仮想通貨について興味がある方、最近取引を始めた方の多くは仮想通貨を投資対象として見ている側面があるでしょう。事実、2017年は仮想通貨取引が過熱し、ビットコインについては一時1BTC=200万円台を記録するなど株式やFX以上の価格変動が起きました。また、億り人と呼ばれる短期間で大きな利益を得た、仮想通貨投資家も出てきました。これにより、テレビ等などでも盛んに発信されることになり、これまで投資に興味のなかった層までも、仮想通貨投資を始めるようになりました。

このような経緯があり、2017年の仮想通貨の主なイメージは投資、もしくは投機対象としての価値が見出されてきました。しかし、2018年1月に起きたコインチェック取引所への不正ハッキング事件や、世界的な仮想通貨規制の動きなどによって、投機対象としての過熱ぶりが落ちついたという見方もできる、下落相場となりました。

しかし、仮想通貨初心者から見ると、仮想通貨を単純に取引のツールとして考えていた場合、2017年のような右肩上がりの相場でなくなったことと、仮想通貨を取り巻く状況が変わったことで取引が難しいと感じるでしょう。ですので、そのような時こそ仮想通貨の価値や技術、実社会との関連性について分析する必要があります。

仮想通貨の実用化への課題

仮想通貨の実用化と価値仮想通貨は、投資対象として注目されていますが、実際には決済や送金といった実用化が期待されている新しいテクノロジーの一つです。今はごく一部ですが、実際に使われることで仮想通貨の価値が高まり、価格の安定化に繋がることから、仮想通貨の早期実用化を望む声もあります。

しかし、仮想通貨の実用化はまだまだ十分とはいえない状況です。なぜならば、仮想通貨の流動性がさほど高くないことや、仮想通貨同士の互換性などがないためです。

送金速度の問題やコストの面などスケーラビリティの問題も山積しています。これらの課題がクリアできれば、実用化も進むと考えられています。

ちなみに、実用化に向けては仮想通貨の市場価格も大きく影響します。価格が安くなれば手数料も安く済むため、仮想通貨の価格が高騰している時よりも暴落している時の方が実用化に向けての開発というのは進んでいる状況です。もしくは、市場に多く仮装通貨が供給されることで、実用化が加速していくと考えられています。

仮想通貨が通貨として実用化されるまで

仮想通貨の実社会への実用化や価値を知るためには、仮想通貨市場について知る必要があります。まず、仮想通貨が公開された経緯から解説します。2008年サトシナカモト氏という人物がインターネット上に、ある技術論文を公開したことが始まりとされています。ただ、概念自体は、1990年代にアメリカ議会で、デジタル通貨についての議論がなされていたこともあり、アイデアとしては2000年代以前から存在したことが分かります。

しかし、技術的には前述のように、2008年に公開された論文により実用化されていくことになります。論文の中身を簡単に説明すると、ブロックチェーン技術など様々な技術について記述されており、更に仮想通貨を誕生させる理由について、これまでのような管理された通貨ではなく世界中で共通・自由に使用出来る通貨として流通させたいという趣旨がありました。これが、非中央管理システムへと繋がっていったと考える事ができます。

そして、開発当初は、ごく小規模でテストされていたのですが、徐々に規模を拡大し現在の市場へ整備されていきました。また、仮想通貨取引所も開設されたことで、仮想通貨を誰もが気軽に取り扱うことが可能になりました。しかし、2015年頃に仮想通貨市場は成長が鈍ります。理由が、当時大手仮想通貨取引所として、有名であったマウントゴッグスという取引所が不正ハッキングをきっかけとして、経営に問題が生じ倒産した出来事によるところが大きいです。この事件により、少しずつ通貨として広く実用化されると期待されていた流れが、遮られることとなり再び過熱を始める2017年まで待つこととなりました。

そして、2017年は一般の方も知ることとなる、仮想通貨の長期上昇相場と急騰相場が続くことになりました。また、同時期には国内の様々な企業も、仮想通貨の通貨としての機能と人気に注目し、決済手段として多くの実店舗に導入を始めました。

しかし、急激に価格が上昇するということは、相場過熱し過ぎであり投資では基本である反落とトレンド転換が2018年に起こります。2017年12月頃には、ビットコインが1BTC=200万円台を記録するなど、それまで100万円台だった価格帯から大きく上昇しました。一部の仮想通貨投資家には、下落基調となるなど予想されていたのですが、それが現実化し2018年1月から急落及び下落基調となりました。ただ、この場合は仮想通貨市場の問題ではなく、コインチェック取引所への不正ハッキングによる資産流出と、仮想通貨の規制に関する枠組み作りが、本格化したことも要因といわれています。

2018年4月に入り、引き続き下落相場となると考えられていた仮想通貨市場ですが、2週目に入り状況が一変します。レンジ相場から上昇トレンドへと転換したのです。これが、仮想通貨市場の変遷になります。

