ビットコインが久しぶりに100万円を突破、アルトコインも軒並み上昇

ビットコイン100万円突破で仮想通貨市場は回復基調へ4月24日にビットコイン(BTC)価格が、2018年の下落トレンドに入ってから初めて100万円台を回復しました。今年に入って最大60~80%以上も下落していた需要の多いアルトコインのチャートも、ビットコインと連動して回復基調を見せており、特にイーサリアム(ETH)とリップル(XRP)、ビットコインキャッシュ(BCH)はBTC以上の値上がり率を見せています。金融機関に国際決済手段としての技術的な採用率が高いリップルは、仮想通貨市場ではとても人気のあるアルトコインですが、1月初めに400円超まで高騰した後に、50円以下まで暴落していました。4月24日頃には、XRPも久々に100円を一時超えて、XRP関連の好材料のニュースも出てきています。

現在から振り返ってみると、3月末から4月初旬の70万円前後のBTC価格が底値だったことになります。2月末の120万円台への瞬間的な急騰があった後は、3月末まで一貫した下落トレンドが続いていたので、個人投資家の心理として「現物の買い+仮想通貨FXのロングポジション」が持ちにくかったのですが、急速なBTC上昇でショートポジションが大きく減ったことも価格上昇に寄与しました。BTCチャートのテクニカル分析では移動平均線が長期でも下落の角度が無くなってフラットになってきており、90万円台を支持線として固めてきた状態にあります。

暴落していたビットコインキャッシュ(BCH)も急上昇

仮想通貨市場が回復基調を見せてきているファンダメンタルズ分析の要因としては、イスラム圏で仮想通貨(ビットコイン)がイスラム法のシャリーアに照らして「ハラル(合法)」であるとするインドネシアのイスラム法学者の見解が出されたことがあります。数兆円規模ともされるオイルマネーを財源とするファンドの一角が仮想通貨投資に打って出ることがあれば、BTCをはじめとする仮想通貨価格は一段と高くなる可能性があるからです。米国の「確定申告の時期」が終わって、納税を行って還付金が戻ってきた米国の個人投資家が仮想通貨市場に戻ってきたことも、BTC価格上昇の一因とされています。

BTC以上に価格の急騰が目立っているのが、BTCから昨年7月にハードフォーク(分岐)したビットコインキャッシュ(BCH)です。ビットコインキャッシュ(BCH)は2017年末から2018年初頭にかけて最高46万円超の水準にまで価格を上げていましたが、4月1日時点では6万円台前半まで価格を暴落させていました。しかし、4月24日にはBCHは16万円以上にまで一時高騰して、BCHに関連するハードフォークをはじめとする好材料も増えてきています。BCHは5月15日に予定されているハードフォークによって、ブロックサイズが現行の8MBから32MBにまで大幅に拡張されます。ビットコイン(BTC)のブロックサイズは1~2MBでBCHはその32倍の容量を持つことになります。現状はBTCの取引量減少でトランザクション処理の遅れは減っているのですが、BCHのハードフォークで、「スケーラビリティー問題(トランザクション取引処理の遅滞+送金手数料高騰)」をほぼ解決できるという見方が出ているのです。

2018年末に向けて著名投資家の「強気のビットコイン価格予想」も続く

ビットコインキャッシュ(BCH)がここ1ヶ月で2倍以上にまで価格を上げた要因は、テクニカル分析と投資家心理から見て「価格をあまりに下げ過ぎていたこと」が最大の要因です。それと合わせて、世界最大のマイニングプール・BITMAIN社が「BCHの送金手数料の約12%」をバーン(焼却処分)して、「BCHの希少価値」を意図的に高めたことも影響しているでしょう。

ビットコイン価格の未来予測については、ニューヨークのアナリスト・コンサルタントのトーン・ベイズ氏や著名なビットコイン信奉者トマス・リー氏が、ビットコインの暴落状況は長く続かないとして、2018年末までに25,000ドル(約270万円)にまで上昇すると強気の予測をしています。時価総額が数兆ドル規模にまで拡大するというアウトライヤーベンチャーズのCEOジェミー・バーク氏の極端な予想もあります。

仮想通貨取引所ゲートコインのトーマス・グラックスマン氏も、ブロックチェーンの技術革新や規制強化による投資家保護がBTC価格を50,000ドルまで上昇させると強気に語っています。仮想通貨反対派の意見としては、ビル・ハリス元ペイパルCEOが「ビットコインは史上最大の詐欺」だとして強く非難しています。ビル・ハリス氏がビットコインを詐欺とする根拠は、「決済方法としての使いにくさ・ボラティリティーの大きさ(価値保存できない)・内在価値の欠如・電力浪費・ICO詐欺・マネロンや脱税」ですが、この中には明ら

