仮想通貨取引をしている初心者の中にも、ゼロ知識証明という言葉を聞いたことがあるでしょう。仮想通貨市場では、日々新たな理論・技術を用いたシステムや仮想通貨が開発されています。ゼロ知識証明は、以前から存在した理論ですが、これを仮想通貨にも活用して新たなシステム作りをしている動きがあります。
仮想通貨取引初心者の中で、ビットコインしか取引をしたことがない、あまり他の通貨には興味がないという場合には、市場の方向性や新たな利益確定チャンスを逃す原因になります。仮想通貨投資家に必要な事は、日々出てくる新しい理論や技術についても知っておくこと、そして新たに開発される仮想通貨の価値や将来性についても考える力が挙げられます。
ゼロ知識証明を仮想通貨に用いたのは最近ですが、既に様々な仮想通貨投資家が、ゼロ知識証明を用いた仮想通貨の情報収集をすることや、ゼロ知識証明の意味について学んでいます。そこで、今回は仮想通貨投資初心者に向けて、ゼロ知識証明の概要と仮想通貨に用いられている理由、そしてゼロ知識証明を用いて開発された仮想通貨についても紹介していきます。
ゼロ知識証明とは
ゼロ知識証明とは、元々暗号理論の1つとして生み出された理論になります。従って、仮想通貨初心者は、この理論を仮想通貨の為に生み出されたものと勘違いしないことが基本です。誕生したのは、1985年とされ、特にインターネットの商取引の電子署名に用いられることを想定されていました。つまり、セキュリティ強化に必要な暗号理論といえます。
具体的な例としては、インターネット上で自身のパスワードを利用した認証システムを使用するとします。この時に、自身のパスワードを暗号化せず、そのまま使用してしまうと何者かのハッキングにより、パスワードを知られて盗まれるリスクがあります。このような時にゼロ知識証明を用います。簡単に説明すると、自身のパスワードを認証者に伝えずに証明をさせる方法です。
もっと分かりやすく例えますと、Aが持っているゲーム情報をBに伝える時、ゲームの名称は伝えずにそのゲームを知っている人しか知らない情報をBに何回も伝えることで、Bにゲーム情報を知っていると証明させることという比喩表現ができます。
ですのでゼロ知識証明を用いることで、自身の持つパスワードなど重要な情報が盗まれる危険性も減る暗号理論といえます。そして、ゼロ知識証明と定義する為には、3つの条件が必要とされています。1つ目は、健全性ということです。この場合の健全性とは、一般的な意味とが違い認証を行う側の証明が嘘や偽の場合に、認証を受ける側が偽の認証と証明できる手段を1つではなく、複数持っている事です。2つ目は完全性です。完全性という言葉だけでは、理解しにくいですが簡単に説明すると認証を確認する側が、真つまり正しい答えがどれか分かっていることを指します。そして3つ目は、ゼロ知識性という条件です。ゼロ知識性とは、認証を確認する側と認証してもらう側の通信を傍受されたとしても、例えばパスワードなど知られてはいけない重要な情報を得ることは出来ない内容であることを指します。
このような3つの条件全てを揃えたシステムのことを、ゼロ知識証明を搭載したシステムと呼ぶことが出来ます。そして、仮想通貨の一部では既にゼロ知識証明を活用した通貨が開発されています。数学的な話なので、仮想通貨とは直接的に関係ない話ではありますが、仮想通貨投資の幅を広げる上で後々知っておくと役に立つ項目の1つになります。
ゼロ知識証明と仮想通貨投資家にとってのメリット
仮想通貨投資家にとって重要なことは、ゼロ知識証明の理論を全て理解することが目的ではなく、ゼロ知識証明が仮想通貨及び、仮想通貨等投資家にとってどのようなメリットがあるかを知る必要があります。ただし、仮想通貨投資家の中でも、通貨を開発・発行するという場合にはゼロ知識証明の技術的側面を重視する必要はあります。
ゼロ知識証明を仮想通貨に活用するメリットとは、匿名性といえます。仮想通貨の基軸通貨として機能しているビットコインも、開発・公開当初は画期的な技術と秘匿性によって注目を集めましたが、匿名性という点において課題も残されていました。
ビットコイン含む仮想通貨には取引した際のアドレスつまり履歴のようなものを辿ることにより、だれがビットコインを保有しているかということを探すことができました。ですので、取引をするごとに履歴が残り、匿名性という点で課題があるとされてきました。しかし、ゼロ地域証明を活用した仮想通貨の場合には、取引履歴やアドレスなど全ての情報が暗号化されるので、セキュリティ面が大幅に強化されます。
仮想通貨投資家にとっては、個人情報やセキュリティ面で安全性が高まるので、大きなメリットといえるます。
ゼロ知識証明を活用したZcashと呼ばれる仮想通貨
ゼロ知識証明に焦点を当てて、技術的に取り入れた仮想通貨が存在します。それが、Zcashと呼ばれる仮想通貨です。Zcashが発行されたのは、2016年の10月28日と仮想通貨が急速に成長する前になります。そして、通貨発行上限枚数が、2,100万ZECとなっており通貨単位がZECです。
取り扱っている仮想通貨取引所は、国内ではコインチェックだったのですが2018年1月に起きた不正ハッキングによる通貨流出事件で取引停止中です。ですので、現状ではアメリカで運営されている仮想通貨取引所のKrakenで取引する方法となります。また、銀行で有名なJPモルガンと提携していることも仮想通貨業界で注目される要因の1つです。
Zcashの特徴は、ゼロ知識証明を実装した仮想通貨という点になります。ゼロ知識証明を実装したことで、取引履歴やアドレス、金額といったあらゆる情報を匿名にすることができるので、高い第三者に情報が洩れる危険性を抑えることが可能となりました。また、他分野のプラットフォームとしても期待されています。
ゼロ知識証明のリスク対策
2018年時点の相場ですが、2018年1月に起きたビットコイン下落により、Zcashも同様に下落相場となりました。下落前は、一時1ZEH=10万円付近まで上昇していたのですが、下落後には1ZEH=2万円台までの下落幅を記録しました。しかし、4月に入り仮想通貨市場が再び上昇トレンドへと転換してからは、Zcashも上昇トレンドへと転換しています。2018年4月25日時点の価格は、1ZEH=3万円台弱までゆるやかに上昇しています。
Zcashのメリットは、ゼロ知識証明の実装により仮想通貨投資家の、セキュリティ強化に一役買っている点です。しかし、デメリットも存在します。それが、同じくゼロ知識証明による匿名性です。一見すると、意味の分かりにくいデメリットですが、簡単に説明すると匿名性は違法な利用もされやすくなるというリスクがあります。
事実過去に、Zcashが非合法のマーケットで取引の受付を始められていたことがあります。因みに、この出来事により、上昇相場で一時1ZEH=50万円台を突破していた相場が急落し、2018年時点では前述でも紹介しているように、2万円台で取引されています。
このように、匿名性を強化し過ぎると、履歴を残すことなく取引が可能になることを利用して非合法な取引に悪用されるリスクがあります。また、今後法律などの取り締まりにより、取引内容を匿名にすることができる仮想通貨Zcashは、取引継続に関してもリスクがあるとされています。ですので、ゼロ知識証明を実装したZcashなどの仮想通貨で取引する時は、資金の一部を投入するなどリスク対策も必要といえます。