新しいICOの「GeAR(ギア/単位:GEAR)」は5月から7月までトークンセール中です。ICOの目的は、AR(拡張現実)ゲームのクリエイターを支援するために、アイデアや技術や知識を共有できるようなプラットフォームを構築することです。
ゲームクリエイターへの支援が目的のICO「GeAR(ギア)」
GeAR(ギア)は、ゲーム業界で活躍するクリエイターのためのICOプロジェクトです。「ゲームクリエイター」はチームを組んでゲームを企画し、キャラクターを創作し、ストーリーを考え、デザインを考え、個々の映像を製作し、セリフや音楽をつけ、さまざまな技術を駆使してゲームとして楽しめるように仕上げます。時代の花形のように思われていますが、ゲームメディアのレビューでと酷評されたり、販売成績がサッパリだったりしたら、ゲーム業界にお別れを告げなければならないような実力次第の世界で、しかも次々と現れてくる先端技術に対応しながらゲームを進化させていかねばならず、苦労もまた多い職業です。
その先端技術の一つにAR(Augmented Reality/拡張現実)があります。2016年10月に発売された「プレイステーションVR」のVR(Virtual Reality/仮想現実)とは、似ているようで違います。VRはコンピュータがつくり出すバーチャル(仮想)の世界だけで完結し、たとえばアニメのお城の中でアニメの勇者が活躍すれば、それはVRです。お城や勇者は、どんなに本物そっくりに描かれてもアニメです。
しかしARは、コンピュータ上で合成することで、実在するお城を撮影した映像の中でアニメの勇者が飛んだり跳ねたりできます。大人気を博した「ポケモンGO」は、現実の風景の中にアニメ「ポケモン」のモンスターが現れますから、まさにARです。たとえば近所の公園をスマホの画面に映してそこに「ピカチュウ」がいたら、現実の世界の中に、ピカチュウという仮想の世界の住人が出現したかのように見えます。
口で言うのは簡単ですが、ARの製作は簡単ではありません。ゲームソフトはもともとVRですが、そこに現実の映像を組み込み、マッチングさせてARゲームをつくり出すにはそれまでと違う技術やノウハウが必要になり、コストもかかります。試行錯誤しながら取り組むクリエイターもいますが、勝手が違い、資金もかかり、持てる才能をそれまでのように発揮できない悩みがあります。
仮想通貨GeAR(ギア)でクリエイターが才能を遺憾なく発揮できる環境をつくる
GeAR(ギア)は、そんなゲームクリエイターを支援するプロジェクトです。対象はARに限らずVRやMR(複合現実)も含めたゲーム全般ですが、名前にARとあるように、特にARゲームのアイデアや知識や技術を共有できるプラットフォームを構築し、クリエイターがその才能を遺憾なく発揮できる環境をつくることをその大きな目的にしています。仮想通貨の分散型プラットフォームの技術を活用して、誰でも簡単に、より自由な発想でARゲームを製作できることを目指しています。
「誰でも簡単に」とは、世界的にヒットしそうなすごいアイデアを持っているけれどもゲーム製作の技術は未熟な個人が、一人で試作版をつくり、それをゲームソフト会社に売り込むようなことも想定しています。すばらしい才能は、どこに隠れているかわかりません。たとえばストーリーの創作で突出した才能があってもプログラミングは素人に毛が生えた程度という人が、製作チームを組める適当な相手がなく、才能をむざむざ埋もれさせてしまうようなことはなくなるでしょう。
音楽にたとえれば、メロディーをつくる作曲の才能に優れていても、それをオーケストラで演奏するための編曲(アレンジ)を一度もしたことがない人でも、一人で各楽器のパートの楽譜がつくれるようにアシストしてくれて、それが後世、名曲として名が残るようになる。そんなプロジェクトです。
GeAR(ギア)が目指す「ARゲームのアイデアや知識や技術の共有」
GeAR(ギア)が目指す「ARゲームのアイデアや知識や技術の共有」とは、具体的にはユーザー間で売買できるマーケットプレイスを設けます。名前は「GeAR-Creators Market」といい、ブロックチェーンを利用してアイデア、知識、技術の取引や、「RMT(Real Money Trading)」と呼ばれるゲーム内のキャラクター、衣装、アイテム、映像コンテンツなどの売買ができます。その決済で使われるトークンがGeARですから、トークン保有者はマーケットプレイスに参加できるメリットが受けられます。
