ポイントカードのポイントは現金の代わり
あなたは「お金」のお札やコインを、どこから手に入れていますか?おそらく「ATMの機械」と答える人は、かなりの数にのぼるでしょう。給料も年金もアルバイト代もそのほとんどは銀行振込なので、自分でお店をやっている人以外は、お金はATMから手に入れているでしょう。今は銀行のATMコーナーだけでなく、駅やスーパーやコンビニやガソリンスタンドなど、さまざまな場所にATMの機械があります。手数料を気にしなければ、お札だけでよければ、ほとんどのATMで、どこの銀行、郵便局のキャッシュカードでもお金を引き出せます。24時間営業のコンビニなら真夜中でも引き出せます。そうやってATMで引き出したお札を買い物の支払いに使って、おつりとして100円玉や10円玉のようなコインを手にするというパターンが、大部分を占めると思います。
では、一般の通貨ではなく仮想通貨はどうすれば、手に入れられるのでしょうか?ATMからは、引き出せません。仮想通貨には紙や金属のような「お金」の形をしていないからです。ではどんな形をしているのかというと「情報」です。ちょっとくわしく言えば「電子的なデジタル・データ」です。ではその、デジタル・データとは、何なのでしょうか? 身近な例で言えば、ポイントカードの「ポイント」が挙げられます。家電量販店やコンビニや美容室などのポイントカードを持っていたら、支払いの時にポイントカードを一緒に出すと店員さんがレジにある機械に通して、ポイントカードにポイントがたまります。ただし、使えるお店は原則としてポイントカードを発行したチェーン店に限られます。ポイントは申し出れば、「1ポイント=1円」など、決められた交換レートに応じて現金代わりに使えます。100ポイント持っていて、500円分の買い物をして「100ポイント使います」と申し出たら、500円マイナス100ポイントで、400円分のコインで支払いをすませられます。
そのポイントは、以前は紙の「割引クーポン」でした。買い物1000円ごとに1枚もらえて、10枚ためるとレジで100円割り引きます、というようなクーポンです。でも、10枚ためるまでにどこかに忘れてしまいがちでした。その「紙」のクーポンが、ポイントカードでは形のない「デジタル・データ」に変わったというわけです。デジタル・データには形がありませんが、ポイントカードを発行した会社がポイントカード会員全員のデータをきちんと管理しているので、レジでポイントカードを出せば、ポイント残高に1ポイントの狂いもなく、ポイントが現金の代わりに使えるのです。実は、仮想通貨のしくみは、そのポイントカードによく似ています。
ポイントを使うように、仮想通貨を使える
家電量販店やコンビニや美容室などのポイントカードは、お店で「ポイントカード会員になりたい」と申し出て発行してもらいます。ポイントカード会員の氏名や住所などの個人データ、買い物の記録、たまっているポイント残高などのデータは、ポイントカードを発行したチェーン本部が管理しています。ポイントは原則として他のチェーンのお店では利用できませんが、「Pontaカード」のように、コンビニ、ガソリンスタンド、ドラッグストアなどさまざまなお店が加盟していて、ポイントを各店共通でためて、使えるポイントカードもあります。
仮想通貨も、それと同じです。ポイントのように、現金代わりに使えます。ただし、お店が仮想通貨に対応していなければ、使えません。それが大事な点です。現在は、手はじめに「ビットコイン」から、仮想通貨を現金代わりに使えるお店が増え始めているところです。今後、対応するお店が1万店、2万店と増えていくでしょう。
ポイントカードのポイントとは大きな違いがあります。ポイントは「1ポイント=1円」というように、円との交換レートが決まっていますが、仮想通貨はレート固定制のMUFGコインのような例外もありますが、ビットコインなど大部分のものは円との交換レートがたえず変動します。たとえばコンビニで500円のお弁当を買い「ビットコインで支払います」と店員さんに告げると、レジが交換レートをもとに自動的に計算して「○○BTC」と表示します。その次にビットコインのデータが入っているスマホやカードを渡すと、店員さんがそれをレジの機械に通して、お弁当の代金分のビットコインが差し引かれて、返されます。これは、コンビニのポイントカードに500ポイント以上がたまっている時、店員さんがポイントカードをレジの機械に通してポイントが差し引かれ、現金を1円も払わないで買い物ができるしくみと、ほとんど同じです。仮想通貨の使い方は、ポイントカードのポイントの使い方にとてもよく似ていることが、これでおわかりでしょう。ポイントカードのポイントも仮想通貨も、「デジタル・データ」で支払いをします。
仮想通貨の取引所に登録するには
仮想通貨をお店で使うには、レジがその仮想通貨に対応していて、しかもその仮想通貨のデジタル・データが入っているスマホを持っていく必要があります。では、仮想通貨を買って、そのデジタル・データをスマホに入れておくには、どうすればいいのでしょうか? また、スマホではなくカードの形で仮想通貨を使うには、どうすればいいのでしょうか?
