ブロックチェーンが世界の金融を変える

インドが政策として銀行や保険会社をブロックチェーンで繋いで挑む次の世界

インドでは地下経済の撲滅を狙って2016年11月に1,000ルピーと500ルピー札を使用出来ないようにしましたが、そのことによって電子マネーが急速に普及していき、デビットカードによるスマホを使用した決済が普及してきています。そのような中で2017年8月にインドを拠点とする保険会社13社が企業連合を組織して、ブロックチェーンを用いた分散型台帳を作成して共同で管理を行なうことで、個人情報などを登録する手続きを省略するなどの利便性を図っていくことが可能となってきました。そしてインド国内の他の保険会社も参加することで、利用者が受ける詐欺被害を減少させることも可能となるめに、今後の参加企業の増加を求めています。

一方インド政府もブロックチェーンによるプラットフォームを構築する政策を検討していて、ブロックチェーンによって銀行業務に関連する様々なサービスの開発を行なっていく方向性にあって、実際2016年にはブロックチェーンアプリケーションの領域に関する研究を始めていて、2017年1月には国内にある銀行との間を繋いだ実証実験を行なっています。このようにインドでは政策として貨幣のデジタル化の進行とともにブロックチェーンを使用したフィンテック経済の構築を目指しています。

難民による犯罪抑制などを目的にしてブロックチェーンを活用した次の世界

フィンランドは人口が550万人ほどの北欧にある国になり、製紙やパルプなどの木材製品を基幹産業としていましたが、2012年頃からGDPの成長率が減少していきその結果近年の失業率は8.8%ほどになっています。しかも現在働くことが出来る年齢層が全人口のその過半数に当たる52.3%、そして高齢者層が19.8%ほど居住しているのですが、今後その働いている年齢層が高齢者層に移行したときに、就業者数が大きく減少していく懸念がありました。

そのような中でシリアなどからの難民が増えてきていて、2014年には3625件あった難民の申請件数は翌年には3万2千件以上の申請件数となっていました。2016年からは減少していき5千件以上の申請件数になっていますが、その一方で難民による犯罪や被害も増えてきており、この難民対策に苦慮していましたが、2016年にEUとトルコが基本合意を行った違法難民を一旦トルコに戻して審査を行ない、審査を通った難民を受け入れる対策に対して、フィンランドの大統領は賛意を表していました。そしてその難民による犯罪や難民の就職問題を解決するためにデビットカードを難民に向けて発行し、ブロックチェーンでそのデビットカードを管理することで難民の管理を行なうことが出来るようになりました。

電子政府が確立したエストニアがエストコインで挑む次の世界

エストニアは北欧に存在するバルト三国のひとつになり、1991年に旧ソ連から独立しましたが、そのエストニアでは現在電子政府が発達しています。例えばエストニアでは行政のサービスや銀行などの手続きをオンラインで行なうことが出来るE-residentを運用していて、エストニアに居住していない人でもE-residentを利用することでデジタル住民になることが出来、その結果エストニアに会社を設けて運用することも可能となっています。

その一方でエストニア国民は国民IDを所有していて、その国民IDを使用することで投票や納税を行なうことが可能となっています。その電子政府が確立しているエストニアにて、政府はエストコインを発行することを検討しています。具体的にはエストニアをベンチャー企業と見立てたベンチャー企業投資のような形態になっていて、エストコインを発行して投資家から投資を募り、そのエストコインを上場させて値上がりすれば利益を得られるシステムになっています。

このように独自の仮想通貨であるエストコインを発行して資金調達を行なう手法をとっていく検討をエストニアは行なっていますが、このような手法で資金調達を国家が行なうことは初めてのケースとなるため、電子政府の優れた国家であるエストニアの試みも今後の展開には注目に値します。