2016年から2017年にかけて起きた、ビットコイン相場の急騰及び長期上昇相場によってユーザー側だけでなく業者側も反応しました。仮想通貨はそれまでリスクが高い・怪しいなどと敬遠されてきた歴史がありました。しかし、2017年の急騰とそれに伴い一般の方が、一獲千金を手にしたことで投資未経験者も続々と市場へ参入しました。

そして、更に市場は成長し、株式やFX同様に様々な書籍やサイトも登場するようになりました。そんな流れを察知した企業側も、ビットフライヤー以外にも多くの仮想通貨取引所が開設されました。しかし、このような爆発的な人気や市場の成長を続けていましたが、法的規制や枠組みが追い付いていませんでした。そこで、金融庁は早急に枠組みを設け2017年4月に「改正資金決済法」を施行させました。そこで今回は、仮想通貨取引所と法律の関係や、仮想通貨の定義などについて紹介していきます。

国内の仮想通貨取引所2社が認可申請取り下げ

仮想通貨市場の健全化を目指して2018年3月、金融庁へ仮想通貨取引所運営申請を行っていた2社「ミスターエクスチェンジ」と「東京ゲートウェイ」が新たに申請を取り下げられました。理由は、以前に通達した警告が改善されていない、安全管理に問題があるなどが主な原因とみられています。

また、今回の申請取り下げに関する手続きは、初ではなく、ビットステーションやbitExpress、来夢といった業者も取り下げられました。2018年3月時点で、まだ11社程の仮想通貨交換業者が未申請・申請中となっています。

仮想通貨取引初心者の方の中には、一連の情報を勘違いして仮想通貨が圧力をかけられているといった事を考える場合もあるが、今回の措置はユーザーにとっても運営上問題のある、業者と判断されたことで申請取り下げになった背景があります。特にセキュリティ面がずさんな場合は、後に被害などが出る可能性が高いです。もしこのまま開設していたら、2018年1月のコインチェック取引所のように、人材・予算不足を理由としたウォレット管理の不備でハッキング、仮想通貨流出に繋がりかねません。

バイナンスへの警告を出す方針に関する情報も

みなし仮想通貨交換業者への、申請取り下げ以外にも、注目された情報が他にもあります。それは、中国企業のバイナンスに関する警告方針です。仮想通貨交換業者への申請取り下げ前には、世界最大の仮想通貨取引所バイナンスに対して、無認可営業に関する警告を出す方針と金融庁が発表しました。この背景には、国内で2017年4月に施行された改正式決済法を遵守させるためということです。その内容がバイナンスでは現在、日本人ユーザーも本人確認・免許証などの提示なしで登録できる点です。改正資金決済法では、必ず本人確認や2段階認証など登録時に本人と証明できる手続きが義務になっています。
つまり、中国に拠点を置く企業ですが、利用している人の中に日本人ユーザーが存在し、登録方法が国内の法律違反になるからということです。仮想通貨ユーザーの中には、この情報について賛否両論がありますが、取引所の不備や不正ハッキングによりユーザーの資産が流出した場合ユーザー自身も被害を受けます。また、場合によっては返金されない事も可能性があります。このようなリスクを考えた場合は、金融庁が警告を通達していることについて、ユーザー保護をしている良い行動といえます。

仮想通貨取引所の認可の仕組みとは

仮想通貨取引所認可申請取り下げの背景にある市場の安全性の問題仮想通貨取引所に関する規制や認可については、各国で状況が違うのでまだ改善途中といえます。国内では、2017年4月に改正資金決済法が施行されたことで、仮想通貨取引所を自由に開設・運営ができません。過去のマウントゴッグスやコインチェック問題があったことを受け、金融庁も早急に対策を立てなければ今後も被害が増える可能性があると考えた背景もあります。

国内の「改正資金決済法」で施行された内容のポイントとしては、仮想通貨取引所の認可制度導入と運営に関する規制があります。仮想通貨取引をしているユーザー側もこの点について、覚えることで何か問題が起きる時に自分で対策を立てることも不可能ではありません。また、新たに取引所へ登録する時に、法律を遵守しているか、サイトなどで確認できる所はすることが大切です。

仮想通貨交換業の登録ついては、4つの要件があります。まず、仮想通貨の売買と交換を行う事業をするのかということです。仮想通貨交換業者がユーザーに対して、仮想通貨の売買などを行う内容です。次は、仮想通貨交換業者がユーザー同士の仮想通貨売買や交換の仲介業務や、ユーザーの代わりになって仮想通貨売買を行うことが含まれます。3つ目は、取引所側の資産やユーザーの仮想通貨を管理する業務を担っているかという点です。もし、管理する業務が含まれていなければ、ユーザーの仮想通貨を預かった後の管理がずさんになってしまうことを防ぎます。4つ目は、前述に示した3つの要件を満たす業者であることが挙げられます。

次は、仮想通貨交換業者が取引所を運営するにあたって、遵守すべき事項の一部を紹介します。まず、開設時の資金について規制があります。資本金が1,000万円以上ありマイナスの資産になっていなことです。仮想通貨取引所を運営・管理していく為には、様々なシステムを構築し、維持していかなければいけません。従って、資金がなければユーザーの取引を適切に管理することが難しくなり、結果的に不正ハッキングや仮想通貨流出の原因となります。ですので、資金に関する下限を設定することは、ユーザー保護や市場の健全化に効果があるといえます。次は、セキュリティ対策についての様々な規制があります。簡単に説明すると、システム管理やハッキングに対する対策、そしてシステム障害発生などに対する対処についても、準備する必要があります。
他にも規制がありますが、全てが市場の健全化やユーザーが被害に遭わない為の内容となっています。

仮想通貨ユーザーがとるべき対策

仮想通貨取引所が100%安全ということは、言い切れません。仮想通貨はデジタルに存在する通貨なので、常にハッキングのリスクがあります。ですので、大手仮想通貨取引所の中には、損害保険などもセットで提供している場合もあります。しかし、仮想通貨取引している側も、自分の資産についてしっかり考える必要があります。何を考えるかというと、ウォレット管理の安全性を高めることや、取引に使用している端末がウイルス感染していないか、公共のWi-Fiで通信・取引をしていないか注意をするなどがあります。

特に、ウォレット管理については、仮想通貨取引所に全ての仮想通貨を預けている方も中にはいます。しかし、取引所への不正ハッキングで通貨が流出した場合、自分ではどうしようもない状態になります。従って、そのような被害に遭わない為にも取引する時以外は、自分のウォレットに入れるようにすることが大切です。次に、端末のセキュリティ管理についてですが、自分が使用しているスマホやパソコンがウイルス感染しないようにする為にセキュリティソフトは必ず導入し、危険なサイトは閲覧しないようにすることが必須です。また、定期的にセキュリティソフトで、端末のチェックをかけてウイルス感染していなか確認することも必要です。

金融庁や、世界でも仮想通貨市場の健全化を目指して規制を行っています。しかし、それに頼り過ぎないように、個人でもウォレット管理や取引に使用している端末について、セキュリティ面でよく注意しながら使用していきましょう。