最初にやることは「仮想通貨の取引所に登録する」です。現在、日本国内で利用者が多い取引所は次の3つです。
・「コインチェック」
・「ビットフライヤー」
・「Zaif」
仮想通貨で最も有名な「ビットコイン」は、この3つとも取り扱っています。「イーサリアム」はコインチェックとビットフライヤー、「リップル」はコインチェックを取り扱っています。「nem」「MONAコイン」はZaifで取り扱っています。たとえばコインチェックでビットコインを買う場合、スマホでコインチェックのウェブサイトにアクセスして、ユーザー登録を行います。まずメールアドレスを記入して、パスワードを設定します。パスワードはできるだけ字数を多く、複雑にして、決して忘れないようにして、他の人に教えてはいけません。コインチェックでは100万円までの盗難補償がありますが、自分のお金は自分で守るのが原則です。メールアドレス宛に確認メールが届きますから、そこに書いてあるURLリンクをクリックすればユーザー登録は完了です。次にスマホの電話番号を入れると、SMS(ショートメッセージ)で認証コードが送られてきますから、それを入力します。これで電話による本人確認は完了しました。
コインチェックでは、これだけで5万円以内の金額なら仮想通貨への入金ができます。それより多い金額の仮想通貨を入手したい場合は、住所、氏名、性別、自分の写真のデータ、運転免許証やマイナンバーカードのような本人確認書類の写しのデータを送信する必要があります。返事が簡易書留で届けば、5万円を超える入金もできるようになります。
仮想通貨は、こうやって手に入れて使う
コインチェックへの入金の方法は、現金は銀行口座への入金、コンビニでの入金、クイック入金の3種類です。銀行口座への入金は指定口座に振り込むだけなので簡単ですが、土曜、日曜、祝日、大みそかと正月三が日はお休みで、3時以降の振込は翌日扱いです。振込手数料の他に入金手数料が差し引かれます。コンビニでの入金は、スマホ画面で入金額を送信すれば返信される手数料込みの支払合計金額と受付番号をメモして、コンビニに行ってそこに設置された機械を操作して、レジで現金を払います。24時間365日、10分ほどで入金できます。
コインチェックでは、クレジットカードからの引き落としで入金することもできます。24時間365日可能ですが、単位は1回5000円以上で、手数料も5~10%で銀行口座入金、コンビニ入金よりも高くなります。入金されたら、ほぼ1時間以内にスマホ画面の「取引アカウント」の円の残高が増えていますから、必ず確認してください。最後に、円を仮想通貨に交換します。それはスマホ画面の中だけの操作で、交換する円の金額を指定して仮想通貨の単位(ビットコインならBTC)の金額を確認し、「購入」または「交換」のボタンをクリックするだけです。交換は24時間365日可能です。
交換したら、スマホで仮想通貨が使えるようになりました。ビットコインなど仮想通貨「利用可」なら、お店での支払いにも、ネット通販の支払いにも使うこともできます。いったん仮想通貨に交換すれば、使わないまま交換レートが変動しても、「取引アカウント」の仮想通貨の残高は変動しません。逆方向の円への交換も、交換した円を自分の預金口座へ戻すこともできます。
最後に、仮想通貨のデータをカードに入れて利用する方法をご紹介します。「デビットカード」と「プリペイドカード」の2種類があります。簡単に言えば、デビットカードは支払いを行うと仮想通貨の残高がその都度、減っていくカードで、プリペイドカードは支払いの前に仮想通貨をチャージしておき、チャージした金額の範囲内で何度でも支払いができるカードです。円で支払うデビットカードは銀行のキャッシュカードが、プリペイドカードは「EDY」などがけっこう普及して、その機器が入っていますから、ビットコインなどの仮想通貨で支払うカードが普及するかどうかは、お店側が仮想通貨払いを理解してくれるかどうかだと言えそうです。