新しいICOの「Vestarin(ベスタリン/単位:VST)」は4月4日までトークンセールが行われました。ICOの主な目的は、ICO投資の健全化を目指して、ICOを正しく評価するプラットフォームを構築することです。
ICOを正しく評価するプラットフォームを構築するVestarin(ベスタリン)
Vestarin(ベスタリン)は、ICOのためのICOが行われます。ICOを正しく評価するためのプラットフォームを構築・提供できるよう、ICOによって資金を調達しています。
関係者がプレセールで集めたお金を持ち逃げする、ICO直後にトークンを全て売り抜けて逃亡するなど、詐欺まがいのICOに投資家が巻き込まれて損失を出す事件が何度も起きました。カネ目当ての提灯持ち、ヒモつきの広告ではない公平・公正な評価機関の必要性を感じている人は、少なくないでしょう。その意味でもVestarinの「ICOレビュー」機能は大きな期待を集めています。
ICO案件一つひとつについて、スマートコントラクトなどITシステムのエキスパート、有力な投資家など仮想通貨の専門家がホワイトペーパーを分析し、周辺取材も行ってレビューを書き、投資家に紹介します。「是は是、非は非」として詐欺的なプロジェクトは容赦なく指摘。その一方で、悪意はなくても計画の見通しが甘い、先行するプロジェクトともろに競合するような重大なリスクが伴うなど、たとえICOには成功してもプロジェクトの成功確率は低そうなプロジェクトも、それを正直に書くという話です。そうやって、仮想通貨ブームに乗って次から次へと現れ、中には掘り出し物もあればゴミも猛毒もあるICOに投資家が安易に手を出してケガをしないよう、十分な情報を提供します。
そうすれば、投資家はそのICOに参加するか、やめておくかという判断がしやすくなり、詐欺まがいのICO、プロジェクトが失敗しそうなICOにひっかかるリスクが軽減されます。プロジェクトメンバーや社外アドバイザーに名前が挙がっている人物の評判の悪さ、お金次第で名前をホイホイ貸す著名人などの情報が共有されます。悪意を秘めているICO、質の低いICOは、プレセールの段階で応募が集まらずソフトキャップをクリアできずに失敗・返金するようになれば、ICOを考えなくなり、ICOの全体の質が向上します。それが「ICOの健全化」のプロセスです。
Vestarinはそんな「ICOレビュー」を含めた仮想通貨投資のポータルサイト的な機能以外に次のような幅広い機能があり、トークン保有者にメリットを提供しています。
「仮想通貨VSTでの商品・サービスの購入決済」「VSTと他の仮想通貨との交換」「ICOなどのプロジェクトの立ち上げと人材や資金の募集」「チャット機能によるコミュニケーションや通貨のやりとり」「ICOプロジェクトについての議論やレビュー評価と、その閲覧」「ニュースの記事が読める」「送金によってVestarinプロジェクトに参加できる」
たとえば、Vestarin保有者がチャット機能で、あるICO案件について「私はこんな問題があると思う。意見を言わせてほしい」と、送金してプロジェクトに参加してレビューが書けたりします。しかし誹謗中傷やフェイクニュースやあまりにも偏った意見はVestarinプロジェクトの信用にかかわるので、自主規制で断られることがあるかもしれません。
Vestarin(ベスタリン)にはエンジニア、アドバイザーに一流人材が揃う
技術的なスペックで言えば、Vestarin(ベスタリン)は分散型プラットフォームの定番、イーサリアム(ETH)のERC20規格のブロックチェーン技術がベースです。プラットフォームは現状ではデモ版と、モバイル決済を先行させたアンドロイドβ版で、ICOで開発資金を調達した後でプラットフォーム開発に本格的に着手してα版、β版を経て完成版をリリースするスケジュールになっています。それを支える人材面では、ITエンジニアにイーサリアムベースなら必須のスマートコントラクト実装技術のエキスパートを揃えています。
顧問の社外アドバイザーとしてはサイモン・コッキング(Simon Cocking)氏を招いています。この人はICOのレビューサイト「ICO bench」ではトップクラスの評価者で、「ICOのご意見番」として仮想通貨の世界では非常に信頼され、ネームバリューがあります。アドバイザーについたICOはことごとく成功していますが、むしろ、この人の眼鏡にかなったICOだから投資家に信頼されて成功した、とも言えます。「ICOの神」の異名もあり、ICOレビューでICOの健全化を目指しているVestarinにとっては、まさに最強の助っ人と言えます。