マーケットプレイスはARゲームの発展にも貢献します。一から開発しなくても、必要に応じて既存のパッケージを購入することで製作コストを下げられるからです。たとえば料理で「サバのオリーブ油焼き」をつくる時、サバ一匹と何十個ものオリーブの実を買ってきますか? サバの切り身とオリーブ油の瓶を買ってくるほうがはるかに手間がかからず、安くすみます。ゲームの製作でも同じように面倒なものは買ってくることができればそれに越したことはないのですが、ARゲームの世界は買える場所が未整備なので、クリエイターはいま苦労しているわけです。その苦労を取り除こうというのが、GeARです。
クリエイターやゲーム会社の「コミュニティの形成」に力を入れる
しかし、モノが揃ってもそれだけでは不十分です。クリエイター同士で「この指とまれ」とチームを組んだり、クリエイターがゲームソフト会社やスポンサーやプレイヤーやゲーム評論家などに接触したりするための「つなぐ」機能も必要になります。個人の人脈だけでは届かない「つながり」を実現することで才能の花が開いて実を結ぶよう、GeARはホワイトペーパーで「コミュニティの形成」に力を入れるとうたっています。
さらに、完成したゲームにバグがないか確認するテストや、マーケティング、販売まで面倒をみると言っています。GeARの構想が実現すれば、ファッションにデザイナーブランドがあるように、ゲームにもゲームソフト会社の看板に頼らず、クリエイターの名前を前面に出してそれにお客さんがつく「クリエイターブランド」ができるかもしれません。
ARの応用が期待されるゲームのジャンルとして「eスポーツ」があります。格闘技やバスケットやサッカーなどのスポーツゲームのことですが、ARの技術が入れば臨場感が増します。アメリカや中国では観衆を集めて対戦するeスポーツゲーマーの「プロ化」が進んでいて、吉本興業がプロの育成・支援に参入したり、プロゲーマー養成の専門学校ができたりするなど、日本も後を追っています。
オランダのNewzoo社の予測では、eスポーツの世界市場は2018年には前年比38%増の9億5,660万ドルと試算され、2021年には約16億5,000万ドルまで拡大する見通しです。GeARも大きな成長性を秘めたこのeスポーツに、ゲームクリエイターを支援するという立場で関わろうとしています。
GeAR(ギア)のICOトークンセールは7月31日まで実施中
GeARの発行量の上限は1億6,000万GEARで、7500万GEARがICOで発行されます。ICOで得た資金の使い途は、開発資金に55%、マーケティング費用に18%、M&Aなど企業の統合に12%、運営費や追加費用に備えて10%が、それぞれあてられる予定になっています。
登録すれば5GEARもらえるGeARの20万人限定のエアドロップ(無料配布)は2018年4月30日をもって終了しました。トークンセールは翌5月1日開始で、スケジュールは次の3つのステージに分かれています。
・ステージ1 5月1~22日
ボーナス率:70%
・ステージ2 5月22~6月12日
ボーナス率:50%
・ステージ3 6月12~7月31日
ボーナス率:30%
ステージの区切りは日本時間で午後5時。各ステージのトークン価格は1GEAR=1米ドルです。Limited Bonusといって、1万GEAR以上の購入者は、たとえば50%が60%になるなどボーナス率が10%加算されます。購入は日本語版もある公式サイトで行えます。ビットコイン(BTC)またはイーサリアム(ETH)で購入することができます。
2018年の第2四半期(4~6月)からブロックチェーンの開発に本格着手し、2020年中にアプリが正式リリースされる予定です。遅くともそれまでにクリエイターのためのマーケットプレイスやコミュニティーが開設されます。2018年10月には仮想通貨取引所への上場が予定され、「上場先など詳細は後日公開」とアナウンスしています。
2010年代、日本ではスマホのソーシャルゲームでグリーやDeNAやガンホーのような企業が急成長し、ポケモンGO、ニンテンドースイッチが全世界でヒットしeスポーツも脚光を浴びるなど、ゲームの世界は大きく成長する力を秘めています。そこに「AR(拡張現実)ゲームのクリエイター支援」という明確な目的をひっさげて登場したICOがGeARです。ARはたとえばファッションの試着、インテリアデザイン、建物の完成イメージ図など、ビジネスの分野でも応用されている技術なので、ARのクリエイターはゲーム以外にも活躍の場があります。その意味でもGeARは注目に値するプロジェクトと言えるでしょう。