仮想通貨の代表格であるビットコインの価格は今年1月に1BTC11万円であったものが、仮想通貨法の成立に伴って世間に認知され始めたことと、仮想通貨の安全性が高まり始めたことから、9月に1BTC55万円と5倍を達成したのち中国の取引禁止などの需要悪化を懸念して一時1BTCが30万円台に大幅に下落しました。しかし、すぐにビットコインの価格は回復し、10月に入ってからは9月の高値をいとも簡単に突破し、現在は1BTC66万円と6倍を達成するに至っています。

仮想通貨市場とよく比較される株式市場では、今年に入ってからは北朝鮮の核開発や弾道ミサイル発射などの地政学的リスクの高まりによって乱高下を繰り返す形となっていましたが、長い目で見てみると安定して右肩上がりのグラフを描いています。特に10月に入ってからは21年ぶりに2万1000円を突破し、50年以上ぶりの14連騰タイ記録に並んでいて勢いが衰えていません。ビットコインの値動きと株の値動きには関連性があるのでしょうか?まずはビットコインと株の違いについて見ていきましょう。

株の特徴

仮想通貨と株の違いについて株は証券取引上に上場している約3500社の中から自分が投資したい企業を選んで投資することになります。CMを流すなど、身近にある有名な企業だからと言って必ず上場しているわけではありません。企業は株式上場によって得た資金を有効に活用することで、企業価値を高めていくことになります。企業価値が高まってくることによって株価も上昇するため、投資家はその売却益によって利益を得ることができます。それだけでなく、企業は上場によって業績を伸ばすことができた場合には、利益還元のために配当や株主優待などの特典を株主に還元することになるため、投資家の利益が大きくなります。

購入価格は取引日の株価と購入最低単元によって変わってきますが、1万円程度で購入できる銘柄は3500社の中でも70社(約2%)ほどしかなく、残りの98%はそれ以上の費用を必要とするため、投資を行うためにかかる費用が比較的高くなります。価格変動を決定するのは企業の将来性だけでなく、地政学的リスクなどの外部環境、銘柄ごとの指標(PER、PBR、ROEなど)、チャートの形状、信用取り組みなど様々な要因によって変動が生じてきます。業績がどうなのか、取引を行いたい銘柄が割安なのか割高なのか、投資によって得た資金を有効に活用することができているかどうかなどを判断する指標を理解することで、リスクをしっかりと管理することができるというのが株のいいところでしょう。税金に関しては、譲渡所得に分類されるため所得税の15.315%と住民税の5%が適用され利益に対して20.315%の税金が発生することになります。

ビットコインの特徴

仮想通貨の数はここ数年でみるみる増えており、現在はビットコインをはじめとして、約800種類の通貨が存在していると言われています。その中で流動性のある仮想通貨しか投資に向いていないため、実際に頻繁に取り扱いが行われている仮想通貨は数十種類ほどでしょう。ビットコインはその中でも圧倒的に取引が行われています。ビットコインをはじめとする仮想通貨は通貨として使うのが本来の目的です。ビットコインやアルトコインなどの仮想通貨は、個人間や企業間を問わず、モノやサービスの対価として支払いに使用する以外にも、インターネットを介して簡単に瞬時に日本国内に限らず海外にも送金を行うことができるというものになります。

ビットコインをはじめとする仮想通貨の取引最低単価は各取引所によって異なりますが、0.0001BTCから取引を行っている取引所などでは、1BTCが66万円だとすると66円で取引が行えることになります。発行量が限られていることから、価格に関しては欲しいと思う人が増えれば上がり、いらないと思う人が増えれば下がるという単純明快なものになりますが、仮想通貨そのものの価値の判断が難しいことと、需要などの将来性の判断が難しいことから、小さなニュースでも価格の乱高下が生じます。

