銀行と仮想通貨技術の組み合わせ

りそな銀行が仮想通貨事業に参入日本や欧米などでは、仮想通貨技術を銀行などの金融機関との技術的な連携ができないか、その可能性について日々研究しています。仮想通貨投資家からすると、中央管理制度の銀行と非中央管理制度の仮想通貨が合わさるというのは、考えにくいと思うでしょう。しかし、企業などが考えている仮想通貨の導入というのは、銀行が仮想通貨を発行し流通させるというの意味の連携ではなく、仮想通貨技術を導入しようという動きのことです。

後述でも紹介しますが、送金サービスをよりスピーディに、いつでも対応する為にブロックチェーン技術を活用することや、銀行業務の効率化に仮想通貨技術を導入しようとしています。つまり、2018年時点の銀行で取り扱っている送金サービスは手数料が高く、使いやすさという点で課題が残っています。それらを解決するには、今までのような中央サーバーや仲介会社等を活用したシステムでは、限界があり抜本的な改革が必要とされていました。そして2018年国内で発表された、銀行の新規事業・技術の説明では、仮想通貨技術を導入した新たなシステムが予定されており、多くの企業や個人などが注目しました。

仮想通貨は元々、世界中で平等に使用出来るデジタル通貨を目的として開発されました。しかし、開発・発展していくごとに、仮想通貨技術は他分野にも応用できると気づき、多くの開発者や企業が2018年頃から、仮想通貨と他分野のシステムやサービスとの連携に力を入れてきています。そして、仮想通貨事業にも力を入れているのが、大手銀行のりそな銀行も含まれています。りそなホールディングの子会社である、りそな銀行も近年ブロックチェーン技術やスマートコントラクトに目を付け、銀行業務との連携を目指して開発を進めています。次の項目では、りそな銀行も導入を表明している、ブロックチェーン技術に関する事業を紹介します。

りそな銀行も導入を決めた仮想通貨を利用した送金サービス

2018年春に、ある大きな発表がなされ、多くの企業や個人がその内容に注目しました。それが、銀行3機関が仮想通貨リップルを用いた、送金サービスアプリ「Money Tap」を2018年夏以降に公開するという発表です。そして、その銀行というのは、りそな銀行、スルガ銀行、住信SBIネット銀行という国内大手の銀行になります。国内の場合は特に、仮想通貨技術の金融関連の技術との連携に慎重でしたので、今回の動きは今後の仮想通貨技術の拡散に関してターニングポイントとなると考えられます。それだけ、大きな動きが2018年春に起きたということです。

りそな銀行も仮想通貨技術の導入を決めたということですが、ここでその具体的な内容について説明します。そもそも日本では、フィンテック関連の技術発展が世界と比較して遅れ気味ともいわれ、その中でも現金主義な側面を持つ社会であることから、スマホなどの端末と金融サービスの連携があまり見られませんでした。ですので例えば、複数で飲食をしたのち支払いをするために、それぞれ必要な分のお金を出すとします。しかし、場合によっては換金をしなければ金額が合わないといた不都合が生じます。これも、フィンテックの導入が進んでいない特徴ともいえます。

今回のプロジェクトというのは、りそな銀行を筆頭に仮想通貨「リップル」のブロックチェーン技術を用いた送金サービスの導入のことを指します。具体的には、スマホのアプリで送金操作ができるようになります。そして、送金といっても低コストで24時間365日稼働できるシステムでないと意味がありません。ですので、リップルの特徴である送金速度の速さと、仮想通貨のブロックチェーン技術をサービスに組み込み、24時間送金サービスを実現させます。これが、りそな銀行も導入を決めた、24時間送金サービスアプリ「Money Tap」の概要です。

りそな銀行も導入を決めたMoney Tapで何が変わる

送金サービスアプリ「Money Tap」を2018年夏以降に公開するりそな銀行りそな銀行も発表した、Money Tapの概要は分かったと思いますが、多くの方はまだ利便性や生活への影響について理解しにくいでしょう。そこで、りそな銀行が導入を決めた送金サービスの特徴について、分かりやすく説明します。

りそな銀行がサービスアプリ導入を決めた「Money Tap」の特徴は、
・簡単
・24時間365日使える
・安全、確実
とされています。

まず簡単というのは、送金操作が簡単ということです。Money Tapを使うためには、名前、電話番号、口座情報や本人確認のための指紋認証をします。そして、それらを登録した人同士の送金であれば、口座番号等を入力不要でQRコードなどの読み取りのみで送金ができます。このように、アプリという外出先でも気軽に使うことができるソフトであると同時に、送金操作が非常に簡略化されたことで利便性向上が期待できます。

次に、いつでも使えるということですが、スマホ向けアプリなのでりそな銀行まで赴いて送金作業する必要がなくなります。ですので、どこでも送金作業ができます。さらに、ブロックチェーン技術の特性である24時間365日常に稼働している点が活用され、Money Tapも24時間365日いつでも送金作業が可能となっています。

3つ目の安全・確実の意味ですが、ブロックチェーン技術は匿名性が強く、容易にハッキングできない仕様です。従って、送金作業は簡単ですが送金時のセキュリティ対策は複雑なので、安全性の高さが期待されています。これまで、仮想通貨に関するハッキングの事件はありましたが、主に仮想通貨取引所へのハッキングといったウォレットへの攻撃が大半でした。つまり、ブロックチェーンそのものに対する攻撃が成功した事例は、少ないといえます。

他の特徴としては、りそな銀行と他2つの銀行間で送金が行えるという点です。また、1回の決済の上限額は3万円で、1日の決済額は10万円の設定で調整が行われています。りそな銀行は他の銀行よりも先に、仮想通貨技術を銀行業務と組み合わせたことで注目されています。

りそな銀行がスマートコントラクトの活用を検討

りそな銀行が取り組む仮想通貨関連事業は、Money Tapだけではありません。2018年3月に、りそな銀行は、株式会社デジタルガレージや弁護士ドットコム株式会社と共にスマートコントラクトを活用した業務の効率化の実証実験を開始していることを発表しました。また、実証実験は2018年2月から開始されています。

りそな銀行が発表した銀行業務効率化とは、個人向けローン業務の効率化にスマートコントラクトを活用するということです。スマートコントラクトとは、仮想通貨に組み込まれている技術の1つですが全ての仮想通貨に実装されているわけではありません。代表的な例ですと、イーサリアムが有名です。

イーサリアムは今回のようにあらゆるアプリケーション等のプラットフォームとして活用されるようにスマートコントラクト技術が実装されています。スマートコントラクトとは、ブロックチェーンのプログラムを自由に組んで自動契約のようなシステムを作ることができます。ですので、りそな銀行が発表した銀行業務の効率化というのも、スマートコントラクト機能を活用した自動業務のことです。

また、りそな銀行が発表している内容によると、顧客とりそな銀行側で予め設定した条件に基づいて、自動借り入れや、自動貸付・返済が行われるようになるとのことです。これが実用化されれば、銀行員の人材コストも減りますし、銀行業務全体の効率化が図られます。顧客もりそな銀行双方にとって良い効果を生み出す、スマートコントラクトの実用化が期待されます。