マネックスが発表したコインチェック業績・財務状況は想定以上に良好

仮想通貨交換事業者として金融庁の認可を受けるために経営再建中のコインチェック社を、マネックスグループが数十億円規模で買収して大きなニュースとなりました。NEMが大量流出した1月末の「コインチェック事件」に絡んで、「約460億円の日本円による盗難NEM補償」を実施したため、コインチェックの経営財務状況・業績の推移が心配されていました。しかし、マネックスグループが開示した「コインチェックの決算情報(2018年3月期)」を見る限り、業績と資金の面での不安は無いようです。3月期の売上高は「626億円(前期比63.9倍)」、営業利益は「537億円(前期比74.7倍)」で、大量流出して盗まれたNEM補償の特別損失約473億円を差し引いても課税前利益が「約63億円」もあるのだから驚きです。2018年3月時点で、累計170万口座を開設、17年3月期の純資産は前年比7.8倍の約5億4千万円となっています。

このコインチェックの絶好調な業績は、昨年末の「仮想通貨バブル(ビットコイン高騰)」の恩恵を受けたものなので、今後も継続的にこれだけの売上・利益を上げられる保証はもちろんありません。これから、SBIバーチャル・カーレンシーズやヤフー運営のビットアルゴ、LINEの仮想通貨事業部門などが取引所経営に続々と参加してきて、「取引所の割高なスプレッド(手数料)を巡る競争環境」が激化するとも予測されています。

コインチェック社の高利益体質(売上に対する利益率が80%以上)は常識を超えていて、東証一部上場企業でもここまでの高い利益率を維持している会社はありません。しかし今後は、「スプレッド最安値を巡る競争(投資家にとっては手数料が安くなる嬉しい競争)」が激しくなるので、コインチェックもこの「異常に高い利益率(暴利源泉のスプレッド)」を維持することは困難になるでしょう。

SBIVCが仮想通貨事業に本格参入

業績好調のコインチェックとスプレッド価格競争を仕掛ける構えのSBIVC仮想通貨市場が2018年に再び活性化しそうなニュースとして、米国の金融機関の約20%が仮想通貨取引に投資したい意向を持っていること、ナスダック社が仮想通貨取引のプラットフォーム化に前向きなことが伝えられています。Thomson Reuters社の意識調査では、米国の金融機関の「約20%」が今後の仮想通貨取引を検討しており、その内の約70%の金融機関が短期でアルトコインも含む仮想通貨取引を開始したい考えを持っていることが明らかになっています。

ナスダックのアデナ・フリードマンCEOは、「市場の成熟・適切な規制の整備(投資家保護の規制)があれば、ナスダックはビットコインのような暗号通貨(仮想通貨)を取り扱う可能性がある」と明言しています。将来的に、ナスダックという大手証券取引所が仮想通貨取引所として機能する可能性が示唆されたことは、「未来の仮想通貨市場の規模拡大(個人投資家の裾野の広がり)」を予言していると解釈できるでしょう。

日本国内でも、ヤフーやLINEといった大手IT企業が仮想通貨交換事業に続々と新規参入することを明らかにしていますが、2018年夏には北尾吉孝CEOが率いるSBIホールディングスが満を持して仮想通貨取引所「SBIバーチャル・カーレンシーズ(SBIVC)」を開設する予定になっています。北尾吉孝氏はSBIVCで取り扱う仮想通貨の種類として「ビットコイン(BTC)・ビットコインキャッシュ(BCH)・イーサリアム(ETH)・リップル(XRP)」などの市場評価が手堅いコインを上げており、匿名性が高くて本人確認が困難であるために法的リスク(脱税・犯罪の流用リスク)のある「匿名仮想通貨(Monero・DASH・Zcashなど)」は一切取り扱うことはないとしています。

北尾氏はさらに「スプレッドを業界最小に設定して、グループ企業の証券会社とのシナジー効果により直ちに業界トップになる」と怪気炎を上げています。SBI証券の顧客基盤(開設口座数)・投資資金の規模を考えれば、北尾氏の「仮想通貨業界トップ宣言」はあながち大風呂敷でもなく実現可能性を織り込んだものとも言えます。仮想通貨投資家は「買値(Ask)と売値(Bid)の価格差であるスプレッドの高さ」に対する不満が大きいですので、北尾氏の「スプレッド値下げ・今後はスプレッドだけで儲けられる取引所を無くす」という宣言は、概ね好意的に受け取られることになるでしょう。