新しいICOの「LODE(ロード/単位:LDG)」は5月にトークンセールが行われます。ICOの目的は、ブロックチェーンの技術を活用して金(ゴールド)の現物取引の手数料を抑え、安全に、安心して売買できるプラットフォームを構築することです。

金の現物取引は先物取引よりも手数料が高い

仮想通貨LODE(ロード)の将来性LODE(ロード)が新しくICOを行うその最大の目的は、金(ゴールド)の現物取引の手数料を安くする、という点にあります。金には現物取引と先物取引があり、現物取引の中心はロンドン、先物取引の中心はニューヨークと言われています。では、現物取引と先物取引とで大きく違うものは何かというと、それは手数料の額です。

現物取引で金地金(バー)を購入・売却したければ、田中貴金属工業のような金地金商や三菱マテリアルのような製錬・販売する会社の窓口で行えます。たとえば田中貴金属工業では、購入時の手数料は500g以上は無料、300g、200g、100gは16,200円、50gは8,640円、20g、10g、5gは4,320円で、売却時の手数料は500g以上は無料、100g以上500g未満は16,200円、50g以上100g未満は8,640円、20g以上50g未満は4,320円、20g未満は2,100円となっています。

一方、金(ゴールド)の先物取引は、それを仲介する業者には免許が必要です。手数料は業者によって違いがありますが、買いと売りの往復で680~1,080円(その日のうちに売る日計り売買ではない通常取引)というレベルです。500g以下であれば、先物取引の手数料は現物取引よりも1ケタ少なくなるのがふつうです。

なぜ、現物取引は先物取引よりも手数料が高くなるのかというと、わかりやすく言えば、現物取引は貴金属の「モノ」自体を売り買いするのに対して、先物取引は現物の裏付け(担保)はあるものの、「将来所有する権利」という「金融商品」を売り買いするからです。

現物取引は、金地金という「モノ」を動かすので、貴金属の輸送費、保険料などが手数料の中に含まれています。金地金を持ち帰らず「保護預かり」してもらうと、その保管料で手数料はさらに追加です。一方、先物取引は「モノ」自体は動かさずに「将来所有する権利」を売り買いするので、輸送費も保険料も保管料もかからず手数料は安くすみます。ただし先物取引でも、決済する際に金地金の現物を引き取る「現引き」や現物を渡す「現渡し」を行ったら、現物取引同様に「モノ」を動かすため、追加の手数料が必要です。

LODEのホワイトペーパーによると、現物取引で金を買い、それを保護預かりにして5年間保有してから売ると、買った時の価格の14%相当の手数料が消えていくといいます。言い換えれば、5年間で金価格が14%以上値上がりしてくれなければ、金の現物投資の利益はコストを下回って損失を出してしまうということです。「金は安全資産」とよく言われますが、現物取引の手数料の問題は決して軽視はできません。

LODE(ロード)が「豊田商事」まがいではない理由

LODE(ロード)はこの金の現物取引の手数料の問題に切り込みます。と言っても自ら金地金商を営んで売買手数料を格安にするわけではありません。顧客が金の現物を購入して仮想通貨LODEで支払いをすると、金地金のような現物自体は引き渡されず、代わりに「預かり証明」が顧客に示されて、金の現物は担保としてLODEが保管する、というイメージです。

「そんなのは昔、大事件になった豊田商事の純金ペーパー商法と同じではないか」そう思うかもしれませんが、1985年の豊田商事事件は金の現物を引き渡す代わりに「純金ファミリー証券」という紙が渡されましたが、LODEの場合は仮想通貨のブロックチェーン上で金の購入・売却契約が管理される点が違います。豊田商事事件では、顧客に販売しても担保として預かるはずの金の現物が実際は全く存在せず、詐欺と認定されましたが、LODEの場合、そもそもブロックチェーンはセキュリティ性が高く不正や改ざんができないので、存在しない金の預かり証明を出したり、同じ金の現物で複数の預かり証明を出したりする類の詐欺はできません。

