仮想通貨Bitcoinの誕生からEthereumの誕生に続き、昨今では続々と新たな仮想通貨が誕生しています。仮想通貨の特性を活かし、仮想通貨を通して新たなサービスを提供する団体によって、新しい仮想通貨は今でも生まれ続けています。しかし一方で、ICO(Initial Coin Offering)による新たな資金調達が生まれたことから本来の目的を失った詐欺コインも増えていることは世界的な問題です。今回は新たに注目が集まっている仮想通貨PGC(フィリピン・グローバル・コイン)がどのような目的で誕生したのか、今後の可能性について考えていきましょう。
PGC(フィリピン・グローバル・コイン)とは
PGC(フィリピン・グローバル・コイン)はフィリピンの国内ネットワーク向けに作られたICOプロジェクトとして、新たに注目を集めています。フィリピンでは財政システムに重大な問題を抱え、フィリピン国民にとって最優先で解決しなければいけない課題です。PGCはその財政問題を仮想通貨・ブロックチェーン技術を使って解決するために誕生しました。
フィリピンが抱えている財政問題はいくつかあります。とくにPGCによって最も改善が期待されているのは国際送金サービスです。フィリピンでは年間1000万人以上を超える労働者が海外で働き、総額3050億米ドルもの大金がフィリピンへ送られています。この多額の外貨はフィリピンの経済を支える重要な一部になっています。またフィリピン政府は国内経済を維持するためにさらなる外貨を増やすことを考えています。しかし、送金サービスに様々な問題を抱えているのです。PGC-ICO公式ページによると、政府はPGCでこの問題を解決するプロジェクトが掲げられています。
PGC-ICO公式ページ
http://www.pgcsale.com/
また、PGC-ICO公式ページによるとPGCはEthereumをベースにアルゴリズムが組まれ、スウェーデンと日本でマイニングされる予定です。今後は香港、フィリピン、韓国などの国々ですばやく両替ができるように計画しています。PGC普及のためにICO目的で、韓国の仮想通貨交換所Coincozに上場しました。
PGC(フィリピン・グローバル・コイン)の取り組み
PGCが普及すれば、フィリピン国内の金融システムは大きな改革がされるでしょう。PGC公式ページが掲げている問題解決へ取り組み2つを紹介します。
PGC公式ページhttp://www.pgc.ph/
1つ目は前述した国際送金サービスの改善です。先ほども書いたように1000万人以上の労働者、総額3050億米ドルもの大金をフィリピンへ送金されています。送金手数料はフィリピン国民にはバカにならない貴重なお金なのです。また、送金するまでに1週間もかかってしまいます。ブロックチェーンシステムが確立すれば、素早い送金が可能です。また、手数料は低く収まるので、GDPが200億米ドル増加させることができる期待がされています。
2つ目は貧困の格差のためのマイクロファイナンスサービスです。フィリピン国民のほとんどが銀行口座を持っていません。口座を持っているのは人口たった30%だけです。そのため、多くの人は銀行からお金を借りることができないままが現状です。国民が簡単に低い金利で素早く借りることができるマイクロファイナンスサービスを普及することでフィリピンの成長につなげる計画を立てています。
しかし、未だプロジェクトベースの話にすぎません。PGC専用のウォレット開発など、様々な工程が必要になってきます。詐欺コインも多く蔓延している中で資金調達には時間がかかることでしょう。では、PGCはどのような運営会社で運用しているのでしょうか。
PGC(フィリピン・グローバル・コイン)運営会社と大統領の関係
PGCはフィリピン企業J-PGCがプロジェクト運営、開発を行っています。日本企業「デジタルカレンシー株式会社」も関わっているという噂がありますが、技術提供のみでPGCプロジェクト運営している会社はフィリピン企業J-PGCという会社です。J-PGC社長は実業家エマニュエル・ロア・デュテテル氏で、過去に政策制度改革、連邦主義導入など様々な面で活動をしてきました。
このエマニュエル・ロア・デュテテル氏はなんとフィリピン大統領ロドリゴ・ロア・ドゥテルテ氏の弟です。政策制度改革と同様に財政制度改革や大統領の代わりに事業で制度をかえるという取り組みをしているのではないかと様々な見解が広がっています。また、フィリピンの地方新聞でも取り上げられ、今後期待ができるかもしれません。しかしながら、未だ政府公認という明確な証がない以上詐欺コインと疑われても仕方がないでしょう。
詐欺コインだったノアコインとの違い
そもそもノアコイン(NOAH COIN)とは一時期話題に上がったフィリピン向けに作ったと謳われていた詐欺コインです。ノアコインのプロジェクトでは「フィリピンの社会問題を解決し、フィリピンの経済成長に貢献する」ことをアピールして、事前販売といって多くの資金を調達しました。ここまではPCGとアピールポイントは変わりません。ICO資金調達が盛り上がってくると、フィリピン大使館からの声明により詐欺コインの疑念が広がります。
日本のフィリピン大使館がフィリピン中央銀行と証券取引委員会に問い合わせし、「フィリピン中央銀行はノアコインに関わるノア・ファウンデーションおよびノアグローバルイノヴェーションサービスに対して、販売権限を与えておらず、また国家プロジェクトとして承認していない。」という公式の声明を告げました。また集めた資金でリゾート地を誘致する計画を大手企業と連携したという発言も大手企業は関わっていないと声明を発表し、詐欺コインとしての認知を広げることになりました。結果として調達した資金を希望者に返金する騒ぎになります。その後音沙汰がないノアコインですが、現在の進展は一切ありません。
様々な魅力的なプロジェクトを掲げることで資金を募るICOですが、ノアコインは典型的な詐欺でした。PGCは未だ信用確立していないため、投資を考えている人からは「実際詐欺なのか、詐欺じゃないのか」という話題で慎重になっています。ノアコインとの違う点は2つ、PGCプロジェクトに関わるJ-PGC社長が大統領の弟であること、そして財政改革のプロジェクトが明確にあることでしょう。PGCの今後の将来性を考えていきます。
PGC(フィリピン・グローバル・コイン)の将来性と改善課題
PGCの将来性に関しては大いに可能性があるでしょう。フィリピン国内向けに金融システムの改革プロジェクトが明確になっており、国際送金サービスの開発、マイクロファイナンスサービスの開発はどちらも国民にとって重要なサービスになりえます。
しかし、未だ信用値が低いため資金調達に遅れてしまうとプロジェクト開発が進みません。資金を多く集めるためには信用をあげることが大事になるでしょう。信用を上げるためには政府の公認申請が承認され、公式に「PGCは公認プロジェクト」であることの発言が得られるとPGCの価値が上がるでしょう。
また、逆にPGCの名前で信用を失う行動が続くとICOの投資が不利になる立場にあるでしょう。2018年5月に取締役の奥野氏が逮捕されたと報道されたことは信用を失う原因になります。奥野氏は全く関係ないと否定していますが、名前が上がってしまうと信用に響いてしまうのは事実でしょう。