仮想通貨は単純に通貨としての機能だけでなく、投資対象としての価値やブロックチェーン技術などを他分野へ応用できる可能性を秘めた、新たな通貨といえます。これだけの拡張性を持った理由としては、仮想通貨がオープンソースとして認められた範囲で、誰もが仮想通貨を発行できてカスタムできるということが大きいでしょう。

しかし、汎用性の高さからある問題も起きています。それが、新たなマルウェアによる不正アクセス被害です。特にマイニングスクリプトと呼ばれるプログラムによって、世界中で被害報告が相次いでいます。これは、仮想通貨投資家だけでなく、インターネットに繋がっている端末を所有している全ての人が知っておく必要がある情報です。ですので今回は、新たなウイルスとして警戒されているマイニングスクリプトとブロック方法、そしてマイニングスクリプトに関連する基礎知識についても紹介していきます。

仮想通貨市場の発達とマイニングスクリプト

マイニングスクリプトについて2017年の仮想通貨市場の急成長から、2018年1月から3月頃まで起きた下落相場、そして再び仮想通貨市場が上昇基調へと動いています。仮想通貨市場は、2017年の急騰相場によって、一時的な人気と揶揄された時期もあり、2018年1月の急落も重なり資金回収の動きもありました。

しかし、2018年2月以降も、企業や資本家達は仮想通貨の長期的な価値や、技術的評価をしている側面もあり再び上昇すると考えられていました。そして2018年4月に入り、仮想通貨の成長に期待している投資家の予想通り、基軸通貨ビッチコインを始めとした多くの仮想通貨が上昇相場へとトレンド転換しました。

仮想通貨が2018年も注目されている理由の1つが、ブロックチェーン技術の汎用性の高さです。元々ブロックチェーン技術自体は、仮想通貨専用の技術ではありません。ですので、イーサリアムなどでは、スマートコントラクト機能を実装して、ブロックチェーンを契約として利用する方式に技術開発しました。例えば、Aというコンテンツ制作者がいるとします。これまでは、仲介会社や管理業者により仲介料を支払いつつ消費者へ届けていました。しかし、スマートコントラクト機能を使用すれば、予めブロックチェーンに記述しておいた契約により、コンテンツ配信と売買・契約手続きまで自動で行ってくれるようになります。

このように、仮想通貨の技術は日々進歩しています。マイニングも新たな技術や概念が開発されたり、効率的なマイニングマシンが考えられたりと、市場が拡大しています。しかし、一方でマイニング関してある問題が起きています。

マイニングスクリプトとは

近年仮想通貨業界に関するある問題が、深刻化しており世界中で被害報告が相次いでいます。その問題は、マイニングに関するあるプログラムにあります。これまでのマイニングの一般的な方法は、個人がマイニングマシンを自作し、マイニング作業を行う方法と、マイニング業者に投資をして配当を得る方法などがありました。他にも、取引回数やどれだけ対象の仮想通貨を保有しているかで、マイニング報酬を得られる方法もあります。一見すると、仮想通貨初心者や、一般の方にとって前述の方法に問題があるのかと考えがちですが、マイニング自体には問題はありません。

では、マイニングの何が問題なのかといいますと、最近開発された新たなマイニング方法の悪用が問題となっています。その方法がウェブサイトにアクセスしただけで、勝手にマイニング作業を始めてしまうプログラムのことです。つまり、自分が知らない間にパソコンの演算処理を使われているということです。

ではなぜ、マイニングスクリプトが、広まっているのかというとマイニングスクリプト自体が収益を生み出しやすい点、そして元のプログラムは問題ではなかったという認識だからです。

そもそも、マイニングスクリプト自体は、正規なプログラムとして配信されています。有名な所では、コインハイブというソフトです。コインハイブは、仮想通貨モネロをマイニングする際に利用されています。ウェブサイトのコードに、マイニングスクリプトを実装することによって、広告掲載しなくてもマイニングによる収入が得られるというアイデアで生まれました。また、訪問者にはマイニングスクリプトの通知を行い、スクリプトが埋め込まれたサイトからマイニングが行われて、訪問者の端末に大きな負荷がかかる側面もあります。

従って、仮に通知を行ってマイニングスクリプトを行っていても、結果的に訪問者の端末の電気代を利用している事、演算処理を限界まで引き上げられているので、フリーズしたり故障したりといった事が起きやすくなることから、マルウェアとして考えられています。

マイニングスクリプトの事例と対策

仮想通貨市場で問題となっているマイニングスクリプトとブロック方法ここからは、実際に起きているマイニングスクリプトの事例や、どのようにユーザー側へ影響をお呼ぼしているのか紹介します。

元々マイニングスクリプトは、ウェブサイトを閲覧している状態でのみマイニングが行われる機能でした。しかし、現在では様々な改造が行われ悪質化した、プログラムへと変わってきています。

1つ目が、ウェブサイトを閲覧し、ブラウザを閉じてもマイニングが行われている手法です。また、中にはブラウザを閉じると、更にCPU稼働率が上がりパソコンに大きな負荷が加えられることもあります。ユーザー側としては非常に迷惑であり、悪質なマイニングスクリプトの1つです。このような場合には、ブラウザを閉じてもバックグラウンドで、マイニングされています。ですので、タスクマネージャーを起動してそこから不正なソフトを閉じる必要があります。

また、ブラウザソフトでは検出することが困難なので、マイニングスクリプトの対策をしているアンチウイルスるソフトや、ブラウザ上でマイニングすることを防ぐNoCoinというソフトを利用することが良いでしょう。

2つ目は、個人情報を盗むプログラムも組み込まれているマイニングスクリプトです。特に悪質な手法ともいえますが、こちらもアンチウイルスソフトの導入やマイニングスクリプトを防ぐソフトのインストールは基本対策です。そして怪しいサイトにはアクセスしないというのも必要です。

マイニングスクリプトをブロックするには

コインハイブをベースとした、不正なマイニングスクリプトをどのようにブロックするかが、ユーザー側として考えるべきことです。

1つは、前述の項目でも紹介したように、アンチウイルスソフトを導入することや、タスクマネージャーをチェックしてCPU稼働率や不正なプログラムが起動していないか簡易チェックすることが基本です。そして次にマイニングスクリプトをブロックするソフトを導入することも必要です。

マイニングスクリプトをブロックするソフトは、2018年時点で様々な用途に合わせて配布されています。有名なソフトの1つには、minerBlockがあります。minerBlockは、訪問したウェブサイトにマイニングスクリプトが埋め込まれていた場合、2つの手法でブロックすることが可能です。

1つは、不正なスクリプトと判断した段階で、動作をブロックする機能と、ブラックリストに登録されたマイニングサービスを発見した際にブロックする手法を実装しています。そして、この2つのブロックシステムを活用することで、不正なマイニングスクリプトから端末を守るようにしています。

他にもマイニングスクリプトをブロックするソフトは、日々アップデートすることによって機能を高めています。また、一方でマイニングスクリプトのブロックを避ける不正プログラムも報告されるようになり、個人もセキュリティ意識も日頃から高めることがマイニングスクリプトをブロックさせる為に繋がります。