ある程度仮想通貨投資に慣れて、仮想通貨の世界をより深く知りたいと思うようになってきたら、日本の取引所に上場しているような銘柄だけでなく、海外の取引所に上場している銘柄にも手を出したくなってくるかもしれません。日本の取引所で買えるコインは優良なコインが多い一方で、時価総額も比較的大きいものが多く、莫大なリターンを狙うというよりは長期的に資産を築くような投資手法に向いているかもしれません。

海外の取引所に上場しているコインの中にはまだまだ時価総額が小さく、認知、成長することで莫大なリターンが得られるものも眠っています。一方で、上場しているからといって必ずしも価値や将来性がある通貨ばかりではなく、買う意味のないコインも沢山存在します。そんな玉石混合のアルトコイン市場ですが、注目の銘柄の一つとして、「TenX」を紹介します。仮想通貨の特徴と照らし合わせても、将来性の面白いコインでもありますので、是非ご一読いただき、投資の判断材料の一つにしてください。

TenX(テンエックス)とはどんな仮想通貨なのか

仮想通貨TenX(テンエックス)の将来性TenX(テンエックス)は2016年に開発された、比較的若い仮想通貨です。通貨名と同名のTenXというシンガポールの企業によって開発され、通貨単位は(PAY)と表記されています。その通貨単位の通り、「決済手段」として非常に便利な機能を備えています。PAYトークンとビットコインや、他のあらゆる仮想通貨を自由に交換できるようにすることで、仮想通貨を現実世界での決済手段として幅広く用いられるようなプラットフォームの構築を目標としています。まさに、仮想通貨の世界と現実の世界をつなぐ、橋渡しのような役割を担おうとしている通貨です。

総発行量は約2億枚。時価総額は2018年5月16日現在で92位と通貨全体としては比較的上位にランキングするコインですが、時価総額が約172億円と小さく、まだまだ成長の余地の大きい市場となります。

TenX(テンエックス)の特徴

・仮想通貨払い対応のデビットカードを発行している

TenX(テンエックス)社は「TenXカード」という仮想通貨支払いに対応したデビットカードを発行しています。なお、このカードは非常に人気で、現在、申し込んでもすぐには入手できないようです。現在はビットコインでの決済にのみ対応している、という段階ですが、今後は独自の通貨であるPAYをはじめ、イーサリアム、ネムなどの様々なアルトコインでの支払いにも対応してゆき、将来的にはあらゆる通貨に投資し、保有している仮想通貨投資家たちが、それぞれの好きなコインを使って、TenXカード1枚で日常のあらゆるシーンで決済が行われるようになる世界が実現するかもしれません。

現在、仮想通貨の世界において「基軸通貨」というとビットコイン。シーンによっては「準」基軸通貨としてイーサリアムが世界中の仮想通貨購入において活躍していますが、TenXが仮想通貨決済のプラットフォームとして完成していくことにより、ビットコインとは違う意味合いでの「基軸通貨」になっていくかもしれません。

・使われれば使われるたびに、保有者に還元される

TenX Cardを使って決済を行うと利用額の0.1%がPAY建で還元されます。日本で流通している各種ポイントカードの還元率と比較すると、決して率が高いとは言い難い数字ではありますが、わざわざ何種類ものポイントカードを持ち歩く必要もなく、それどころか現金すら持ち歩く必要もなく、カード1枚で決済を行うだけで還元されていく、と考えると、便利さとお得感を兼ね備えた決済手段であると言えるのではないでしょうか。

それだけではなく、「全ての」TenXカードユーザーによる利用金額の0.5%がPAYホルダー全体に分配される、という仕組みも備わっています。もちろん、分配するのはホルダー全体に対してであるため、初めのうちは、受けられる恩恵はごく僅かなものであることは想像に難くないですが、TenXが広く流通し、ユーザーが増えれば増えるだけ、利用できるシーンが増えれば増えるだけ決済金額が膨らみ、PAYホルダーが受ける恩恵が大きくなっていきます。と同時に、仮想通貨の価値というのは単純に言えば流通量が増えれば増えるだけ、大きくなっていくものなので、TenXのファンはコミュニティの発展に協力していくことによって、二重に恩恵を受けることが出来ます。

このように、流通する仕組みが上手く構築されている点も、「仮想通貨と現実世界の架け橋」としてふさわしい通貨であると言えるのではないでしょうか?

