仮想通貨イーサリアムのフォークで価格が上昇するという予測が多く報じられていましたが、予定より遅かったため目立つ動きはありませんでした。しかしビットコインの上昇に隠れて静かに上向きになっていました。すでにフォークのカウントダウンが始まっているということです。ビットコインが分岐し新通貨ビットコインキャッシュになった流れと同じことがイーサリアムでも起ころうとしています。今回はフォークによって、時価総額2位の仮想通貨であるイーサリアムが、今後どのくらい変わるのかを説明していこうと思います。
仮想通貨のフォークとは?
フォークとは「分岐」という意味です。ブロックチェーンがフォークするということがニュースで流れると思いますが、これは「ブロックチェーンが分岐する」という意味になります。ブロックとは限られた容量を記録しておくところになり、ブロックチェーンとはこのブロックが鎖のようにつながれたことを言います。仮想通貨では管理者がいない代わりに厳格なルールが存在します。仮想通貨のフォークではこの厳格なルールをアップデートをすることによって新しいものに変えるという方針になります。そしてこのフォークの中にも2種類のフォークが存在します。「ソフトフォーク」「ハードフォーク」この2種類のフォークで成り立っています。
ソフトフォークとハードフォーク
ソフトフォークとは互換性のあるアップデートのことです。イメージはウィンドウズのアップデートみたいなもので、アップデートをした後でもデータがそのまま残されています。ブロックチェーンの仕組みは分かりやすく例えると、〇が旧ブロックで●がアップデート後の新ブロックだとします。
〇〇〇(アップデート)⇒● アップデートをするとブロックが減ります。
●●●●●●● 事前にこういったブロックが生成されます。
上記の通りでソフトフォークすると当然ブロックは分岐することになります。つまり旧ブロック〇を残しつつ、新ブロック●が増えていくのですから2種類のブロックができることになります。ただし、ブロックチェーンには「最も長いブロックチェーンを有効にして、短いのは無効にする」という厳格なルールがあります。なのでソフトフォークは分岐したとしても新ブロックが増えれば増えるほど旧ブロックはなくなっていくので新通貨ができることはないのです。
ハードフォークはソフトフォークと逆で、互換性がないアップデートになります。ハードフォークのブロックチェーンは前述を参考にすると、〇⇒旧ブロック、●⇒新ブロック
① アップデート後の旧ブロック
② アップデート後の新ブロック
① 〇⇒〇●●●●●
② ●●●●●●●
となるとハードフォークももちろん分岐します。そして①と②は全く違うブロックチェーンになるので「新通貨」が誕生することになります。
① 旧ルール採用
② 新ルール採用
このようにハードフォークすると、旧ブロックが新通貨になり、新ブロックがオリジナル通貨になります。つまりこれをビットコインとビットコインキャッシュに置き換えると「ブロックチェーンが増えれば増えるほどコインの値段が上がる」ということになるので、ビットコインは参入者が増え、新ブロックがどんどん積み重なっているので現在の値段が約60万と高騰しているのです。
イーサリアムハードフォーク
仮想通貨イーサリアムのフォークについては4段階で完了するということがすでに発表されています。現在は第三段階のハードフォークのために段階的なフォークが行われる予定です①フロンティア②ホームステッド③メトロポリス④セレニティという4段階のフォークに名前がそれぞれあります。今回は③のメトロポリスのハードフォークですが主要な二つを含んでいます。ByzantiumとConstantinopleeという二つのリリースに分類されており今回は最初のByzantium(ビザンチウム)が行われます。そしてSNSやニュースなどではこのビザンチウムのフォークのカウントダウンが報道されています。イーサリアムネットワークが437万ブロックでハードフォークを行っています。
