今回はLINE株式会社が仮想通貨事業参入をする目的や背景、そして今月発表された最新情報からその将来性までを徹底的に解説していきます。
LINE、仮想通貨事業に参入を発表
仮想通貨が大盛り上がりをした時期を境に、アマゾンやグーグル、アップルなど世界の名だたる大企業たちが仮想通貨事業への参入を表明しています。そして日本国内においてもその動きが顕著に表れています。今回は日本国民のほとんどが利用しているといっても過言ではないSNSアプリ「LINE」を運営しているLINE株式会社における仮想通貨事業参入への動向を解説していきます。
2018年1月31日、LINE株式会社が仮想通貨産業へ参入することを発表しました。同社はSNSアプリLINEを運営しており、日本国内において老若男女問わず幅広いシェア率を誇っています。そんな大手企業の仮想通貨参入発表は、非常に大きな注目を集めました。
また、仮想通貨市場参入にあたってLINEは子会社である「LINE Financial株式会社」の設立を表明しています。LINE Financial株式会社の資本金は50億、設立日は2018年1月10日です。同社の代表には現LINE株式会社代表取締約社長の出澤剛氏、取締役には現LINE株式会社取締役の舛田淳氏及び黄仁俊氏が就任しています。
LINE、仮想通貨事業進出による狙いは?
今回仮想通貨市場への参入を突如発表したLINEですが、そこにはどのような狙いがあるのでしょうか?LINEはすでにオンライン決済システム「LINE PAY」で全世界における年間取引高が4,500億、登録ユーザー数は4000万人を突破するなど、高い実績を有しています。今まで培ってきた金融ノウハウを活かし、さらに金融事業の強化を図るとともに、将来のキャッシュレス、ウォレットレス社会を見据えてフィンテックの世界をリードすることが目的とされています。
また、LINE Financial株式会社では、仮想通貨業を行なっていくのはもちろんのこと、保険やローンなど、あらゆる金融業を展開していくと予定されています。さらにはICOプロジェクトやLINEコインの開発、仮想通貨取引所の開設なども順次行っていくとのことです。
現在、日本国内におけるLINEの利用者数は7,300百人以上です。日本人の総人口は約1億3千人ですので、単純計算で日本人の二人に一人はLineを利用していることになります。子供から大人までさまざまな人が利用しており、日本人で使用したことがないという人の方が少ないでしょう。
ちなみに、国内トップの仮想通貨取引所「bitflyer」のユーザー数は約100万人です。LINEを使用している日本人の1.4%がLINEの運営する仮想通貨取引所を使用しただけで100万人を超し、ユーザー数が国内トップになります。さらに、LINEは国内だけではなくタイ、台湾、インドネシアなどを含めるとユーザー数は2億1,700百万以上に登ります。
現在でもアジアを中心に利用者数は増加傾向にあり、こうした世界的なシェア率の高さこそ、LINEの最大の武器であり狙いだといえるでしょう。
LINEと野村HDが共同出資『LINE証券』設立へ
LINEが仮想通貨事業参入を表明してから数ヶ月が経ち、あまり進展がないように感じる方も多いのではないでしょうか。しかし、実は水面下においてかなりの急ピッチで動きが進められています。 LINEの仮想通貨事業参入に関する最新情報が2点あるので、それぞれ紹介していきます。
まず1点目が、2018年3月28日、 LINEが野村HDと業務提携を組み「 LINE証券」を設立すると発表したニュースです。 LINE証券設立の目的としては、 LINEユーザー層の資産形成を始めとした金融サービスの提供です。 LINEが既に持っているユーザー基盤と、野村證券が培ってきた金融ビジネスのノウハウを掛け合わせて新しい金融サービズの提供を行います。
また、具体的な施策としては非対面証券ブローカレッジ及び非対面証券コンサルティングの提供を行なっていく予定です。証券会社の設立と仮想通貨事業は一見関係がないように思えますが、 LINEが目指しているのはフィンテック技術の総合的な向上及び世界をリードすることですので、幅広く手がけていくことは仮想通貨事業にも好影響を及ぼします。
LINE証券は早ければ5月には設立すると発表されているため、今後の動向は要チェックです。
LINE、韓国でブロックチェーン技術の子会社を設立
2点目が、今年4月2日に発表された情報です。その情報というのは海外向けLINEを提供しているLINE Plus(ラインプラス)が韓国でブロックチェーン技術専門の子会社UNBLOCK(アンブロック)を設立したというものです。同社設立により、LINEが目的としているブロックチェーン事業を本格的に進めていくことが明らかとなりました。
LINEが提供している既存のさまざまなサービスとブロックチェーン技術を掛け合わせることにより、新たな価値を創造する計画です。UNBLOCK設立にあたって、韓国でブロックチェーン技術を基にした広告事業を展開するAD4thの共同創業者を代表として招きました。また、今後はブロックチェーン技術に長けている人物を積極的に採用し技術力の向上を目指しています。さらに、韓国に会社を設立することにより、日本だけではなく韓国を中心としたアジア圏の市場を獲得することも目的としています。
LINE、仮想通貨事業での将来性は高い?