TenX(テンエックス)の過去の値動き

仮想通貨の世界と現実の世界をつなぐプラットフォームの構築を目指すTenXTenX(テンエックス)はICOの直後、ほとんどの通貨が上場の瞬間に暴落するという傾向に反し、2倍以上の価格を付けましたが、タイミング悪く、ビットコインの分裂騒動が起きたため、全体相場に飲まれる形で下落。その後はビットコインの上下動に釣られず、2017年11月中旬に最高額を記録。その後急落するも、仮想通貨全体が非常に盛り上がっていた2017年12月下旬から2018年の年初に、再度最高値に近い水準を記録。その後は、仮想通貨市場全体の不調に連動する形で価格を下げてき、現在は最高値の1/3程度の価格にて推移しています。

TenX(テンエックス)の将来性

TenX(テンエックス)は仮想通貨の世界と現実世界をつなぐ、プラットフォームの構築を目指して作られたものですので、その将来性は仮想通貨全体の将来性と運命共同体である側面は大きいものとなります。筆者の個人的な所感としては、仮想通貨が投機的な動きではなく、今後徐々に本当に浸透していく中で、徐々に適正なペースで成長してゆく中で、TenXも普及し、価値が上がっていくのではないかと考えています。ただし、仮想通貨が成長すれば、野放しにTenXが成長するわけではないという点は念頭に入れておく必要があります。

一つは、仮想通貨が決済の手段としては浸透しないというシナリオです。仮想通貨での決済が導入されたといっても、1日で数%から数10%の範囲で値動きをする仮想通貨を決済手段として積極的に用いたい、というのはよほどの新しもの好きか、決済した瞬間の仮想通貨の価値が高いと信じて疑わない人に偏ることが想像されます。仮想通貨が浸透し、価格も安定すれば決済手段として大きな価値を持つものであると言えますが、(可能性は低いと思いますが)浸透しても依然高いボラティリティを維持していると、決済手段としては魅力的ではありません。

次に考えられるのはTenXが仮想通貨のプラットフォームとして機能しなくなってしまうシナリオです。TenXの(将来的な)強みとしては、TenXカード一枚で、様々な仮想通貨での決済に対応することにより、支払う側にも多くの選択肢を提供しつつ、支払われる側にも複数のシステムを導入するコストをカットさせつつ、様々なユーザーのニーズを満たすことで価値を提供する形になりますが、仮に仮想通貨が主要なあらゆる通貨の支払いを、それぞれ積極的に導入するレベルで浸透した場合、「あらゆる通貨の支払いをカード1枚で」という優位性が失われることになるため、TenXが必ずしも浸透するとは言い難くなります。

仮想通貨の全体の未来と連動するコイン

仮想通貨は「投資商品」というより「投機商品」としての一時的な過熱が落ち着き、今後改めて人々の生活の中に浸透していく中で徐々に価値を上げていくフェーズになったと考えています。浸透していく中で、通貨の本来の価値である「決済」の機能が価値を持つことは不可欠な要素の一つであると言っても過言ではありません。その機能の発展を支える重要な役割を担う可能性の高いTenXは数ある仮想通貨の中でも有望な投資先の一つとして考えることが出来るのではないでしょうか?仮想通貨の決済を行う上で、カードを使ってみるだけでも、仮想通貨を決済を理解する上で良い経験になると思います。ぜひ投資先の選定のご参考にしてみてください。