現在、800種類以上あると言われている仮想通貨の中でビットコインに次ぐ知名度と時価総額の高さを誇っているのが、イーサリアムです。その時価総額は3兆円を超え、3位のリップルとは2.5倍近くの差があります。
イーサリアムが大きく動いたのは今年の4月でした。後述しますがEEA(エンタープライズ・イーサリアム・アライアンス)、日本語では「イーサリアムの活用に共同で取り組む企業連合」というのを、マイクロソフトやJPモルガン銀行がEEAの設立したことがきっかけです。
さらに日本の有名自動車企業であるトヨタ自動車も参加することが決まると、イーサリアムはさらに大きく上昇し、一時イーサリアムの価格はは45000円に届くところまで上昇しました。現在のイーサリアムの価格は37,000円と少し下落傾向にいますが、きっと年末に向けてイーサリアムは少しずつ上昇していくのではないでしょうか。今回はイーサリアムの基本的な知識と特徴などを説明していきます。
仮想通貨「イーサリアム」徹底解説
イーサリアムは2013年にヴィタリック・ブリテン氏によって考案されました。イーサリアムは2014年に発売が開始され、2015年から日本の取引所でもイーサリアムを取り扱うようになりました。ビットコインと同じくイーサリアムを管理している「管理人」という存在はなく、イーサリアムの開発チームと呼ばれている人たちがいるだけです。ブロックチェーン(インターネット上で誰でも閲覧が可能な台帳のようなもの)とP2P(サーバのない通信システム)を備えています。
ただ、イーサリアムは現在ブロック作成による技術をProof Of Work(プルーフオブワーク)というものを採用しています。プルーフオブワークというのは、マイニング(更新作業)行う際に一番に計算が終わった人に承認権(報酬)を得る事ができるというシステムのことです。
今後はProof Of Stake(プルーフオブステークス)に切り替えることになっています。プルーフオブステークスは、イーサリアムを多く持っている人が、マイニングをする際に承認権を得られるというシステムです。ビットコインが決済用に作られた仮想通貨というのは、聞いたことがあるかもしれません。
一方でイーサリアムも決済用としての使用することが可能です。ただ、イーサリアムとビットコインが大きく違うところは、イーサリアムはプラットフォームとしての役割も兼ねているというところです。イーサリアムがプラットフォームとはどういうことかというと、イーサリアムの技術を使って様々なサービスを作成することができるのです。
例えば、ALISというトークンがあります。これは、日本初のブロックチェーンを使ったソーシャルメディアプラットフォームを作るという企画です。このALISもイーサリアムをプラットフォームとして作っています。9月13日現在で目標金額を達成し、まだまだ資金調達は増えていくのではないでしょうか。
昨今ICO(initial Coin Offering)が話題となっていますが、ICOを発行する際に使用されるのがイーサリアムのプラットフォームであることが多いのも、イーサリアムの特徴を生かしでいるからなのです。イーサリアムは様々な用途に使用可能なことから、「世界のコンピューター」と呼ばれているほどです。
スマートコントラクトとは
イーサリアムにはビットコインにはない、「スマートコントラクト」という大きな特徴がさらにイーサリアムにあります。このイーサリアムのスマートコントラクトという技術は非常に優れていて、ブロックチェーン上に契約を残すことができるという利点をもっています。
例えば10,000円分のイーサリアムを貸し、来年に利子の1,000円を合わせた11,000円のイーサリアムを返却する。といった契約をイーサリアムのブロックチェーン上で結ぶことができます。ブロックチェーンの改ざんや消去はできないため、お金を貸した側も借りて側も失念やあやふやに、なることはなくなるという利点があります。
様々な企業や団体で期待の大きいイーサリアム
冒頭で書いたようにイーサリアムにはEEA(イーサリアムの活用に共同で取り組む企業連合)という組織があります。冒頭で書いた企業以外でも、三菱UFJ、MasterCardやCiscoがすでに参加をしています。さらに有名なアメリカで名門の法律事務所が参加しています。加えて日本の携帯電話会社のKDDIが参加表明しているだけではなく現在、イーサリアムのスマートコントラクトを使用した実証実験を開始しています。現在、EEA設立半年でEEA加盟企業は150社以上といわれています。
さらにイーサリアムは、国連の組織である国連世界食糧計画(WEP)がイーサリアムのブロックチェーンを使用し、シリアの難民に基づくバウチャー(クーポンや引換券など)の配布に成功したことを伝えました。そして2018年末までに、ヨルダンの10万人を対象とするプロジェクトも計画されています。国連は災害被災国への援助を迅速にするために、ブロックチェーン技術を進化させるためのプロジェクトも計画しています。このように、イーサリアムは多くの企業や団体から注目されています。
イーサリアムの欠点
イーサリアムは過去幾度となくハッキングの被害にあい、その度にハードフォークを行ってきました。ハードフォークとは今までのルールを廃し、強引に新しいルールを作成し、適用させてしまうものです。特に被害が大きかったのは、2016年にTHE DAOがハッキングされたという事件です。イーサリアムを使用したプロジェクトで、THE DAOの弱点を突かれハッキングをされ、約52億円分のイーサリアムを取られてしまいました。
イーサリアムはハードフォークを行い、ハッキングされたイーサリアムを使用不可にしました。素早い判断と市場は判断しました。しかし、ハードフォークを行ったことによって、一部の開発者たちが、イーサリアムから抜け、イーサリアムクラシックを作ってしまいます。ハッキングに弱いということが、イーサリアムにとっては大きい欠点になっているのが実情です。
イーサリアムの価格推移
イーサリアムのチャートをみてみると冒頭で書いた通り、6月13日に最高値である43,000円をつけています。その後は大きく下げ20,000円を割れたところで再び大きく急上昇していきます。8月30日には6月13日の43,000円に迫る42,000円まで上昇しますが、その後再び大きく下げ、25,000円前後まで下落しました。そして現在、再び上昇トレンドに乗り急上昇している最中です。
ここで問題は、次は42,000円~43,000円の壁を抜けるかどうか、というのが大きな問題となってきます。この42,000円~43,000円の壁を抜けるか否かで、大分状況が変わってくるのではないかと考えています。もし、抜ければ42,000円~43,000円を抜ければ50,000円、60,000円も期待できるでしょうし、抜けなかったらまた大きく下落していくでしょう。
イーサリアムには4段階のアップデートあるとされています。現在は3段階目でメトロポリスと呼ばれている段階です。最終的な目標であるセレニティがいつなのか、というのは発表していないようですが、完成家を迎えたとき、イーサリアムの価格が一体どうなっているのか楽しみです。
今年大きく価格を上げたイーサリアムですが、EEAの規模や国連のプロジェクト等を考慮したとしても、現在の37,000円というのはかなり、低く評価されているような気がします。もちろん完成形ではないので、ある部分では仕方のないのは否めませんが、それでももう少し正当な評価をされてもいいのではないか、と思っています。
株式に限らず仮想通貨も上昇中に買うと、自分の買ったところが天井の可能性があります。しかし底値で買えばあとは大きく上昇を待つだけです。きっと今がイーサリアムを少しでも多く買っておく『チャンス』ということなのではないでしょうか。