アルトコイン投資対象としてのリップル(XRP)の魅力
仮想通貨には基軸通貨的な役割を果たしている仮想通貨ビットコイン(BTC)以外にも、沢山の種類の仮想通貨、アルトコインがありますが、アルトコインはBTC以上に価格の変動が激しいので慎重に選ぶ必要があります。仮想通貨ビットコインのドミナンス(市場占有率)は昨年半ばまでは60%以上の大きさがありましたが、5月現在では50%を割り込む水準になっており、価格が不安定とはいえ「分散投資対象の仮想通貨、アルトコイン」を無視することができなくなっています。ボラティリティー(価格変動幅)が大きな仮想通貨、アルトコインはどの仮想通貨に投資すればいいのかが分からないという人も多いと思いますが、手堅く長期投資の姿勢で望むのであれば、やはり人気と需要のある仮想通貨、アルトコインに重点的に分散投資していくべきでしょう。
仮想通貨の時価総額(全体市場規模は約30~35兆円)のダントツ1位はビットコイン(BTC)ですが、ビットコインをイーサリアム(ETH)、リップル(XRP)、ビットコインキャッシュ(BCH)が追いかけています。仮想通貨リップルの現在の時価総額は、約3~4兆円規模で推移しています。他にも仮想通貨ネムや仮想通貨ライトコインなどの有力アルトコインはありますが、BTC以外の仮想通貨の分散投資・積立投資を検討するのであれば、まず仮想通貨時価総額2位と3位を常に争っている仕組み上のベネフィットも多いETHとリップルに注目すべきなのです。
リップルは1月初めに400円を超える急騰を見せて、一時的にリップルはイーサリアムの時価総額を超えたことで話題になりましたが、リップルの「ビットコインの100倍以上の送金処理能力」とリップルの「金融機関にも採用されるリップル社の安定した送金システム(仮想通貨リップルそのものではない)」で大きな注目を集め続けています。
リップルは「価値のインターネット(IoV)」を目指す
リップル(Ripple)は厳密には、仮想通貨(アルトコイン)のことだけを意味するのではなく、Ripple Inc.(リップル社)が開発した「送金・決済システム(RTXP)」の全体を意味しているのがリップルです。リップルはビットコイン以上の効率的な送金・決済ができる金融システムの仮想通貨であると同時に、リップルの金融システムで使用されている仮想通貨の名称でもあるのです。仮想通貨リップルの単位は「XRP(読み方はエックス・アール・ピーあるいはザープ)」となっています。リップルの基盤になっているのは、2004年からリャン・ファガー(Ryan Fugger)が開発を始めた金融システムですが、2012年9月に経営権を譲り受けた共同創業者クリス・ラーセン(Chris Larsen)がOpenCoin Inc.という社名で起業しました。2013年9月にRipple Lab Inc.となって初めて社名にリップルが入り、2015年10月に現在まで続く「Ripple Inc.」のシンプルな社名に変わりました。
仮想通貨リップル(XRP)は2017年からの急騰を受け、一時は仮想通貨リップルの価格が数百倍にまで膨れ上がりました。仮想通貨リップル価格高騰の影響で、実質的なリップルの創業者で大量のリップルを保有するクリス・ラーセン(現在はリップル社のCEOではない)は、米国長者番付でトップ10にランクインするほどの巨額の個人資産を築きました。
リップル社の目標は「価値のインターネット(IoV=Internet of Value)」を実現するというシンプルなもので、リップルでインターネットを介してあらゆる場所に「スピーディーかつ低コストな価値の移転」ができるようにすることにあります。仮想通貨リップルによる国際送金手段は「価値のインターネット(IoV)」の一部に過ぎず、リップル社はインターネットで「情報・知識」を瞬時にやり取りしている現状を、リップルで「価値の移転(お金の送受信も含む)」にまで拡大しようとしているのです。
リップル社は金融機関の銀行口座に頼らない普遍的なお金(価値)の移転手段を目指す
お金(価値)の送金は、今までの金融システムだと銀行の口座から口座へと送金していました。この銀行間の価値の移動(送金・入金)は、中央管理者である銀行(金融機関)が責任を持ってくれる代わりに、「手数料・送金時間(日数)」がかかりすぎるという欠点がありました。この中央管理者の金融機関が介在することによる「手数料・送金時間の欠点」を改善しようとしたのが、ビットコイン(BTC)を発明したサトシ・ナカモトの論文「Bitcoin:A Peer-to-Peer Electronic Cash System」にある基本思想なのです。銀行のような第三者を必要としない「トラストレスでセキュアな送金」は、ビットコインもリップルも含む全ての仮想通貨の原点にある目的の一つですが、仮想通貨リップルは「非ブロックチェーンの分散台帳Ledgerの承認作業(PoC)」においては中央集権的な性格も持っています。