LINEの仮想通貨事業に関する将来性に関しては誰もが気になるところですが、果たしてどうなのでしょうか。結論から述べると、かなり将来に期待できるといえるでしょう。その理由として2点あげることができます。まず1点目が、LINEの圧倒的なシェア率の高さです。先述しましたが、日本国内におけるLINEの利用者数は現在7,300百人以上です。日本人の総人口は約1億3千人ですので、単純計算で日本人の二人に一人はLINEを利用していることになります。また、東南アジアを中心とした世界中のユーザーを含めるとユーザー数は2億1,700百万以上にもなります。
LINEは今後仮想通貨取引所の運営も予定していますが、日本国内だけではなく世界でもこれほどのユーザーがいるということは、かなりの強みとなります。先ほども説明したように、国内トップの仮想通貨取引所「bitflyer」のユーザー数は約100万人ですので、LINEを使用している日本人の1.4%がLineの運営する仮想通貨取引所を使用しただけで100万人を超します。
これは驚異的な数字です。まだまだ仮想通貨は我々の日常に浸透はしていませんが、国内最大手のチャットアプリLINEが仮想通貨に関する事業を行っていけば、すぐさま浸透していくことは決して絵空事ではないでしょう。
そして2点目が、行動量とスピードの速さです。今まで説明した通り、LINEは今年1月に仮想通貨事業への参戦を表明したばかりです。しかし、たった数ヶ月の間に野村HDとの提携や韓国でのブロックチェーン技術専門子会社の設立などを実現してきました。国内でも楽天や三菱フィナンシャルグループなど、さまざまな大手企業が仮想通貨事業へと参戦していますが、LINEの行動量とスピード感は群を抜いています。
まだまだ仮想通貨市場は黎明期ですので、この時期における圧倒的な認知度と行動力は市場を取りに行くために有利となるでしょう。LINE Financial株式会社はすでに金融庁への登録を済まし、現在は審査中とのことですのでさらなる動きが期待できそうです。しかし注意しなければならないのはLINEと同じようにブロックチェーン技術の統合など、仮想通貨産業へ乗り出すSNS企業は他にも数多く存在しているということです。
例えば、韓国のSNSアプリ「カカオトーク」を運営するKakao(カカオ)も今年3月にブロックチェーン技術を発展させるため子会社を設立しました。また、このような大手メッセージアプリ会社の中でもっとも注目を集めているのがロシアを拠点に活動しているTelegram(テレグラム)社です。テレグラムを使用しているユーザーは全世界で2億人いると言われており、これはLINEのユーザー数に匹敵します。同社は独自のプラットフォームを築くことを目的としたICOで17億円を集め、注目を浴びました。
このようにLINEにはライバル企業がたくさんいるため、今後どのように差別化を測っていくかが重要な鍵となるでしょう。いずれにせよ、まだLINEの仮想通貨事業への挑戦は始まったばかりですので、今後の動向は細かくチェックしていきましょう。