新しいICOの「AXEコイン(エグゼコイン/単位:AXE)」は中東のドバイ発。ICOの目的は、慈善活動など社会のためになることをやろうとしている団体への「支援(Aid)」が行えるようなプラットフォームを構築することです。流動性の高い仮想通貨になるためにECモールと提携したり、AR(仮想現実)の技術をとりいれるなど、利用機会の拡大にも意欲的です。
AXEコイン(エグゼコイン)は地球全体に「支援」の輪をひろげるのが目的
AXEコイン(エグゼコイン)は、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイに本部がある「SEFICO財団」が発行を計画している新しい仮想通貨で、ICOの目的を簡単に言えば、人のためになる、社会のためになる何かをやろうとしている団体を援助し、手助けする「支援」です。支援といっても人を出すわけではなく、仮想通貨なのでAXEコインは「金銭的な支援」が主になります。
AXEコインが支援する対象は何かというと、「人道支援」「環境支援」「技術開発支援」「夢現実支援」「医療支援」「教育支援」「動物愛護支援」「エネルギー支援」の8つです。
たとえば、途上国の貧困層はクレジットカードや電子マネーはおろか、銀行口座を持つことさえも難しいため、商取引でも買物でも常に現金を持ち歩かねばならず、それは路上強盗にあう危険が伴っています。治安が良く安全な日本の尺度を当てはめてはいけません。〃足がつかない〃高額紙幣は犯罪を誘発する恐れがあるために発行を取りやめた国もあります。それが、仮想通貨AXEコインのブロックチェーン、スマートコントラクト技術によって誰でも安全に、手軽に商取引や買物の決済ができるようになれば、そのこと自体が途上国の貧困層への支援になり、金銭的な支援が届きやすくなるという例が、AXEコインの公式サイトには挙げられています。
AXEコインの事前カンファレンスではもっと具体的に、フィリピンやカンボジアなど東南アジアの国々の貧困層や難民の子どもを支援するために、孤児院や学校の建設・運営を支援する慈善事業のプロジェクトが紹介されました。実際に1970年代のカンボジア内戦の戦争孤児だった人や難民だった人が舞台の上にあらわれ、投資家に支援を訴えました。
AXEコインの支援先は世界に100以上ある団体で、人道支援、食糧支援、学校建設や文房具支援による教育支援、医療支援、環境保護支援、野生動物の保護支援などさまざまな分野で活躍しています。その中には国際連合や国連機関も含まれています。支援先は選ぶことができ、公式サイトには「幸せにしたい人々にあなたの支援が必ず届く」「あなたがAXEコインの理念に賛同し支援することで、世界中が幸せになり、あなたも豊かになる幸せの無限∞プロジェクト」とあります。
仮想通貨の大きなメリットはコストが安くなることで、とりわけ海外送金の手数料は大幅に減らすことができます。それは海外で活動する団体への支援には適しています。
AXEコイン(エグゼコイン)は流動性で世界ナンバーワンの通貨を目指す
とはいえ、AXEコイン(エグゼコイン)は慈善事業などの支援だけに特化している仮想通貨ではなく、先進国でも実生活のシーンやビジネスシーンでの決済手段として広く利用されることを想定しています。爆発的な成長を果たし、実用的な流動性で世界ナンバーワンの通貨にのし上がることを目指しています。
AXEコインの流動性を高めるために事業フローを展開する方向を大きく分けると、仮想通貨を世界中のEC(電子商取引)ショップで使えるようにする「EC事業展開」、日本や韓国の既存のECショップと提携したり、タブレット端末を無料配布したりしてアナログマーケットでの流動性を確保する「オン・オフライン事業展開」、世界じゅうで支払い(ペイメント)に関する流通性を確保するための「ペイメント事業展開」の3つがあります。
EC事業展開では、日本のワンワールドが運営し国内会員数約7万人を数えるショッピングサイト「タッチモール(Touch mall)」と提携しています。ここは仮想通貨ベンチャーを支援する意味を込めて2016年7月にビットコイン(BTC)での支払いを導入しましたが、AXEコインも2018年夏には支払いに使えるようにすると発表しています。
タッチモールには「地域格差による買物難民をなくす」という理念があり、社会貢献型ショッピングサイトを目指して、賞味期限が近づいたり箱がつぶれたりして本来は廃棄される食品を特価で購入できる「ecoma(エコマ)」によって食品ロス削減国民運動に取り組んだり、日本赤十字社への寄付も行っています。それは、社会のために何かをしようという団体を支援するAXEコインの目的とも合致しています。