つまり、紙一枚と違って仮想通貨のブロックチェーンを使うことで、金の現物を引き渡さなくてもその価値が保証され、詐欺ではなく、不正行為もしていない証明ができる、というわけです。LODEプロジェクトはドバイ政府が設立・運営する企業が提供する取引ツールを利用し、採掘された鉱山、精製場所、製錬所、保管場所、販売場所やその業者などのデータが全て記録され、監査機能も提供されますから、豊田商事事件のような不正な詐欺行為や、純度をごまかした金、奴隷労働など違法な方法で採掘した金、テロリストの資金源になる金は、排除することができます。

金の現物を動かさなければ、輸送費や保険料のようなコストは発生しません。その分、LODEの金の現物取引プラットフォームは売買時の手数料を引き下げることができます。購入も売却も先物取引並みの水準まで下げることが可能でしょう。売買の裏付けになる金の現物はちゃんと存在していますから、引き渡し要求があればいつでも応えられますが、その場合には別途手数料がかかります。

LODEで金の現物取引に必要なコストが下がると投資家は利益を出しやすくなります。「金の現物はLODEのトークンで買えば手数料が安くなり、有利な投資ができる」と評判になれば、LODEでの金の取引量が増え、トークンの需要も高まって、仮想通貨LODEの価値も上がることになります。

LODE(ロード)が金の現物価格を安くするからくり

金の現物取引手数料を安くする目的で発行されたLODEホワイトペーパーによると、LODEには金の現物の売買手数料を先物並みまで引き下げる以外のメリットも書いてあります。

金は、たとえばカナダやオーストラリアで採掘、製錬されて金地金にされた後、ロンドンに輸送されて取引され、中間業者の手を経て日本の金地金商の窓口で顧客に販売されるような、地球を一周しそうな距離のルートをたどります。鹿児島県の菱刈金山で採掘された金が愛媛県の精錬工場で金地金にされ、ロンドンまで旅してから東京に戻って販売されることもあります。飛行機での輸送は決して安くはない運賃がかかりますが、それは金の価格に含まれます。

もし、カナダやオーストラリアや愛媛県に金地金を置いたまま、ロンドンなどで中間取引が行われた後、最終需要地へ金地金を直送すれとすれば、輸送は最短ルートで済み運賃コストは安くなります。言ってみれば「金の産地直送」です。LODEは現物取引にセキュリティ性が高いブロックチェーンを利用することで、そんな形を確立し、金の現物価格を「適正化」することを目指しています。

ホワイトペーパーでは「ムダを省く」として中間の取引、中間マージンをなくし、金の現物価格をさらに適正化する「金の産地直販」にも言及していますが、大産出国でもあるアメリカやロシアや中国などの国家戦略もからむ金の国際取引でそれが主流になるかどうかは、わかりません。

なお、金地金や金貨と違ってアクセサリーなどの金製品は査定価格が不透明なことが多いのですが、LODEは金製品の「適正価格化」をうたっていて、貴金属店や買取専門店にLODEのネットワークに直結した「査定機」を設置し、買取窓口で不当に安く買いたたかれるのを防ぐ構想も打ち出しています。

LODE(ロード)は2018年10月に取引所上場予定とアナウンス

LODE(ロード)のトークンセールは3つのステージに分かれていて、1LDG=1米ドルのレートで販売されます。売出しは各ステージ2,000万LDGで、合計6,000万LDGです。

(1)PROTECTION SALE
日程:2018年2月15~28日
最低購入額:50,000LDG
ボーナス率:80%

(2)PUBLIC SALE STAGE 1
日程:2018年3月15~28日
最低購入額:1,000LDG
ボーナス率:40%

(3)PUBLIC SALE STAGE 2
日程:2018年5月15日~6月14日
最低購入額:10LDG
ボーナス率:20%

投資家が気にする仮想通貨取引所への上場ですが、ホワイトペーパーには「2018年10月予定」とあります。どこなのかわかりませんが、ICOを仲介した香港のクリプトクリック社が新しい取引所を開設するので、そこに上場するのではないかという話が出ています。なお、配当は未定です。

株式投資やFXは未経験でも、金地金や金貨を持つ人は意外に多くいるものです。金は「インフレや財政破たんや戦乱に強い現物資産」という良いイメージがありますが、利息がつかないのに手数料が高いのがネックです。そこに切り込むのがLODEで、世界の金取引に変革をもたらすような壮大な構想ですが、値上がり益を得る金融商品と割り切れず、「やっぱり黄金の輝きを見て触ってみたい」と思う人間心理に、勝てるでしょうか?