仮想通貨を売買して投資を行う場合には、購入価格と売却価格の差益による利益しかありません。また、ビットコインは企業の株ではありませんので、業績などの判断できる指標やチャートの形状が存在しないため、価格変動の予想が難しく乱高下が激しいという点があります。税金に関しては、仮想通貨の売買益は雑所得に分類されるため累進課税が適用となり、給与所得などを加えた総額が大きくなればなるほど課税額が大きくなってしまいます。ビットコインをはじめとする仮想通貨に投資して得た利益には、株の利益よりも大幅に大きな税率が掛けられてしまうと言って良いでしょう。

特徴から見る違い

株とビットコインには大きな違いが3つあります。まず1つ目は、対象物の種類の多さです。株の場合は対象としているものが証券取引上に上場している約3500社のため、その中から取引する銘柄を選ぶ必要があることです。ビットコインの場合には800種類の仮想通貨が存在していると言っても、流動性のあるものがビットコインを含めた数種類しかないため簡単に選ぶことができます。

2つ目は、最低取引金額の違いです。株の場合は株価に最低購入単元数をかけたものが最低取引金額になりますが、最低でも5千円~1万は必要としますが、ビットコインの場合には、取引所によって最低取引金額は異なっているものの今現在は66円から取引を行うことができます。

最後は、税法上の違いです。株の場合は取引によって利益が生じると譲渡所得とみなされ、20.315%の課税が行われますが、ビットコインの場合は利益が生じると雑所得とみなされ、給与所得やその他の所得と合わせた累進課税が行われます。よって、ビットコイン売買で得た利益が多くなれば多くなるほど課税額が増えることになります。また、株は譲渡所得に分類されることから、損益通算と言って取引によって通算してマイナスになっている場合には課税が行われないなどの特典がありますが、ビットコインは雑所得に分類されることから、通算してマイナスになっていたとしても利益が生じるたびに課税されてしまうという違いがあります。

仮想通貨は地政学的リスクの高まりで需要が増える

ビットコインはそもそも投資用に開発されたものではなく、通貨として使うのが本来の目的で、個人間や企業間を問わず、モノやサービスの対価として支払いに使用する以外にも、インターネットを介して簡単に瞬時に日本国内に限らず海外にも送金を行うことができるというものでした。しかし、ビットコインの発行量が限られていることや自国の通貨が不安定で仮想通貨として資産を保有しているほうが安定しているなどの各国の事情によって、ビットコインの価格が高騰していきました。実際に、中国では景気の後退を懸念する市民が自分たちの資産をビットコインに変える動きが見られていたことから、国民の資産の実態が把握できなることを心配した政府が、ビットコイン取引を禁止するなど各国によって仮想通貨に対する考えは異なります。しかし、膨大なチャイナマネーの影響は大きく、取引の禁止が発表された直後は、価格が一時的に大幅に下落するなど影響が出ました。

ビットコインと株の価格の連動性は基本的にはないと言われています。どちらかというとビットコインのポジションは金に近いような感じと言われており、地政学的リスクなどが高まった場合には株からビットコインに資産を移動するなどの流れが生じているように感じます。株とビットコインの価格が両方とも右肩上がりに上がり続けているのは、NYダウも含めて世界的に投資に対する印象が良くなってきており、積極的に投資が行われているためであると考えます。

ビットコインは年内にも1BTC100万円に到達するのではないかと言われていますが、当初は絶対にありえないと思っていましたが、仮想通貨の今の勢いを見ると取引制限が設定されていないだけにあっという間に達成してしまうのではないかと感じています。ビットコインも元本保証がされていない投資になります。株の場合は、判断を誤ってしまうと上場廃止や倒産などによって投資した金額の全てを失ってしまう可能性もありますし、ビットコインの場合は、サイバー攻撃などの影響で資産が消失してしまったり乱高下で大幅な損失を抱えてしまったりする可能性があります。ビットコインに投資を行う場合は、しっかりと自分の中でのルールとそれぞれの特徴を把握して取引を行うようにしましょう。