マネーフォワードは、家計簿アプリなどを手掛けている会社です。アプリとして提供されているマネーフォワードは人気が高く、多くの方に利用されています。そんなマネーフォワードですが、5月23日に行われた会見で、仮想通貨交換業に参入すると発表しました。この会見では、最も重視したいポイントについても明らかとなりました。
マネーフォワードの会見で明らかになった仮想通貨へのハードル
5月23日に行われた会見では、マネーフォワードフィナンシャルの神田社長が登壇しました。マネーフォワードの子会社であるマネーフォワードフィナンシャルを通じて、仮想通貨交換業への参入をここで発表したのです。同時に発表されたことが、仮想通貨へ参入したいと思っている方が、ハードルとして抱えているある問題でした。
2018年初頭、Coincheckの問題により仮想通貨に対するセキュリティが問題視されました。セキュリティは、仮想通貨を取引する上では最も重要とされている部分で、Coincheckの流出以降は対策が強化されています。そうした背景を神田社長も説明しており、セキュリティを万全に整えることを第一に、仮想通貨交換業への参入を行うと発表しました。
セキュリティに関する問題は、ユーザーからも万全に整えてほしいという意見が相次いでいることが説明されました。マネーフォワードが行ったアンケート調査では、仮想通貨取引所に求めていることとして、セキュリティが最も高い63.5%であったと発表しています。同時に、仮想通貨を始めていない理由の1つとして、セキュリティへの不安を抱えている方が47.3%を占め、多くの方がコインチェックの問題以降、セキュリティへの不安を感じていると回答しているのです。
神田社長は、セキュリティ第一に考えると説明しています。セキュリティについては、コールドウォレットを採用し、ホットウォレットも場合によっては検討しているとしています。また、マルチングを導入ししたいと発表していますが、これから登場していく仮想通貨がマルチングに対応するのかも含めて検討したいと説明しています。
マネーフォワードは最終的には仮想通貨の全体サポートを目指す
仮想通貨交換業へ参入するマネーフォワードは、メディアから仮想通貨への交換、そして仮想通貨の利用までをすべてサポートしたいと発表しました。そして、これらのサービスを一元で提供する仮想通貨取引所を目指します。
メディアというのは、仮想通貨に関連する情報を提供し、多くのユーザーが仮想通貨への交換が促せるように、様々なサポートをマネーフォワード側で行います。今までの仮想通貨取引所が、あまり仮想通貨に関連する情報をしっかり出していない傾向もあり、最終的にマネーフォワードは仮想通貨の情報サイトも運営したいと考えています。
また、仮想通貨の交換から利用までを一括で行えるよう、マネーフォワードは仮想通貨取引所の新しいサービスを提供するとしています。仮想通貨の利用までを一括で対応している取引所は現時点ではかなり少ないため、マネーフォワードが実現させられれば大きな変化を生み出すことになるでしょう。
マネーフォワードは他の仮想通貨取引所と提携を行うと発表
現在マネーフォワードは、仮想通貨取引所との提携を行っています。現在はbitFlyerとCoincheck、さらにはzaifの3社に対し、マネーフォワードの資産管理サービスを提供しています。このサービスを、国内外の仮想通貨取引所20社に拡大することも発表しました。
仮想通貨取引所を拡大することで、マネーフォワードを使った資産管理が行いやすくなり、通貨を保有している方が仮想通貨の管理への安心感を与えます。それと同時に、マネーフォワードが今後仮想通貨取引所へ参入する際、資産管理の方法についてシステムをしっかり強化することで、より使いやすい仮想通貨取引所を作成したい思惑もあります。
さらに、仮想通貨取引所に対して、将来的には自動取得しているデータをcsv形式でダウンロードできるようにします。仮想通貨に関連する取引のデータを自動的にダウンロードすることで、確定申告の手間を省きたいと考えています。マネーフォワードが提供している、MFクラウド確定申告へのインポートを行うことで、仮想通貨の確定申告を自動的に作成できる方法を作りたいとしています。
今後、仮想通貨取引所にはマネーフォワードが次々と導入され、国内の取引所だけでなく、海外の取引所でもマネーフォワードの恩恵を受けられます。さらに、確定申告の手間が大きく省かれることになり、今まで苦労して作っていた確定申告が劇的に変わることになるでしょう。
マネーフォワードが取り扱う仮想通貨は明言を避けた
神田社長は、マネーフォワードが仮想通貨取引所に参入する際、どの仮想通貨を取り扱うのか明言を避けています。取り扱う仮想通貨の種類は、できる限りユーザーの方が多く利用したいと思われている通貨にすると発表しましたが、具体的にどの仮想通貨を取り扱うのかは全く話をしていません。
具体的な仮想通貨の名称を出さなかった背景には、ユーザーが利用したいと思っている仮想通貨を把握できていない、もしくは調査中の段階で、まだ情報を出せないのでしょう。ただ、これまでの仮想通貨取引所では、ビットコインやイーサリアムといった有名な仮想通貨はほぼ利用されているため、この2つを中心に検討しているのでしょう。
また、現時点でマネーフォワードが仮想通貨交換業への登録を申請している途中であること、金融庁とのビジネスモデルについての相談を行っていることも明らかにしています。実際に仮想通貨取引所として運営されるまでにはまだ時間がかかることも説明しています。
現時点では、まだ仮想通貨取引所としてのビジョンは見えませんが、今後金融庁などとの相談によって、早く情報を発表できるように努力することは間違いないでしょう。
マネーフォワードは仮想通貨に関する社員の育成も検討
マネーフォワードフィナンシャルは、3年間で100人の社員を増やすと明言しました。これは、仮想通貨取引所を開設するにあたり、社員の数を増やして育成したい狙いがあります。社員に仮想通貨に関する知識と研究、更には全国の金融機関との連携を図るために、多くの社員を募集することを発表しました。
同時に、ブロックチェーンについての研究開発についても発表しています。ブロックチェーン技術は、多くの企業が研究と開発に乗り出している分野ですが、マネーフォワードも研究を行うことを明言しています。さらにブロックチェーン技術が開発されて、多くのユーザーに対して恩恵を受けられるように、社員を増やしながら研究を進める予定です。
神田社長は、自由という部分を意識して仮想通貨交換業へ挑戦したいとも話しています。何かに縛られるような自由ではなく、フリーでフェアな金融サービスを提供し、固定された価値にとらわれないサービスを提供するとしています。ユーザーに対しても、難しい言葉を利用せず、何を届けられるのかを重視したいと話しています。
これからマネーフォワードは、新しいサービスへの挑戦を開始します。これまで仮想通貨取引所に対してマネーフォワードというサービスを提供していたものが、会社で仮想通貨取引所を作り、新しいサービスを提供することを目指します。そうした中で、セキュリティ対策や仮想通貨に対する一元管理の方法など、解決していく問題点は非常に多くあるでしょう。できる限り早く、仮想通貨取引所のビジョンを発表し、より多くのユーザーが仮想通貨に触れられる環境に期待します。