仮想通貨投資初心者にとって、取引操作やビットコインといったメジャーな仮想通貨の投資は比較的簡単に覚えられる項目でもあります。しかし、初心者から卒業する為に、あらゆるアルトコインや技術的な知識を覚えようとすると、1つ1つが新しい用語や知識の積み重ねで出来ていたり、ITや投資の専門用語が組み合わさっていたりと、難しい側面もあります。

そして、仮想通貨初心者が悩む専門知識の1つが、各アルトコインの特徴と仮想通貨特有の現象です。例えば、イーサリアムは仮想通貨の中でも有名で、時価総額2位になるほど大きな市場となっています。しかし、他のアルトコインを見ていくとイーサリアムクラシックという仮想通貨が存在しています。イーサリアムという名称が付いた仮想通貨ですが、仮想通貨初心者からするとイーサリアムとどのような関係性があるか分かりませんし、どのように調べていくのか良いのか悩む人もいます。そして、イーサリアムクラシックを調べていると、半減期という用語が出てきます。これも仮想通貨初心者からすると、よく分からない単語ですが、仮想通貨を深く理解する為には必須の知識となります。ですので、今回はイーサリアムクラシックの概要と半減期の意味、過去に起きたイーサリアムクラシックの半減期と相場への影響について解説します。

仮想通貨の半減期とは

イーサリアムクラシックの半減期とはまず仮想通貨における半減期について解説していきます。仮想通貨には、市場における需要と供給・適正価格を保つために、開発初期から「半減期」というプログラムが実装されています。全ての仮想通貨は、発行上限枚数が設定されていますが、これが半減期と関係あります。なぜ、発行上限枚数が設定されているかというと、もし発行上限がなければ無限に仮想通貨は発行されて流通していきます。そうすると、ある段階で需要より供給が上回ることになり、市場価格が下落していきます。

例えば、100人がいて、リンゴが1つしかなければ希少価値が高く、欲しいと思うので需要・価値が高いと考える事ができます。しかし100人がいて、10,000個のリンゴがあれば、全員リンゴを手に入れることができるので需要より供給が上回り価値が下がります。これが、市場の需要と供給・価値の関係です。仮想通貨の発行上限枚数も前述の例のように、通貨の需要を保つために設定されたものと考えると理解しやすいですよ。

そして、仮想通貨の発行上限枚数の設定には、もう1つの機能が実装されています。それが半減期であり、予め設定されたタイミングでマイニングできる通貨量が減るようになっています。このような作業が行われると、市場価値を保つことができます。

イーサリアムクラシックとは

次に、仮想通貨の一種であるイーサリアムクラシックについて解説します。イーサリアムクラシックは、2016年6月にハードフォークによって誕生した仮想通貨です。ハードフォークとは新しい仕様で尚且つ、旧仕様とは互換性のないタイプのことを指します。そして、イーサリアムクラシックは、冒頭でも少し紹介していますが、元はイーサリアムで派生した通貨になります。

ですので、基本機能はイーサリアムと同じといえます。例えば、スマートコントラクト機能は引き継いでいます。因みに、イーサリアムクラシックにも実装されている、スマートコントラクトとは、取引の承認作業だけでなく利用者が任意で契約を設定して自動で運用できる機能です。ですので、イーサリアムクラシックで、オンライン上のサービスから決済までの契約を作成・運用させることができます。

イーサリアムクラシックがなぜ誕生したのかというと、旧仕様で現在も時価総額2位で取引されているイーサリアムを開発したチーム内で、対立が起きたことが発端となっています。そして、その対立の原因が2016年に起きたイーサリアムに対するハッキング事件と、日本円にして約50億円の流出被害が起きたからです。

ハッキング被害が起きた際に、ハードフォークを行いハッキング被害が起きる前の仕様に戻しました。しかし開発元内部で、非中央集権の運用を基本理念としている仮想通貨にも関わらず、何か起きるたびに管理や調整を行うのは、仮想通貨の理念に反しているといったことで対立が起きました。そして、イーサリアムをハードフォークし、イーサリアムクラシックとして新規プロジェクトを開始したということになります。これが、イーサリアムクラシックが誕生した経緯です。

イーサリアムの通貨発行上限枚数は、2億1,000万から2億3,000万ETCとされています。イーサリアムクラシックの特徴は、前述でも紹介したようにイーサリアムから分裂して出来た仮想通貨なので、より非中央集権を意識したものとなっています。従って、イーサリアムの基本理念のひとつである開発者が仮想通貨のコードを改変することも良いとしていることに対して、イーサリアムクラシックは、何が起きようとも元のプログラムに遵守するという事になっています。これが、非中央集権システムを守るための1つの考え方となります。

また、開発チームもユーザーに引き継いだこともあり、開発にかける予算や技術力などがイーサリアムと比較すると小さいので、ユーザーが減少した過去があります。しかし、その反面処理に関して負荷が掛からない利点も生まれたので、送金がスムーズに行えるメリットもあります。

イーサリアムクラシックの半減期と相場の関係性

予想通りに相場が高騰したイーサリアムクラシックの半減期と相場の関係性イーサリアムクラシックは、イーサリアムから対立・分裂したことによって生まれた仮想通貨です。なので、一部の投資家では通貨としての価値が上がるのか、といった市場価値について疑問を持つ方もいます。しかし、実際にはイーサリアムクラシックの価格が、2017年に高騰しました。2017年1月から、しばらくは2,000台を推移していたのですが、基軸通貨ビットコインの上昇と半減期により同年12月には一時3,000円台まで高騰しました。半減期の時期ですが、12月12日に実施されていました。

イーサリアムクラシックの場合、半減期を行うのは500万ETCごとに20%の減少を行う設定にしています。では、どのようにイーサリアムクラシックが高騰したのか、半減期との関係性を見ながら説明していきます。

イーサリアムクラシックが高騰したのは、2017年11月頃からなのですが、この時よりも前からイーサリアムクラシックで、半減期が行われるという情報が広まっていました。従って、仮想通貨投資家の中には、イーサリアムという比較的メジャーな仮想通貨から派生した通貨の価値が上昇すると考えて、11月頃から購入したと考える事もできます。勿論、基軸通貨の動きも関係していますが、半減期というポジティブ材料が直近で起きれば、高騰すると予想して購入する方もいます。

そして、半減期が12月12日に行われたのですが、上昇基調が続き高騰しました。そして、高騰すると通常は、短期間で下落することが多いのですが、イーサリアムクラシックの場合は2018年1月上旬頃まで価格が上昇しました。この部分に関しては、ビットコインが既に下落したので半減期による影響と考える事ができます。

2018年のイーサリアムクラシックと半減期の影響

この事例を見ると、イーサリアムクラシックで起きた半減期は、当初の予測通りに価格が高騰したことが分かります。確実に半減期の影響で価格が高騰する、という分析はできませんが少なくとも2017年12月に起きた半減期に関しては暴落相場にならなかった事実があります。ただし、2018年1月を過ぎてからは、仮想通貨市場が下落基調になったため、イーサリアムクラシックも下落基調になりました。そして、2018年4月のレートは、再び上昇基調に戻りつつあるため1ETC=2,200円台で推移しています。

今後、どこかのタイミングで半減期が行われる場合、2017年12月の高騰と同じになると考えずに、冷静に相場状況と半減期が行われる時期を見て投資を行うのが賢明です。あくまで、半減期により市場価値を保つという意味があるだけで、高騰するとは限らない事に気を付けることが大切です。