新しいICOの「REGAIN(リゲイン/単位:REG)」は現在、トークンセール中です。ICOの目的は、研究開発など必要な資金を調達してビットコイン(BTC)のマイニング(採掘)用マシンメーカーREGAINのシェアを拡大し、現状のある企業による独占状態を打破して、ビットコインの価値、つまり交換レートを安定させることです。

マイニングマシンの世界は事実上独占状態

仮想通貨REGAIN(リゲイン)の将来性REGAIN(リゲイン)は英語で「なくしたものを取り戻す」「奪還する」「回復する」といった意味です。同名の日本の栄養ドリンクとは関係ありません。REGAINは、すでに存在している仮想通貨のマイニング(採掘)用マシンメーカーの名前でもあります。高性能PCを仮想通貨のマイニング用に製造・販売しています。

そんな会社がREGAINのICOを実施して資金調達して何をしたいのかというと、自社製品の市場シェアを伸ばして、現在のマイニング用マシンの他社による独占状態を打破することです。「商売がたきを倒すためにICOをするのか?」「民間企業なら、資金を調達したければ製品を売った利益から捻出したり、新しい株式を発行したり、銀行から借り入れすればいいではないか?」と思うかもしれませんが、そこには仮想通貨の元祖にして王者ビットコイン(BTC)にまつわる、ある「大義名分」があります。

それは「マイニングマシンで一企業の独占を許すと、ビットコインの価値つまり交換レートが安定せず、ビットコインのユーザーは不利益をこうむる」というものです。仮想通貨REGAINのICOには、ユーザー主導のビットコイン市場を取り戻してビットコイン市場の安定化を実現する「社会的な意義」があるのだと言っています。

仮想通貨のマイニングはマイニング機関(マイナー/mainer)が行いますが、それには広い土地(マイニングプール)、高性能のマイニングマシン(マイニングPC)と、マシン稼働に伴って発生する熱を冷却するために大量の電力が必要です。気温が低いので消費電力が節約できるとロシアやカナダや北欧はマイニングプールの誘致に熱心です。

電力以上に重要なのはマイニングマシンの能力で、ビットコインのマイニングの現状について言えば、市販されているASICマシンのスペックでリードしている中国のビットメイン(Bitmain)社1社がシェアの約7割を占めている独占状態です。中国には同社直営の巨大マイニングプールがあり、長江・三峡ダムの世界最大の水力発電所から安価な電力の供給を受けています。ビットメインは民間企業ですが、そのバックには仮想通貨の世界で覇権を握ろうと狙っている中国の国家戦略があるといわれています。

REGAINが「打倒ビットメイン(=打倒中国)」をうたう理由として示しているのは次のようなシナリオです。

「ビットメインは意図的にマイニングマシンの能力を落としてビットコインの送金速度を遅らせることができ、それによりビットコインの価値を操作することができる。暴騰させるのも暴落させるのも彼らの思いのままだ」

ホワイトペーパーでは、2017年8月に行われビットコインキャッシュ(BCH)が誕生したハードフォーク(分岐)を問題視しています。この時、ビットコインは決済に必要な時間が遅いという問題を改善するソフトフォークを考えていましたが、ビットメインはハードフォークを強く推奨してそれに変えさせ、ビットコインの交換レート暴落で利益を得たと非難しています。

マイニング市場を制するビットメインの意向を無視すれば後が怖いのを利用して、インサイダー取引まがいなことをやっていた「危険な存在」は「A社」だと匿名にされていますが、ビットメインを指すのは火を見るよりも明らかです。そして本当に言いたいことは「ビットコインを中国政府に支配されてもいいのか?」です。

REGAIN(リゲイン)は2019年頃にシェア80%のトップシェアに?

ビットコインのマイニングの独占状態を打破する目的で作られた仮想通貨REGAINビットメインと中国政府によるビットコイン支配を目論む〃謀略〃が本当にあるかどうかはともかく、REGAIN(リゲイン)はビットコインの「公平性」「平等性」「透明性」「安全性」「健全性」と、その価値の「安定性」を取り戻す(REGAINする)ことを主張しています。

そのためには、マイニングマシンにおける自社の市場シェアをもっと伸ばし、〃悪〃のビットメインの一強独占状態を崩して正しい競争が復活するが必要で、それこそ〃正義〃であり、そのプロジェクトに必要な資金を調達するICOに参加してくれる投資家は〃正義の味方〃である、と言いたげです。

REGAINのダン・アフレックCEOはIBM出身ですが、実はビットメインの創業当時にマイニングマシンの開発に関わった技術者でした。その子会社でマイニングプールを運営するアントプール社にも在籍し、REGAIN流の論法で言えば、悪の組織の内部をよく知りながら、そこを離れてあえて正義の側につき悪の組織に挑戦するという、まるでアメコミヒーローのような経歴を持つ人物です。

彼が率いる〃正義のプロジェクト〃は、すでに動いています。REGAINのASICマシンの性能は、同じ電力消費であれば他社製品にまさるような発掘速度(ハッシュレート)をあげています。発掘の速さでより多くの報酬獲得を狙いながら電力コストも懸念しているユーザーであれば乗り換えが望めるような水準です。

