機が教えてくれたビットコインの可能性このように金融に依存しすぎたキプロス共和国に、その後キプロス危機が訪れることになりました。キプロス共和国は2004年にEUに加盟しましたが、その後の2008年にリーマンショックが発生し、キプロス共和国内で営業していた金融機関の多くが経営に行き詰まり、キプロス共和国からの公的支援が必要となってしまう金融機関が現れてきて、その結果175億ユーロ(日本円で約2兆円)の支援額に膨らんでしまいました。そのことによってキプロス共和国は2012年に一旦EUに支援を求めましたが棚上げにされ、2013年3月に入ってようやくEUとIMFは100億ユーロの貸し出しを決定することになりました。

しかしキプロス共和国内にある銀行に預けている預金から課税を行なって、そのことによって預金者から58億ユーロの返済を求めてきたために国内の反発が高まり、一旦キプロス議会はこの支援案に対する法案を否決しました。このことによりキプロス共和国のユーロ離脱が噂されるようになりましたが、アナスタシアディス大統領がEUと交渉を行ない支援案に合意に至りユーロからの離脱は回避されました。しかしその結果キプロス危機による混乱が生じてきて預金の引き出しなどが急増してきたため、キプロス共和国政府は預金の引き出しや外国への送金を制限する資本規制をユーロ圏で初めて実施するに至りました。

資本規制を回避するためにビットコインに資金が流入

ビットコインは通貨ではないために資本規制の対象外となることで、EUやIMFによる支援案が出されてから受け入れて資本規制がされるまでの間に、自らの資産を守るためにロシアなどから入ってきていた資金をビットコインに交換するようになりました。そして預金の引き出しや外国への送金を制限する資本規制がなされるようになってもビットコインに資金が流れていく傾向は続いていき、その結果ビットコイン専用のATMが世界で初めてキプロス共和国内に設置されるまでになりました。

同じ時期にギリシャなどでも金融危機が発生しEUへの支援を求める国がありましたが、キプロス共和国では2015年に銀行システムは正常に機能するようになり資本規制は解除されましたが、キプロス共和国内で倒産する銀行が無く金融危機から抜け出すことが出来た要因に、資金をビットコインに移行したりビットコイン専用のATMを利用したりすることで、実際の通貨が使えなくなるリスクを回避することが出来たことにあるということが出来ます。

現在株価は上昇を続けリーマンショック以降の最高値をつけていて、為替も円安になってきていますが、北朝鮮やその他の状勢によっては新しい危機が生まれてこないといい切ることは出来ません。実際80万を越えた今のビットコインを安いとは到底いうことは出来ませんが、まだ安い仮想通貨を探してその仮想通貨に投資しておくことがもしものときのリスク回避になるということは、キプロス危機が教えてくれているといえます。