ビットコインを始めとする仮想通貨は、価格の変動が激しく2018年上半期は長期の下落相場が続いています。現物売買では、2017年に比べて利益を上げるのが難しい相場になっていますが、仮想通貨のでレバレッジを掛けた売買方法なら「空売り」と呼ばれる「売り(ショート)」ポジションをとることで下落相場でも利益を出せます。仮想通貨でレバレッジをかけて売買する方法と、現物の売買では何が違うのでしょうか。

仮想通貨のレバレッジ取引と現物取引の違い

仮想通貨の売買方法としては「現物取引」と「証拠金取引」の2種類あります。「現物取引」は自己資産の範囲内で売買を行うことで、「証拠金取引」は自己資産以上の額の売買が行えるところが特徴です。仮想通貨のレバレッジ取引は、後者の「証拠金取引」に分類されます。

レバレッジとは日本語で「テコ」の意味を持ち、正式名称は「差金決済取引」と呼ばれています。レバレッジを掛けることによって、自己資産以上の額の売買が可能になります。例えば、レバレッジ10倍なら資産の10倍の額の売買が可能になるので、資産10万円でも100万円分の額の売買が行えるようになります。

レバレッジを掛けた売買方法のメリットは、大きな利益を期待できるだけでなく、現物売買と違って「売り注文(ショート)」から始められることです。仮想通貨を所有していなくても売買ができるので、下落相場でも利益をあげられます。現物の売買では「売り注文(ショート)」から始められません。レバレッジを掛けた売買のデメリットとしては、現物よりも損失のリスクが大きいことです。利益が倍増する期待がある一方、最悪の場合、自己資産がマイナスになる可能性があります。

仮想通貨のレバレッジ取引の種類は3種類

仮想通貨の売買方法は、FX取引、先物取引、信用取引の3種類あります。日本円や仮想通貨を証拠金として取引所に預けることで、レバレッジを掛けた売買ができるようになります。通常の売買手数料に加えて、「買い(ロング)」や「売り(ショート)」のポジションを持つと「スワップ手数料」が発生します。スワップ手数料とは、日をまたいでポジションを保有しているとかかる手数料のことです。また、信用取引では実際に仮想通貨の売買をしますが、FXと先物においては仮想通貨を保有しません。

レバレッジをかけたFX取引は外国為替取引と同じ仕組みで、価格差から利益や損失が生まれます。証拠金を預けてそれにレバレッジを掛ける設定をすることで、「代行業者」が仮想通貨の売買を行います。実際に投資家が仮想通貨を保有するわけではなく、売買の結果のみが残高に反映されます。そのためレバレッジ取引には返済期限がなく、いつ決済しても問題ありません。

先物取引は、基本的にFXと仕組みは同じですが決済期限があります。決済日のことを満期日と呼び、「特定の期日に特定の銘柄を特定の金額で売買する」という約束をして売買を成立します。先物の場合は、満期日までに必ず決済をしなければなりません。

信用取引は証拠金を担保にして、取引所から資金や仮想通貨を借りて売買を行います。実際に仮想通貨を保有して売買を行うのがFXや先物と異なるところです。資金や仮想通貨を借りているので返済期限があり、一般的に借り入れ手数料を払う必要があります。

レバレッジ取引は追証・ロスカットに注意

レバレッジ取引のメリットと現物取引との違い仮想通貨のレバレッジ取引ができる多くの取引所では、投資家を保護するために証拠金維持率を基準とした「追証(おいしょう)」と「ロスカット」制度が設けられています。投資家の損失が大きくならないようにするためのセーフティネットですが、現物を売買するときにはない制度です。レバレッジ取引を行う取引所によっては追証やロスカットがないところもあります。

証拠金維持率とは、レバレッジを掛けた証拠金取引を行う際に、取引所に担保として預けた証拠金がどれだけ残っているかを表す指標です。相場の変動により価格が変わると含み損が出る場合があります。証拠金維持率は、この含み損から証拠金を差し引いて計算します。