シェアはビットメインに次ぐ第2位まで上がりましたが、もっと高性能なマイニングマシンを研究し、ビットメインをしのぐパフォーマンスのマシンを開発して市場シェアをさらに伸ばし、コストが安くてサービスが充実したマイニングの新しいスキームを実現するのに必要な資金を仮想通貨REGAINのICOで得ようとしています。調達額の92%は研究開発費にあてられます。

REGAINはシェアの80%を握ってトップシェアに躍り出る時期を「2019年頃」と明言しています。数ヵ月刻みでより高性能なマシンがどんどん登場する世界ではありますが、なかなか強気です。

マイニングマシンでビットメインの一強独占が崩れ、「健全な競争」が復活してビットコインのマイニングが「正当で」「正常な」ものに変わった時には、ビットコインは資産としての価値が上がり、長期的な投資対象に変わり、決済通貨としてのリスクが小さくビジネス参入がしやすい存在になれるという青写真を、REGAINは示しています。

ただし、投資家は全員がビットコインの交換レート安定化を望むわけではなく、激しく上下動する不安定な値動きに投資妙味を感じる人もいます。また、最近ビットコインが乱高下したのは各国の仮想通貨規制の動き、取引所のトラブル、他の仮想通貨のスキャンダルなども複雑にからんでいるので、一概にビットメインだけが悪いとは言い切れません。

REGAIN(リゲイン)には毎月マイニング報酬がもらえるおいしい特典

ICOのトークンセールはREGAIN(リゲイン)公式サイトで受け付けていて、日本語版もあります。REGAINの発行量上限は6万5,000REGです。ビットコイン(BTC)で参加できます。

トークンセールは4つの段階に分かれて実施されます。2017年12月から始まり5,000REGを発行した第1段階は日本円で22億5,000円分を集めて完売終了し、10,000REGを発行する第2段階は2018年4月1日から始まりました。

REGAINは初日から約6億円相当の資金を集めるなど好調です。期限は5月15日で、価格は1REG=4,400米ドルです。5万米ドル分以上の保有者には5%のボーナスがつき、毎月の配当は8月15日から始まります。

15,000REGを発行する第3段階は2018年7月1日~8月15日で価格は1REG=5,200米ドル。5万米ドル分以上の保有者には5%のボーナスがつき、配当は11月15日から始まります。35,000REGを発行する第4段階は2018年10月1日~10月15日で、価格は1REG=4,000米ドル。5万米ドル分以上の保有者には5%のボーナスがつき、配当は2019年2月15日から始まります。

REGAINではトークン保有者に毎月、ビットコインの「マイニング報酬」が分配される特典がつきます。REGAINは営業上の武器として、マシンユーザーのマイナー(採掘者)とマイニングで得た利益を折半する代わりに、マシンの購入、設置、採掘ノウハウの提供、テスト、アップデート、メンテナンス、リプレース(更新)などの費用を一切無料とし、マイニング事業への新規参入を促しています。(土地・建物や電気代は別です)タクシーにたとえれば「新車をタダで貸しますから運賃収入の半分をいただきます」と言っているようなものです。

REGAINはそうやってマイニングから得た利益の60%をトークン保有者に配当します。投資家にとってはまるでビットコインマイナーのオーナーになったような感じで、報酬見込額として「1REGあたり0.034BTC」という数字が示されています。REGAINのプロジェクトの目論見通りにビットコインの交換レートが安定したら、ビットコインで受け取る配当も安定することになります。

REGAINはICO後の取引所上場がすでに決まっています。どこかは秘密ですが、投資家にとっては大きなメリットです。しかしホワイトペーパーでは「流動性は望まない」と、投資家に長期保有を期待しています。

REGAIN(リゲイン)ICOの評判と今後の動向

アメリカといえば「資本主義の本家」「自由の国」という連想で「企業は何をやろうと自由だ」と思われがちですが、実際は19世紀後半から「反独占(資本)」は政界で大きな流れになり、1890年に最初の反トラスト法(独占禁止法)が制定されました。

REGAIN(リゲイン)の「1社独占は害をもたらす」という主張はその「反独占」の古典的な言説をなぞっています。それに「中国脅威論」と、西部劇やアメコミのような「正義」と「悪」を単純に二分化する自己正当化が加わって、すぐれてアメリカ的で、キワモノっぽい空気さえ漂うホワイトペーパーになっています。

もし、REGAINがビットメインを駆逐して80%のシェアを取ったとしたら、今度はREGAINが「第2のビットメイン」になって新たな独占の弊害は出てこないのか、という懸念もありますが、ホワイトペーパーでは「従来と違い、ユーザーがマイニングで得た利益を折半し、もっぱらそれを収入とするモデルなので心配無用」と言い切っています。

しかし、今回のICOが成功したとしても、マイニングマシンのシェア争いでREGAIN言うところの〃正義〃が勝ち、〃悪〃のビットメインが降参するという保証はありません。カネをかけたら必ず勝てる、というほど技術開発競争は単純ではないからです。それがREGAINが抱える最大のリスクです。

提示しているマイニング報酬の配当利回りは高すぎないか、現状は投機まみれのビットコインはちゃんとした決済通貨になれるのかといった疑問が出ています。「いつまでもあると思うなビットコイン」という声もあります。プロジェクトに共感できるか、リスクを納得できるか、よく考えてほしいICOです。