リップル社は、あらゆる人が「簡単・迅速・低コストの価値の移動」ができる「価値のインターネット(IoV)」の実現を使命としていますが、そのリップルの典型的なイメージの一つが「銀行口座を持っていない途上国の人・貧しい人(口座維持手数料を払えない人)」でもリップルを使ってスマホ・携帯電話でメールを送る感覚で手軽かつスピーディーな送金(しかも低コストな送金)ができるようになる世界なのです。現時点で世界全体における銀行口座保有率(モバイル専用口座含む)は約60~65%で、今でも途上国中心に銀行口座がないために「お金(価値)の送金・受取り」に困っている人が大勢いるのです。仮想通貨リップルはRTXPと呼ばれる送金手段で、為替市場を代替するかのような「異なる通貨間(決済手段間)の価値の移転」を可能にしています。
ILP(インターレジャープロトコル)についての解説
仮想通貨リップルの金融システムで送金手段の要となるRTXP(リップル・トランザクション・プロトコル)は、「ILP」と「XRP Ledger」の二つのプロトコルで構成されています。ILP(インターレジャープロトコル)は簡単に言えば、「異なる決済手段(通貨)の間にある壁を取り払ってしまう技術」であり、日本円を簡単かつ迅速にドルやユーロとして海外の相手に送金することができます。10,000円分の日本円を約90ドルとして相手に送金したい時、リップルのILPでは「10,000円の日本円=約110XRP=約90ドル」の三種類の異なる通貨がエスクロー入金(仮入金)され、いったん「保留状態(ハッシュロック)」になります。
エスクロー入金には、「コネクター」と呼ばれる安全な送金を手伝ってくれる協力者も参加しており、一定の安価な手数料を受け取っています。コネクターを含むすべてのエスクローが準備状態に入って、送信側と受信側の安全性が確認された時に、連鎖的にハッシュロックが解除されていき、「異なる通貨間の安全な送金」が速やかに行われる仕組みになっているのです。一定時間に送受信の合意が取れなければ、「タイムロック」が実行されてエスクローが取り消され、送金されていない元の状態に戻るので「セキュリティーも確保された送金プロトコル」です。エスクローを使った送金処理の仕組みを「Hashed-Timelock Agreements (HTLAs) 」といいますが、ILPはその1レイヤーを構成しています。ILP以外にも送金用途に合わせて複数のレイヤーがあるので、仮想通貨リップルは異なる通貨間の送金手段について高い拡張性を持っているのです。
XRP LedgerとRPCAについての解説
仮想通貨リップルの送金手段RTXPは、「XRP Ledger」というブロックチェーンを代替するプロトコルを採用することで、リップルはビットコイン(BTC)よりも「迅速・手軽・安価な送金」を実現しています。仮想通貨としての「国際送金・異種通貨送金の性能」で、リップル(XRP)がビットコイン(BTC)よりも優れている理由の一つが、XRP Ledgerを採用していることにあるのです。リップルのシステムとアルトコインのリップル(XRP)は、仮想通貨ではあっても一般的な「ブロックチェーンを採用した仮想通貨」ではありません。XRP Ledgerの大きな特徴は「IOU(借用手形)の利用」によって、リップルは実際にその場に通貨量がなくても債務者間の信用関係(トラストライン)を構築することで、「大幅なコスト削減による約5秒の迅速な仮想通貨の送金(手数料も数十円の送金)」を実現していることにあります。
XRP Ledgerのもう一つの特徴は、コンセンサスアルゴリズムとしてビットコインのようなマイニング(採掘の複雑な計算作業)を必要としない「RPCA(XRP ConsensusあるいはXRP LCP)」を採用していることにあります。RPCAは、より一般的な概念である「PoC(Proof of Consensus)」と呼ばれることもあります。リップル・XRPの「RPCA」は、ビットコインなどのコンセンサスアルゴリズムである「PoW(Proof of Work)」と違って、誰でも自前のマシンパワーを活用してマイナーになれるという仕組みではありません。
RPCAによるリップルのLedger(分散台帳)の取引データの承認作業は、リップル社が選んだ企業・団体が「バリデーター(検証者)」になって、トップダウンで取引データの処理・承認作業を行うというものです。そのため、リップル(XRP)は厳密にはビットコインのような「非中央集権的な仮想通貨システム」ではなく、「リップル社やバリデーターが実質的な管理者・権限者」として機能しています。リップルとビットコインのどちらの運営システム(コンセンサスアルゴリズム)が優れているかは一概には言えませんが、リップルはPoWの複雑な計算作業を巡るマイナーの競争がないので「電気代の浪費」を防ぐことができ、マイナー報酬が発生しないので「より安い送金手数料」を実現しやすいのです。