本拠地ドバイはAXEコイン(エグゼコイン)の流通から世界の仮想通貨首都を目指す
SEFICO財団の本拠地があるアラブ首長国連邦の構成国ドバイは、世界一の高さを誇る超高層ビル「ブルジュ・ハリファ」が建つ中東屈指のビジネス都市で、将来はニューヨークやロンドンなどと肩を並べる世界の金融センターになることを目指しています。
ドバイ政府は仮想通貨の活用に積極的で、2020年代には経済活動を全て仮想通貨化するという構想があり、2017年10月、政府が管理する独自のデジタル通貨「emCash」を発行すると発表しました。仮想通貨取引所をドバイに誘致する目的で、その事業収入に課される税金をゼロにするという破格の優遇策まで打ち出しています。「世界の仮想通貨首都」を目指して、そのための政策を続々と打ち出しているドバイに発行財団が本拠を置いていることは、AXEコインにとっては大きなアドバンテージになるでしょう。
また、「AXEアイランド」のプロジェクトも動き出しています。これは、島の中ではAXEコインだけが通用する南海の楽園リゾートを建設しようとするものです。それも観光誘致に力を入れるドバイ政府が後ろ盾になっています。
AXEコインは自ら「イーサリアムの進化系通貨」と称しているように、イーサリアム(ETH)のブロックチェーン、スマートコントラクトがその技術のベースにあります。
技術面で「世界初」とうたってるのが、仮想通貨とAR(拡張現実技術)を融合させようとする「AXEAR」のプロジェクトです。これは、スマホでAXEAR専用のアプリを起動して街を歩くと、スポット、スポットでAXEコインのロゴが表示されてAXEコインが自動的にたまっていくというもので、同じARを利用する任天堂の「ポケモンGO」で、街を歩いているとスマホ画面にモンスターがあらわれ、それをゲットするしくみに似ています。「ポケモンGO」がそうであるように、最新のAR技術とのコラボレーションは街中のリアル店舗の集客を支援しますが、それによってAXEコインの流動性を爆発的に高めようというのが、AXEコインの狙いです。
AXEコイン(エグゼコイン)に本気で投資をするならば
AXEコイン(エグゼコイン)の「ファウンダーセール(トークンプレセール)」は2018年3月31日から4月5日まで実施されました。トークンセールの入金で利用可能な通貨はもっぱらイーサリアムで、ウォレット「HB Wallet」からの送金を求めています。2018年4月末までに100ETH分以上のAXEコインを購入すると2018年6月にドバイへのご招待ツアーに参加することができ、AXEコインを100ETH以上保有すると宿泊、セミナー、レセプションパーティー参加費が無料です。200ETH以上保有すると日本とドバイを往復するエコノミークラスの航空券がつき、600ETH以上保有でビジネスクラスにアップグレードします。
AXEコイン(エグゼコイン)トークン配布特典つきのカンファレンスはすでに東京、名古屋、大阪、福岡で行われ、満員の盛況だったそうです。AXEコインの購入は「保有者(ホルダー)からの招待制」で、購入したければ保有者やカンファレンス参加者からAXEコインの「ホルダーコード」を教えてもらう必要があります。今後のスケジュールとしては、投資家が気にする仮想通貨取引所への上場は、すでに英国の大手取引所との間で提携がまとまったとのことです。
しかし、AXEコインは表に出ている情報が少ない上に、日本語版の公式サイトを見ると「地球レベルの革命的支援プロジェクト」「最先端のテクノロジーで地球全土を支援し続ける」「今まで誰でも成し得なかった」「想像もできないビックバンを巻き起こす」といった刺激的な文章が並びます。大風呂敷な宣伝文句は悪徳商法の常套手段で、そこには「キワモノっぽい匂い」がプンプン漂うので、「良し悪しが判断できない」「怪しい」「敬遠したほうがいいかもしれない」という声があふれています。「社会貢献への支援」という目的も、「慈善事業支援は建前だけで本音はカネ儲けではないのか?」「きれいごとを悪事の隠れみのにしているのではないか?」などと疑われている始末です。
疑いだせばキリがありませんが、AXEコインに本気で投資したければ、英語で問い合わせをするのは大変でも、投資家としてSEFICO財団に対して直接、情報公開を求める姿勢が必要でしょう。それでも隠し事が目立つようなら、やはり怪しいです。