イーサリアムのハードフォークは、ハードフォークアップデートと呼ばれ、新しい通貨が生まれるわけではありません。ビットコインが分岐したときはビットコインキャッシュという、まったく新しい仮想通貨が生まれましたが、イーサリアムの場合は、開発コミュニティの同意のもと、ハードフォークアップデートをしているため、新しい仮想通貨は生まれず、仕様の変更のみということになります。
まずテスト段階では、フォークのための9つのテストが実施されると報道しておりましたが、公式では8つのアップグレードが表示されています。具体的には匿名性、セキュリティの強化やスマートコントラストの単純化、手数料の予測可能性の向上(マイニングの簡易化)などです。
今回は重要な2つのことを説明します。
「匿名性、セキュリティの強化」
今回のメトロポリスの段階のアップデートは最も重要だとされています。今回イーサリアムのハードフォーク段階メトロポリスでは「ゼロ知識証明」が注目されています。簡単に言えば初心者でも参入ができセキュリティ、匿名性の向上がさらに実行されるということです。またここで出てきた「ゼロ知識証明」は仮想通貨ZCASHの暗号ツールを採用しております。ZCASHは匿名性が高い通貨で有名ですが、この「ゼロ知識証明」はZCASHの開発者と共同で開発したと発表されています。
つまりメトロポリスが実行されイーサリアム自体の仮想通貨としての機能が向上すれば、ZCASHの信用もあがるということです。ZCASHは現在そこまでの値上がりは見せていませんが今後メトロポリスの実行により値段が上がることは間違いありません。
「マイニングの簡易化」
イーサリアムのブロックチェーンにおいて実行されるオペレーションには、そのオペレーションの計算上の複雑さに基づいてそれらのアクションの実行に関連するコストが存在します。つまりアクション一つ一つに手数料がかかるということです。現在ではユーザーがアクションに使用する手数料を自己管理しなくてはいけないため、マイニングした仮想通貨よりもマイニングコストがかかってしまう場合があります。しかし今回、メトロポリス実行によりその時のネットワーク状況を考慮した手数料が自動で算出されます。これにより特に大量のトランザクション実行時の手数料を把握する可能性が向上します。全体的にマイニングにかかるコストを抑えて仮想通貨取引の処理が早くなります。
メトロポリスのビザンチウム実行の現実的な利点
●投資家の利点
まずメトロポリスのビザンチウム実行による利点としてはハードフォーク後のブロック報酬が1ブロック3ETHになります。1ETH=37000円になりますので1日に1ブロック開拓しても111000円になります。全世界のイーサリアムのマイニング参加率を考えると1日1ブロックを約5500人が開拓したとするとイーサリアム全体の売り圧は1日で約6億円にも上がります。これを考慮するとイーサリアムの下落を4割は軽減することになるので今後は仮想通貨投資をする人がイーサリアムを購入する場合が増え、さらに価格があがり、いいサイクルになると考えられています。
●初心者の利点
現在時価総額ランキング2位に君臨するイーサリアムですが、価格は1ETH約37000円です。この金額はサラリーマンの一か月の貯金額、おこづかいに類似します。となれば先ほど説明した投資家の利点を踏まえると「価格が下落しにくい」=「安全性が高い」になります。そしてフォークなどで機能がアップデートしていくことを考えると、今後の伸びしろは大きく、定期預金の数倍は利率が高く貯金感覚で投資ができるということになります。参入しやすく、安全性を備えているということで初心者でも中期スパンで貯蓄型の資産運用ができるという考えに至ります。
今後のイーサリアムの動き
今後のイーサリアムの動きはハードフォークによってリスクよりもメリットのほうが大きいということがわかりました。そしてハードフォークの前例でビットコインとビットコインキャッシュがあります。ビットコインが分岐してから値段が落ちることはなく倍近くまで高騰しました。この成功体験を元にした2回目のハードフォークとなればイーサリアムもおのずと高騰する可能性が濃厚になってきます。実際ハードフォークが4段階まで成功したときには今後また新通貨の誕生があります。このことを踏まえると今後の仮想通貨の動きが可能性に満ち溢れていることがわかります。