新たな投資手段としてICO投資が注目を浴びています。その一方で、つぎのような嘆きをつぶやく人達が増えてきました。
「ICO投資を紹介されたけど、詐欺かもしれない・・・」
「ICOに投資するまえにホワイトペーパーを読みたいが、どこに注目すればいいかわからない・・・」
「ICO投資詐欺の事例を知っておきたい・・・」
この記事はそんな方に向けて書いています。ICO投資詐欺のほとんどは、事前にホワイトペーパーを読んでいれば回避できるものばかりです。ホワイトペーパーの読むべきポイントについては記事の中盤で書きました。最後にICO投資の詐欺事例も紹介しています。ホワイトペーパーについてある程度の知識がある方は、前半を読み飛ばしていただいても構いません。
ICO投資は詐欺であることが多い
ICO投資は詐欺であることが多いです。どうしてかというと、誰でもかんたんに始めることができてしまうからです。たとえばICO詐欺で儲けようとした場合、下記の3つの手順を行なえば誰でも資金調達ができてしまいます。
1.ICO用のWebサイトを作成
2.ICOのホワイトペーパーを作成
3.SNSなどで広告をして買う人を募る
今の時代ならかんたんにWebサイトが作ることができますよね。ホワイトペーパー(事業計画書)の作成に関しても、ネットで調べれば類似したものがすぐに作れます。さいごはTwitterなどSNSで広告をして買う人を募ればおしまいです。このようにICO詐欺はやろうと思えば誰でもかんたんにできてしまいます。
また、詐欺ではないですがICOプロジェクトが失敗してしまい、投資したお金がまったく返って来ないこともあります。ICOプロジェクトが失敗する理由はいくつか考えられますが、主なものは技術チームの実力不足や規制に対するリスク管理ができていないからです。
このように、ICO投資を考えている私たちはICO投資が詐欺ではないことやほんとうにICOプロジェクトが実現可能であるか、というところまで見極めなくてはいけません。ではどうすればいいのでしょうか? これからICO投資を見極めるツールの一つであるホワイトペーパーをご紹介します。
ICO投資のホワイトペーパーとは
ホワイトペーパーは、ICOに関する情報をまとめた書面のことで、事業計画書のようなものです。株式上場の場合で言う「目論見書」にあたります。ただし、ホワイトペーパーは目論見書とは違い、作成する義務はありません。そのためICO投資案件のなかにはホワイトペーパーがないものあります。とはいっても、ICOのホワイトペーパーがなければ信用性が薄らいでしまうので、ほとんどのICO投資案件にはホワイトペーパーが作成されています。
ICOのホワイトペーパーに記載されている内容はおもに次の9項目です。
1.ICOの開始日や締切日
2.発起人と技術チームの経歴など
3.資金調達によって開発・運営しようとするICOプロジェクトの具体的な内容
4.プロジェクトとトークンの関連性や技術的な説明
5.トークンの性質や機能、トークンを保有することのメリット
6.トークンの総発行量や発行されるトークンの割当先
7.ICOにおける最低調達額や最大調達額
8.プロジェクトの開発ロードマップ
9.トークンの法的性質やリスクについての説明など
ICO投資のホワイトペーパーは任意で作成している書類であり、ビジネス慣習も確立されていないため、すべてのホワイトペーパーが9の項目を網羅しているとは限りません。なかには明らかに説明不足で、ICOプロジェクトの全貌が見えてこないものもあります(ICO詐欺の可能性があります)。そのため、上記に挙げた9つの項目はあくまで目安としてください。
ICO投資で詐欺に合わないホワイトペーパーの読み方
ICO投資のホワイトペーパーでまず確認していただきたいのは、発起人や技術チームの顔写真と実名が公表されているかです。顔写真が公開されていれば、信用性は高まりますよね。お時間がある方は、発起人や技術者の実名をGoogleで検索して本当に実在した人物なのか検証することもおすすめします。また、技術者に関しては過去の実務経歴が十分あるか確認しておくのも良いでしょう。
つぎに確認していただきたいのは、トークンの技術的な説明についてです。たとえばビットコインのホワイトペーパーには、ビットコインの技術的な仕組みが図や計算式を交えて十分に説明されています。一方でICO詐欺の疑いがあるホワイトペーパーは、技術面の説明が不十分です。そもそも開発する意図がないので、説得力のある内容になりません。
もう一つ確認していただきたいのは、法的規制に対してのリスク管理についてです。現在、どの国も仮想通貨に対する法的整備が進んでいます。ICOの市場が海外にも広がる可能性があれば、とうぜん各国の規制に柔軟な対応をしなければいけません。規制が厳しくなったので、ICOプロジェクトを中断されるなんてことがないようにリスク管理にも目を向けてください。
ホワイトペーパーを読めば防げたICO投資詐欺の事例
ここからは実際に過去におこったICO投資詐欺の事例をご紹介します。まずは「ビットコネクト」。2016年11月からICOを実施し、詐欺の疑いを受けて、2018年1月に仮想通貨取引所を閉鎖しました。ビットコネクトの場合は、そもそもホワイトペーパーを公開していませんでした。さらに誰が運営しているかについても公表していないというお粗末な事態。ビットコネクトのICO投資をするまえに、ホワイトペーパーを確認しておけばICO詐欺に合うことを防げた事例といえるでしょう。
つぎのICO投資詐欺の事例は「Prodeum」。650万ドルの資金調達を計画していましたが、けっきょく11ドルしか集まらず、その後ウェブサイトに「ペニス」と書き残して姿を消しました。Prodeumはホワイトペーパーを公開しておりましたが、内容はじつに乏しいもので技術的な説明はほとんどありません。また運営者やチームの名前は公表されているのですが、顔写真がなく信憑性に欠けます。Prodeumに関しても、ホワイトペーパーに目を通していればICO詐欺の可能性があると判断できた事例といえるでしょう。
ICO投資の要点
最後に要点をまとめていきます。まず、ICO投資には詐欺の可能性があることをお伝えしました。ICO詐欺はウェブサイトとホワイトペーパーを準備して、SNSなどで宣伝をするだけでできてしまいます。それほど簡単に誰でも始められるものでした。
そこでICO投資が詐欺であるか見極めるツールとしてホワイトペーパーがありました。ホワイトペーパーは事業計画書のようなもので、プロジェクトの全貌がまとめられた書類です。私たちはホワイトペーパーを読み込むことで、プロジェクトが虚偽ではなく実現可能であるのかを判断する必要があります。
ホワイトペーパーでまず確認していただきたいのは、発起人と技術チームの顔写真と実名が公表されていることやトークンの技術的な説明が十分に記載されているかという点です。とくにICO詐欺の場合は、技術面の説明で内容が薄いケースが多いです。また法的リスク管理にも注意を払いましょう。新たな規制がかかり、プロジェクトが失敗になる場合もあります。
最後は実際に起こったICO詐欺の事例をご紹介しました。ビットコネクトとProdeumの事例で共通して言えることは、ホワイトペーパーを読んでいればICO詐欺に合うことはなかったといことです。ビットコネクトに関して言えば、ホワイトペーパーすらありませんでしたよね。
以上を踏まえた上で、ICO投資を検討してみてはいかがでしょうか。