最近では仮想通貨業界の中でも、特にICOプロジェクトが盛り上がりを見せています。今やICOプロジェクトは数え切れないほど存在し、中には中身のない詐欺的な案件も混じっています。今回はその中でも一時熱狂的な盛り上がりを見せたNOAHコインについて解説していきます。この記事を読めばそもそもNOAHコインとは?といった基本的な情報からNOAHコインの特徴、詐欺事件の真相、そして最新情報まで、余すことなく理解することができます。

NOAHコイン(ノアコイン)基本情報

一時期よく耳にしていた『NOAHコイン(ノアコイン)』という名前ですが、そもそもNOAHコインとはなんなのでしょうか?NOAHコインとは、フィリピンを拠点に活動をする会社・ノアファウンデーションがプロデュースしたICOによる仮想通貨です。

NOAHコインの基本的な情報を説明していきます。NOAHコインは2017年にプレセールを行っており、実際に公開されたのは2018年3月13日です。通貨名はノアコイン(NOAH)、通貨単位はNOAHです。発行枚数は2,160億でしたが、2018年3月17日に915億8400万枚まで発行枚数が削減されています。

NOAHコイン(ノアコイン)の目的とその特徴

NOAHコイン(ノアコイン)が上場決定NOAHコイン(ノアコイン)は、フィリピンの出稼ぎ労働者が直面している国際送金手数料の高さを解決するために誕生しました。フィリピンでは著しい人口増加に伴い、海外へ出稼ぎに出る人が多くいます。その数は全人口の約1割、1,000万人にも及ぶと言われています。従来の送金手段は銀行送金が主流でしたが、海外から本国へは一回の送金で数千円もの手数料が取られてしまいます。法定通貨の銀行送金ではなく仮想通を使用して送金すれば、この手数料を大幅に抑えることができます。NOAHコインは海外出稼ぎの人々の送金手数料を抑えることにより快適な生活を送ってもらい、さらにフィリピン経済の発展を目的としたプロジェクトです。

NOAHコインは技術的には目新しい点はありませんが、特徴が2つあります。まず1つ目が、ICOプロジェクトが大成功したという点です。NOAHコインは2017年1月11日から数段階に分けてプレセールを行ってきました。最初から注目を集めており、最終セールでは申し込み開始後3分で120億分が売り切れました。その1ヶ月後、追加分で申し込みを開始したら今度は1分で36億円を完売しました。ここまで注目を集め、大盛況に終わったICOプロジェクトは珍しいといえるでしょう。

2点目は、日本のある人物がNOAHコインの宣伝を各所でしていたことです。その人物とは、インターネットビジネス業界では有名な泉忠司という方です。泉氏はネットビジネス業界だけでなく、大企業や大学などで講演を行うなど実績のある人物で、仮想通貨業界にも精通しています。そんな泉氏はNOAHコインに惚れ込んでおり、ネット上で『理論上100%稼げるコイン』などと大々的に宣伝を繰り返していました。NOAHコインは日本でも注目されたICOプロジェクトですが、その盛り上がりには泉氏の広告効果も大きく影響しています。

NOAHコインは詐欺コイン?詐欺と呼ばれた経緯と真相を解明

ICOプロジェクトの開始当初から大きな注目を浴びていたNOAHコイン(ノアコイン)ですが、一時詐欺コインとの噂が大きく流れ始め、プレセール購入者への返金騒動まで発展しました。詐欺コインと呼ばれた経緯とその一部始終を解説します。

プロジェクト当初から将来有望な通貨として注目を集めていたNOAHコインですが、なぜそこまで莫大な支持を集められていたのでしょうか。それはNOAHコイン陣営による『今回のプロジェクトはフィリピン政府公認である』『フィリピン航空とも提携を結んでいる』『フィリピン政財界の大物であるルシオ・タン氏とも手を結んでいる』といった大々的な公表があったからです。政府公認のプロジェクトであるならば安心して投資ができる、とたくさんの人が購入に走りました。

