4月3日に大手証券会社の一つであるマネックスが、流出騒動に揺れるコインチェック社を買収することが明らかになりました。コインチェック社は今年1月セキュリティ漏洩などから600億円近い規模の仮想通貨の情報が漏洩し、投資家の資産が失われることになりました。

その後投資家に対する補償の実行など、一時期の騒動からは沈静化の様相を見せています。しかし、まだまだ満足な投資家への返済は保証が行われておらず、 日本の仮想通貨市場に大きな影響を与えました。その後大手証券会社の一つであるマネックスがコインチェック社を買収したことでまた日本の仮想通貨市場は新たな局面を迎えようとしています。

ではいったいこれから先、仮想通貨市場にどんな変化が起こるのか、またどのような影響が発生していくのかを考えてみましょう。

マネックスはなぜコインチェックを買収したのか

マネックスによるコインチェック社買収の影響マネックスといえば日本でも有名な証券会社の一つであり、株式やその他の投資などを取り扱っています。非常に大きな経営基盤を持っているため倒産リスクなども小さく、マネックスを通じて株式取引などを行っている投資家も多いでしょうそのマネックスがなぜ混迷を極める仮想通貨業界に参入を発表することを表明したのでしょうか。

最初に考えられる理由としては、マネックスが仮想通貨取引サイトを開きたかったということが想像できます。コインチェック社の漏洩問題以降、仮想通貨取引サイトに対する金融庁の行政処分は非常に厳しいものがあり、2018年に入っただけでも10社近い仮想通貨の取引所が行政処分により、営業停止などを下されています。

金融庁でもこれまで仮想通貨の実態を把握できず、厳正な処分ができない状況でしたがコインチェック社の問題をきっかけに本格的な対策を実施と考えられます。
取引実態を調査する中で適正な運用が行われていなかったサイトに対し、営業停止という非常に厳しい処分を下しています。

マネックスはコインチェック社を買収することで新しく運用届けなどを提出する工程を経ず、迅速に仮想通貨の取引サイトを手に入れたかった。そういった考えがあったからこそコインチェック社を買収したと言えます。

36億円という金額は安いのか高いのか

マネックスがコインチェック社を買収した金額は36億円とされています。この金額が安いのか高いのかというのは、それぞれの人間によって判断が異なるところでしょう。おそらくコインチェック社がNEM流出問題を発生させる前でしたら、数百億円規模の価格が付いたことが予想されます。

しかしNEMの流出問題によってコインチェック社は大きく信用を失い、新規に同社で取引を始める投資家も減少しています。コインチェック社の仮想通貨取扱金額も最盛期に比べればごくわずかな規模にまで減っています。

ただしマネックスにおいては、それでも実績のある仮想通貨取引サイトをすぐに手に入れられるというメリットが大きかったのでしょう。そのため36億円という金額を出しても、それ以上の売り上げをあげられるという予測があると考えられます。

実際に仮想通貨の投資家も、20代の社長が運営をしていたベンチャー企業であるコインチェック社よりも、大手証券会社が運営する仮想通貨サイトの方が安定したサイト運営、そして安全なサイト運営が行われるものではないかという期待の声が上がっています。

マネックスとしては仮想通貨取引所を運営する免許とシステムを、36億円で購入し、サイトの信用に関しては自分たちのネームバリューを生かせば、十分に投資家を獲得できるのだと考えているのでしょう。

コインチェック社の社長和田氏退陣の意味は

さらに活性化を見せる仮想通貨業界の今後また同時にコインチェック社の社長であった和田氏は退陣を行いました。27歳の社長ということで各方面から注目を集め、一躍時の人ともなっていた話ですが謝罪会見などで見せた様子はやはり20代の若者だなと感じる人も多かったのではないでしょうか。

マネックスとしても和田氏のビジネスセンスには期待をする部分もあるのでしょうが、やはり失った信用を取り戻すまでは表立って彼を前に出すことは非常にリスクが高いと考えているようです。そのため和田市は完全にコインチェック社の経営から手を引き、会社を売り払った形になります。

今後は従来のコインチェック社の経営方針とは全く違う、新生コインチェッ社に変わっていく、つまりマネックスによるコインチェック社がこれから構築されていくことが予想されます。
まだ新生コインチェック社の役員人事などは発表にされていませんが、マネックスから社長や役員が派遣されれば経営陣も大きく変わっていくのではないでしょうか。

コインチェック社の社長を退いた和田氏ですが、彼はコインチェックを立ち上げる前にNOTEという投稿サイトを立ち上げた実績があります。まだまだ27歳と若い彼のことですから、仮想通貨に変わる新しいビジネスを探して、また自分で独自性の高いビジネスを立ち上げていくのではないでしょうか。

マネックスの株価は買収発表後に上昇

4月3日にマネックスがコインチェックを36億円で買収し、完全子会社化することを発表した後ではマネックスの株価は一時期に10%近い上昇を見せました。 株が変大きく買われたということは、マネックスの投資家から見てもコインチェック社買収は望ましい出来事であり、マネックスのビジネスに対する慧眼を評価する向きがあったと考えられます。

コインチェック社はセキュリティで大きな問題を発生させましたが、サイトの使い勝手や手数料のやすさとなど、利用者にとっては非常に評価の高い仮想通貨取引所でした。そういった背景もあって、数多くの投資家を集めることに成功していたのです。

株式投資家から見ても、コインチェック及びマネックスが手を組んだことは望ましいことと考えられていることが分かってきます。

仮想通貨市場にはまだ可能性が眠っている

一方でマネックスが仮想通貨取引サイト市場に参入をしたということは、やはり数々の企業にとって仮想通貨はまだ魅力の高い市場として捉えられているということが、改めて浮き彫りになりました。

マネックスに限らず数々の銀行での仮想通貨の取り扱い開始、さらには DMM や楽天などでも仮想通貨取引所を扱っているため、より日本人の生活にとって仮想通貨は身近なものにあるなりつつあります。

新興の仮想通貨も企業によって運営されるものなどが一気に増えており、どの仮想通貨に手を出していいのか、本当に投資する意味があるのかといった投機目的の仮想通貨は、まだまだ衰えるところを見せません。

一方で投機目的だけではなく、現金のように使える流動性の高い仮想通貨の登場も望まれているところです。ビットコインは徐々に価格を下げつつありますが、他の仮想通貨では上昇傾向を見せているものもあり、日本の仮想通貨が一気に落ち込みを見せていると言える状況ではありません。

マネックスに続いてさらに新しい大手証券会社の参入が見えてくれば、2017年の第一部ブーム。そして流通させることを念頭においた、第二次仮想通貨ブームが起きてくることも想像に難くありません。

こういった大手証券会社が参入してくることで仮想通貨の流通や売買がより健全化し、日本国民にとってさらに身近なものになっていくことが望まれるでしょう。