その他、クレディ・スイスやUBSのバンキングシステムを手がけた金融系システムの世界的エキスパート、ラインハルト・ベルガー(Reinhard Berger)氏や、ゴールドマンサックスに在籍していた金融、仮想通貨関係法務のエキスパートである弁護士のヴォルフ・カール(Wulf Kaal)氏も、社外アドバイザーに加わっています。そんな人たちの存在感が信頼性を高めています。
そしてVestarinの大きな特徴は、世界15ヵ国語に対応する「マルチリンガル・プラットフォーム」を用意していることです。英語、中国語、スペイン語、フランス語、アラビア語など、1億人以上の話者人口がある言語をほぼカバーし、日本語や韓国語も含まれています。各言語版のICOレビューを提供して全地球的規模のグローバル・スタンダードになろうという強い意志が感じられます。
Vestarin(ベスタリン)の概要
Vestarin(ベスタリン)のトークンプレセールは2018年1月から2月28日まで実施されましたが、1ETH=3,000VSTの優遇レートを設定すると開始後約1週間で2,000ETHのソフトキャップを早々とクリアするなど順調でした。続いて3月5日から4月4日まで6ステージに分けてICOトークンセールが実施されました。レートは1ETH=1,300~2,000VSTです。どちらも交換可能通貨はイーサリアムだけでした。プレセール、ICOセール合わせて1億6,500VSTが発行されています。
今後のスケジュールとしては、プラットフォームのα版を2018年4月、β版を7月、完成版を8月にリリースする予定になっています。完成版のリリースを待って、ICO案件の各国語版レビュー機能が正式に閲覧できるようになります。2019年1月の時点で全世界で、ユーザー数で100万、ショップ、サービスプロバイダー数で2,000を達成するという数値目標があります。
Vestarinには保有者への配当がありませんが、ICO後のトークンの価値を維持し、さらに高めるために、プラットフォームから得る総収入の5割以上を定期的にトークンの「買い戻し(Buy-Back/運営者が保有)」「焼却(Burn/永久に使用不能にする)」に使うとアナウンスしています。これは株式で言えば自社株買い、自社株消却にあたり、出回るトークンの量を減らし、需要に対して供給を絞り込んで1VSTあたりの価値つまり他通貨との交換レートを高めることができます。配当を出すのと同様に、利益を保有者へ還元する効果があります。
Vestarin(ベスタリン)の将来性
投資家なら気になる仮想通貨取引所への上場については、ICO後にVSTトークンを上場しますと言っているだけで、具体的な上場先や日程はまだ明らかにされていません。公表されれば、それだけで価値は高まります。
15ヵ国対応をうたうVestarinには日本語公式サイトがあり、そこからICOに参加できましたが説明はそれほどくわしくはありません。ホワイトペーパーは直訳調で、お世辞にも読みやすいとは言えません。
それでも「ICO投資を健全化する」というVestarinの目的は、デザインに凝り美辞麗句を連ねた公式サイト、技術的な優位性、将来性をひたすら誇示するホワイトペーパー、名前を貸した「客寄せパンダ」の著名人の顔などに惑わされて、実態がいかがわしいICOをつかまされて虎の子を失い「ICOは玉石混交だが信頼できる情報が得にくい」「覆水盆に返らず」と、骨身にしみた投資家の間から応援する声があがっています。
それはツイッターなどでのVestarinの支援者コミュニティを見ればわかります。悪いICOを成敗する「正義の味方」的イメージがあり、堅実で、優れた人材も揃っていて、ICO benchで4.7(満点5.0)の評価を得るなどICOレビューサイトや専門家からの受けも悪くありません。
しかし、注意しても反省せず逆上して反撃する人がいるように、政治でも経済でも学問でも芸術でもスポーツでも、厳しいレビューや批評を黙って受け入れる人ばかりとは限りません。反感が渦巻くなど感情的な応酬がこじれて非難合戦に発展し、派閥争いに火をつけて組織が分裂したり、泥沼の裁判沙汰になることもあります。
書評や人物評やスポーツの試合評などと違い、仮想通貨のICOには「のるか、そるか」で大金の獲得がからんでいるだけに、よけいに心配です。「正義のICOレビュー」を展開しようとしているVestarinですが、対応を一歩誤ると訴訟費用や損害賠償、あるいは誹謗中傷やフェイクニュース攻撃による風評被害などで保有者に不利益がもたらされる危うさもまた、秘めています。