しかし事態は一転します。2017年3月14日、フィリピン大使館の公式HPで『NOAHコインプロジェクトとフィリピン政府は無関係で、さらに登録されている住所にはノア・ファウンデーションの会社は存在しなかった』といった内容が公表されました。また、この発表の後に続くようにフィリピン航空、およびルシオ・タン氏からも当該プロジェクトと自分たちは一切関係がない、という発言がありました。

以上の理由からNOAHコインは詐欺コイン、と言われるようになりネット上でも物議が醸し出されていました。この騒動は最終的にNOAHコイン側が、希望者には返金措置をとるという発表をして収まりました。

また、返金騒動に関してNOAHコイン側はもちろん、泉氏からも謝罪文が公表されました。先ほど挙げた誇大広告は泉氏を通しての発言だったため、泉氏にも責任があるということです。泉氏によると、実際にNOAHコイン陣営はフィリピン政府の方や大手企業の方とも話し合いをしており、そのことからNOAHコインは将来的にビッグプロジェクトになると確信し、誇大な宣伝をしてしまったとのことです。

以上がNOAH詐欺事件の顛末です。実際に返金はされ、現在もプロジェクトが進んでいるため詐欺と断定はできません。しかし、異常なまでの誇大広告で消費者を煽る行為は信頼性には欠けると言って間違い無いでしょう。

NOAHコイン(ノアコイン)の現在の価格や時価総額など最新情報

一時は返金騒動にまで発展し、NOAHコイン(ノアコイン)は終わった、と思われていました。しかしNOAHコインは返金後もプロジェクトは進み、実際に現在では公開までされています。NOAHコインの上場先や現在の価格など、最新情報に触れていきます。

NOAHコインの当初の開発予定日は2018年6月12日、フィリピンの建国記念日と同日に予定されていました。しかし3月9日、当初の予定より3か月も早い3月12日に、ある大手取引所への上場が決定したとの発表がありました。その大手取引所というのがHitBTCです。HitBTCは海外の仮想通貨取引所で、出来高は世界トップ10にも入ると言われています。2013年から運営されており、比較的安心して利用することができる取引所といえるでしょう。

NOAHコインのHitBTC上場への発表は好材料と捉えられ、上場後には価格が10倍(1NOAHあたり3円弱)にまで跳ね上がり、時価総額は1時期15位にまで上昇しました。気になる現在(2018年4月16日)の1NOAHあたりの価格は1.1円、時価総額は43位にまで下がっています。

NOAHコイン(ノアコイン)の将来性

上場直後の盛り上がりから一転、現在は低調気味のNOAHコイン(ノアコイン)ですが気になる将来性はどうなのでしょうか。NOAHコインは最近発行枚数を大幅に減らしました。発行枚数が少ないということは、それだけ希少価値が高まり、コインの流動性も高まるということです。また、今後さらに大きな好材料を2つ備えていると泉氏が発表をしています。

まず1つ目が、さらなる大手取引所への上場を4つも控えているということです。正確な日時まではわかりませんが、近日中には発表がされるとのことです。ネット上では上場先としてbinanceやbitflyerなどが予想されていますが、確証はありません。どこへ上場するかはまだわかりませんが、やはり上場先が増えれば増えるほど、認知度と流動性が高まり、価値向上へとつながります。

二つ目が、大手金融機関との提携が予定されているということです。これも正確な情報はまだわかりませんが、超大手金融機関とのことです。これが実現すれば、NOAHコイン本来の目的である海外送金の手数料緩和の実現が現実味を帯びてきますね。

他にも、フィリピン以外の国で決済導入、ある有名人とのコラボなど、好材料がいくつも用意されているため将来性は高いと言えます。しかし、この発表もやはり泉氏を通してされており、『今NOAHコインを持っている方は今後も絶対持ち続けた方がいい』など誇大広告と取れる発言もあります。一度NOAHコイン陣営は信用を失っていますから、その信頼を回復するのは簡単なことではありません。ネットの情報を信じるのではなく、しっかりと自分自身で精査した上で投資をするかどうかの判断をしましょう。