仮想通貨の価値と実社会への実用化

仮想通貨の様々な分野への実用化と2018年以降の将来性この下落トレンドの出来事により、企業や仮想通貨投資家は、「仮想通貨の価値」と「様々な分野への実用化」について意見が更に分かれるきっかけともなります。これまで、順調に価値が上昇していた仮想通貨の基軸通貨ビットコインは、実社会でも通貨として実用化されたり、様々なシステムに組み込まれたり、そして仮想通貨そのものの価値について期待されていました。それが、2018年の暴落などにより、仮想通貨の実用化などについて、一部の企業は控えることになり、一方仮想通貨には価値があると考える企業は自社サービスの拡大・実用化に利用する事例も出ています。

このように、仮想通貨の価値について色々考える事ができる状況が、2018年初頭から急激に起きていることが分かります。ですので、仮想通貨初心者は、仮想通貨が持つ価値と今後どのように実社会で通貨として、実用化されていくのか考えて投資をしなければいけません。

まず、仮想通貨の価値について考える必要があります。この場合、通貨としての機能・技術的価値などが考えられます。特に、ブロックチェーン技術に関しては、仮想通貨規制を進めている国でも取り入れようとしている事例があるので、それだけ様々な社会インフラへの転用や実用化に向けて動いていると想定できます。

また、最近では、NASAが宇宙ゴミを自動で避けるといった行動もできる、自動運転の宇宙探査船の開発に、イーサリアムのブロックチェーン技術を用いて実用化する計画が公開されました。また、他にも中央銀行の管理方式を、仮想通貨のブロックチェーン技術を用いるアイデアもでています。

そして、仮想通貨そのものの価値についてですが、この部分は識者や仮想通貨投資家などで様々な意見があります。例えば、ビットコインの通貨としての価値は20ドル程という意見もあります。これは、仮想通貨には国家などによる信用が無いためといったように、信用経済や法定通貨の基準で考えた場合の価値を算出しています。一方で、ビットコインの価値は、1BTC=数1,000万円の価値があるという意見もあります。この場合は、法定通貨と違うブロックチェーン技術による非中央管理方式、そして実社会へ通貨として普及・実用化が起きれば更に価値が上がるだろうという理由です。

このように、仮想通貨の価値については、様々な意見があり検証中といえます。ただ、2018年に入っても国内の企業が、仮想通貨事業に参入することや欧米の中央銀行で、仮想通貨を活用した新たなシステム運用の実用化に向けて、動いている事例もあることに注目する必要があります。

仮想通貨の実用化事例

まだごく一部ではありますが、すでに仮想通貨の実用化は進んでいます。もっとも古参の仮想通貨であるビットコインは、ビッグカメラやH.I.Sなどで決済できることでも知られています。

さらに、ビットコイン以外の仮想通貨の実用化が進んでいます。イーサリアムはスマートコントラクトと呼ばれる電子データでの契約履行のサービスを実装しています。

リップルは銀行送金に用いられる手段として注目を集めており、ビットコイン等よりも送金速度が早いことでも知られています。すでに大手企業やリヒテンシュタイン公国の銀行等でも取り扱いが開始されており、今後海外での実用化が進むとみられています。

日本初の仮想通貨としては、ブログへの投げ銭としてモナコインなどがすでに使用されていますし、ネムやバージといった仮想通貨で決済ができるカフェや飲食店などが都心部を中心に増えてきています。

2018年現在、日本の大手企業ソフトバンクでもブロックチェーンを活用した海外送金や決済システムを構築すると宣言しています。ヤフーの仮想通貨事業参入など仮想通貨関連のニュースも出ており、今後仮想通貨の認知度が高まり、実際に利用する人が増えれば実用化も促進されることでしょう。

日本は仮想通貨大国とも言われ、先進国の中でも仮想通貨の導入が進んでいる国の一つです。日本のみならず、他の国でも仮想通貨の売買や決済などの機能が使われるようになれば、さらに実用化が促進されることでしょう。

仮想通貨の将来性を知るには

仮想通貨投資初心者の中には、将来性について分析したいと考える事があるでしょう。しかし、投資未経験だと将来性についてどのように分析すればよいか分からない事が多いです。そこで、初心者でも出来る、仮想通貨の将来性の分析方法を紹介します。それは、ファンダメンタル分析を行う事です。ファンダメンタル分析と聞くと、投資における価格予測に用いるものとして感がられていますが、対象の将来性についても調べるときに活用することが出来ます。

例えば仮想通貨は、通貨としての機能を果たしていることはいうまでもなく、企業のサービス・中央銀行の管理システムなど様々な分野へ新たなシステムの実用化に活用されようとしています。ですので、仮想通貨の通貨としての価値以外に、国内外の仮想通貨市場に参入しようしている、もしくは参入している企業の新サービスや時事情報をチェックすることが大切です。それだけでも、仮想通貨が将来どのようなシステムやサービスで実用化されるか考える材料になりますよ。