追証(おいしょう)とは「追加保証金」の略で、証拠金維持率が一定の水準以上に損失を被った場合、追加で証拠金の入金を求められることを指します。追証を行うと継続して売買できるようになりますが、追証には期限があり期限をすぎても入金がないと強制決済されます。

ロスカットとは、レバレッジ取引をしていて損失が大きくなった時に、証拠金維持率が一定の水準以上に損失を被ると、売買をすべて強制決済することをいいますす。証拠金維持率が50-75%ほどでロスカットになるところが多く、自分が利用しているところのロスカット基準をしっかりと確認しておきましょう。

仮想通貨のレバレッジ取引にかかる税金は雑所得の最高税率55%

仮想通貨のレバレッジ取引で得た利益には、現物売買と同様に税金がかかります。通常のFX取引は「税率20.315%の申告分離課税」ですが、仮想通貨でのレバレッジをかけたFX取引は「総合課税の雑所得」なので注意が必要です。また、株や通常のFXのように源泉徴収を行ってくれる特定口座の制度も無いため、利益が出た場合には投資家自身で確定申告する必要があります。これは現物売買も同じです。

雑所得は総合課税で、給与所得などその他の収入と合算した額によって税率が決まります。累進課税なので、所得が多ければ多いほど税率が高くなり、所得税と住民税を合わせた最高税率は55%です。金融庁の発表当初は物議を醸しました。

課税されるタイミングは、決済をして利益を確定した時点で課税されます。決済をしていない状態、いわゆる「含み益」では課税されません。また、仮想通貨を別の仮想通貨に交換した場合にも課税されます。例えば、ビットコインをイーサリアムに交換した場合にも、利益確定として課税されます。仮想通貨市場では日本円で購入できないことがほとんどなので、交換時の日本円価格で計算しなければなりません。

確定申告の期日は、利益が確定した翌年の2月16日から3月15日までに確定申告をしなければなりません。レバレッジを掛けた売買でも、現物売買でも変わりはありません。所得税の納付は3月15日まで、住民税は6月頃に決定額が通知されます。なお、利益が20万円以下の場合は確定申告不要です。

仮想通貨のレバレッジ取引ができる取引所を選ぶ4つのポイント

1.レバレッジ倍率

日本の法律では、為替FXの最大レバレッジ倍率は25倍までと定められています。仮想通貨のレバレッジ取引に関しては、金融庁が規制を検討しているようですが明確に定められていません。現在、国内取引所が提供しているサービスの最大レバレッジは25倍までとなっており、海外取引所では最大レバレッジ100倍のところも存在します。取引所によって掛けられるレバレッジ倍率は異なり、また取り扱い通貨によってもレバレッジの倍率が変わることがあります。レバレッジを掛けた売買は大きな利益が期待できる一方で、損失が出てしまう恐れもありますので、レバレッジの倍率は十分に検討してください。

2.取り扱い通貨

ビットコインを始め、リップル、イーサリアム、ライトコインなどのアルトコインに対応している取引所もあるので、取引をしたい仮想通貨に合わせて取引所を選択すると良いでしょう。国内取引所は限られた通貨しか取引できませんが、海外取引所は取り扱い通貨が豊富な傾向です。

3.スプレッド手数料

スプレッドとは買値と売値の価格差のことです。スプレッドから取引所は利益をあげているので、価格差があるほど投資家に多くの手数料がかかります。また取引所によってスプレッドの設定は異なり、変動するのが特徴です。できるだけ手数料を抑えたいならば、販売所取引ではなくスプレッドの狭い板取引ができる取引所を選びましょう。

4.追証の有無とロスカットのポイント

仮想通貨のレバレッジ取引は自己資金以上の取引ができるので、大きな利益が上げられるかもしれません。同時に、大きな損失を出してしまうリスクもあるので、損失リスクも考えておきましょう。追証がない取引所や、ロスカットがほぼない取引所もあるので、損失リスクを踏まえた上で取引所を選ぶことが重要です。