仮想通貨、これまでにも様々な問題が報告されていますが、依然として投資資材として大きな人気を集めています。仮想通貨の関連技術に着目し、長期的な視座で投資を行っている人もいますが、その一方で情報に踊らされ、仮想通貨へ一時の投機目的で金銭を投じている人が多いのも事実でしょう。

ですが、仮想通貨は国際的に依然としてどのように扱うのか、そして沿革をどのように埋めればいいのか、つまり仮想通貨をどこまで規制をするのか、投資家をどのように守るのかという部分が宙に浮いたままです。こうした仮想通貨業界の流れを読んだ、悪質な詐欺事件も増えています。

乱発するICO関連詐欺

アルトコインの中にも多くの無価値なコイン通称「草コイン」があります。ただ、無価値なだけならまだいいもので、一見素晴らしい仕組みであるようなことをうたっておきながら、まったく内実の伴わない、詐欺ともいえる通貨があるのも事実です。ただ、アルトコインはすでに市場に上場されたものです。ある程度市場がその通貨の本質的な価値を作っている状況といえるでしょう。つまり、悪い噂が伴うような通貨や、明らかに価値のないものは低い価格が付くようになっています。

Tethorのように大規模で、その分大きな疑惑を生むものもありますが、そうした大規模で仮に詐欺だった場合ではありますが、非常に手の込んだICOは少数です。大きな問題が生じているのはアルトコインではなく通貨発行のために行われるICOの部分でしょう。最近では仮想通貨関連情報に特化した、SNSが独自の仮想通貨を発行するということでICOを行い約20億ドルもの莫大な資金を集めました。

そこに便乗して、ICO詐欺が行われていたのです。ICO詐欺を行った企業の名前はTelegram open network limited。Telegram が現在進める、プロジェクト、Telegram open networkに似た名前が付けられたこと、Telegramの代表の名のもとに登記が行われたことから当初、彼らのICOはtelegramのサイドプロジェクトのように考えられており、ユーザーの関心を集めていました。

4月6日に事態は一変します。Telegramの公式ツイッターにて、正式にTelegram open network limitedが全くTelegramとは関係がないことが明らかになったのです。また、これ以外にもベトナムに拠点を置くIT企業モダン・テック社のチームが運営する、ピンコインとアイファンとよばれる二つの仮想通貨のICOがトークンセール後の払い出しを行わず、詐欺ではないかと紛糾しています。

被害が現実のものとなった場合のその金額なんと約700億円。現在最高金額です。ここで上げた二つの例はあくまでも大規模かつ話題になったものですが、現在仮想通貨業界では大小さまざまなICO詐欺が行われています。

そもそもICOとは

そもそもICOとは何なのか、改めて振り返ってみましょう。ICOとはinicial coin offeringの略で、簡単に言ってしまえば、クラウドファンディングのように仮想通貨を利用して、スタートアップ企業が資金を集める、資金調達の方式になっています。単純に事業をサポートする以外に、将来有望な仮想通貨が市場に出る前に購入することができるということで、投資目的のユーザーからも人気を集めています。

ICOのメリットとデメリット、問題点

身を守るにはどうすればいいのか?ICOに一つのメリットとしてあるのが、例えば最初にマイニングを行うことができる、優先的にサービスを利用できるなど、先行者的なものですが、最も大きなメリットはお金と結びついています。メリットは先ほど説明したように、市場に上がる前に仮想通貨を手に入れることができるということです。

仮想通貨はその通貨をもととして運営するサービスが有用と市場が判断した場合、容易に10倍、場合によっては100倍ほどにまでその価値を上げることは珍しいことではありません。つまり一獲千金のチャンスがあるのです。しかしながら当然ICOにデメリットもあります。仮想通貨はICOで発行されるようなものに限らず、最も有名な仮想通貨ビットコインでさえも依然として実現段階にはありません。

つまり、現状すべての投資家たちが今後仮想通貨やその関連技術が現実世界で運営された際の未来に期待し投資をしていることになります。ICOは資金力が少ないことも多く、確かに魅力的なビジョンを描きますが、失敗することも多いのです。これはあくまでも運営側の怠慢というわけではありません。

現状仮想通貨業界全体が抱える問題といえるでしょう。つまり、実現に向けて大規模な試験を行うこと、そして動き出すことは莫大な資金、技術力が必要なのです。

ただ、こうしたデメリットに関しては多くの投資家たちが織り込み済みの上で運営チームの熱意やあるいは金銭的なメリットを考慮したうえで投資を行っています。ICOにはこうしたデメリット以外に、構造的な問題があるのです。大きく分けて二つあります。ICOそのものの問題と、ICOを受け入れる市場や国家側の問題です。まずICOの問題ですが、そもそも仮にICOが実現し、企業が資本を調達したとして、それによるインセンティブは通貨の市場価値が上昇したことによる金銭しかありません。

それ以外のインセンティブはあくまでも現状、「こうなりますよ」という運営側の予想、あるいは希望でしかありません。クラウドファンディングのように明らかにインセンティブを設定して作られた仕組みではないのです。スタートアップの事業がその努力にかかわらず、成功するのが難しいことを考えればこの仕組みは投資家、ひいては出資者側に圧倒的に不利なものです。

なぜなら詐欺の事例で説明したように、理想的な仕組みをさも実現可能なように声高に叫び、内実は金をかすめ取る気満々でもICOを行うこと自体は問題ないわけですまた、国家的な枠組みと書きましたが、現状、ルールが設定されているわけではないため、明らかにおかしいICOを止めることはできません。

また、仮に詐欺事件のように何か損害がもたらされても、国家的、あるいは国際的な補償の枠組みはありません。ようは全く補償がないのです。これは非常に大きな問題です。

ICOに参加したい場合には自分で責任を負う必要があるのです。こうした問題を知りつつも、数多くあるスタートアップ企業の描く未来に魅了された、一獲千金を目指している、などの理由からどうしても投資をしたいと思う方も多いかもしれません。そういった場合は以下の点に気を付けましょう。

どうやって身を守ればいいのか

身を守るためには情報を自ら得ることが肝要です。基本的に海外の仮想通貨情報はアメリカ発信のものが、最新、一時情報になっています。最低限の英語力が求められます。

少しハードルは高いかもしれませんが、命ともいえるお金を預けるのです。ある程度の努力は必要でしょう。どうしても時間がないという場合にはGoogle翻訳などのサービスを利用するのも手です。また、情報を得る場所がわからないと調査の仕様がありません。以下のような媒体を知ると、現状がわかるのでお勧めです。

Twitter
一つはtwitterです。ちゃんとしたプログラムであれば、公式のtwitterなど、定期的に仮想通貨の情報を発信する媒体を運営しています。
少なくともこれがあるかどうかを確認するだけでもかなり違うでしょう。
もう少し踏み込む場合は例えば、気になるICOの情報をtwitterで確認し、同じようなユーザーの情報を見るのも手です。

Telegram
もう一つ大事なのがtelegram。仮想通貨関連の情報に特化しているSNSです。多くの仮想通貨関連企業が運営して、情報を公開しています。
こういった媒体にアクセスし、一時情報を確認するのが肝要です。

ICO関連詐欺の今後

ICO関連の詐欺は今後、一般企業の仮想通貨業界参入によって、減っていくことが予想されています。また、国際的に仮想通貨全体で規制が強化される流れにあり、違法ICO排斥の流れはより加速していくでしょう。ただ、現状ではまだ自己防衛が必要な段階です。みずから情報を集め、感度を高めていく必要があります。