2018年の仮想通貨市場は、1月頃に起きたコインチェック問題や仮想通貨規制に関する議論などにより、4月上旬ごろまで冷え込んだ相場となっていました。しかし、その一方でIT企業やベンチャー企業、銀行や団体など様々な方面で仮想通貨を利用したり、仮想通貨事業に参入したりと活発な動きが見られるようになっています。また、特にベンチャー企業は仮想通貨を使った資金調達であるICOで、新規プロジェクトを進める資金作りや、新たな仮想通貨開発費用に充てる動きも目立っています。
これまでの資金調達は、IPOが一般的でした。IPOとは新規株式公開のことで、企業が新規調達を行う際に、新たな株式を発行して投資家から資金を集める方法です。IPOには、メリット・デメリットが存在し、メリットは証券取引所などの厳格な審査に通った企業のみが、株式発行が許可されます。従って、投資家にとっては企業の信頼性にお墨付きが得られたことで、株式を購入するハードルが低くなります。
ちなみに審査には、業績や業種、過去何年か分の売り上げや企業情報、どのような取引を行っているかなど、ことこまかにチェックされます。一方デメリットは、企業側にとって厳格な審査は資金調達に時間がカ掛かることと、ベンチャー企業などの実績の少ない所では審査が通りにくい側面があります。そこで今回紹介するのは、ICOに焦点を絞った仮想通貨0x(ゼロエックス)の意味や特徴、将来性などについて詳しく紹介していきます。
仮想通貨0x(ゼロエックス)の基本情報
仮想通貨0x(ゼロエックス)は、2017年8月11日に上場した、新興の仮想通貨に分類されます。通貨単位は、ZRXで通貨発行上限枚数は1,000,000,000 ZRXと新興仮想通貨の中では、平均的な発行枚数といえます。ブロックチェーンには、ERC20規格を採用しておりイーサリアムと互換性があります。また、通貨の名称である0xには、イーサリアムアドレスから由来しています。
また、0xのプラットフォームで開発されたものに、分散型取引所(DEX)があります。2018年に入り仮想通貨取引所に関する新たなシステムにも関心が集まり、その1つが0xでも開発されている分散型取引所のことで既存の取引所と全く違います。ビットフライヤーやザイフといった国内大手の仮想通貨取引所は、中央集権型のシステムで構築されています。
中央集権型とは、中央サーバで管理・運用されたシステムのことで、運営している企業が管理者となって全てを管理しています。具体的には、顧客の資産管理や取引システムの運用・保守、またシステムのセキュリティ管理も含まれています。既存のシステム自体は、広く普及しており管理方法についても一定の水準で成熟した技術です。しかし、一部課題も残されており、その1つが中央サーバによる管理と企業側で管理者による顧客の個人情報管理に問題が起きる場合があります。
また、これらは仮想通貨に限らず過去にいくつも起きている事で、中央管理の問題点を指摘している方もいます。そして、仮想通貨に関する代表的な問題として、2018年1月のコインチェックの顧客の資産流出問題があります。この問題は、ハッカーがコインチェックのウォレットに不正アクセスをし、顧客の仮想通貨資産を流出させたという内容です。
この時の問題点の1つでもある、コインチェック側のウォレットがホットウォレット状態となっていたことが、流出を招いた原因とされています。従って、中央集権型及び、企業が主軸となって管理する体制の課題ともいえるものでした。
対して、分散型取引所の場合は、取引所の管理運営がブロックチェーン上で行われるようになります。従って、元々セキュリティに強いブロックチェーン技術を使った管理方式ということでメリットがあります。また、個人情報や資産もブロックチェーンで保管・管理されるので、管理者による管理の必要がなく、人為的ミスによる情報・資産流出を防ぐことが可能です。
仮想通貨0x(ゼロエックス)の特徴
仮想通貨0xの特徴についてですが、1つ目はERC20規格で開発された仮想通貨という点です。つまり、イーサリアムブロックチェーンを利用したシステムなので、同規格で発行されたトークンの手数料を抑える事ができるプラットフォームになっています。仮想通貨投資初心者の方から見ると、あまりメリットが感じられないかもしれません。しかしこの特徴は仮想通貨の発展に重要な要素となりうるポイントです。
これまでイーサリアムの規格を使ったトークンを購入する為に、ビットコインなどを準備する必要がありました。従って、例えば企業側がイーサリアムブロックチェーンで開発されたトークンでICOを公募すると、投資家は前述のようにビットコインやイーサリアムを準備するなどして、フォーマットに合わせた通貨が必要になっていました。しかし、これではICOに参加する為のハードルも高く、容易に購入できないユーザーもいました。
そこで0xプラットフォームを利用すれば、仮にイーサリアムブロックチェーンを使ったICOを購入する時、ERC20規格のトークンを保有していれば可能となります。すなわち、イーサリアムを活用したトークン同士の互換性を持たせるシステムということです。これが冒頭でも紹介した、ICOに関する仮想通貨0xの意味です。
続いての特徴は、トランザクション時にオフチェーンで処理される部分があるので、送金処理速度が早く手数料コストを抑える事ができます。通常のトランザクションは、取引をする相手と取引処理を行います。従って、お互いのブロック容量は送金時の処理全てが含まれるため、場合によっては送金処理速度が遅くなる場合もありました。しかし、オフチェーンの場合は、計算処理は仲介者と呼ばれる取引に参加していない第三者に、処理を委託します。そして、再びオンチェーンと呼ばれる本来の取引相手にトランザクションの結果のみを送信するので、データ容量が少なくスピーディに送金できるようになります。さらに、仲介者となったユーザーには取引処理の協力報酬を受け取ることができます。
仮想通貨0x(ゼロエックス)の購入方法
仮想通貨0xの購入方法ですが、2018年6月時点で国内の仮想通貨取引所による取り扱いはありませんが、海外の仮想通貨取引所で取り扱っています。また、0x取り扱っている取引所は、世界的にも有名な仮想通貨取引所のバイナンスとポロニエックスです。どちらも取り扱い通貨の数が多く、取引量も多いことで有名です。しかし、どちらも法定通貨の日本円入金は取引に対応していない為、どちらの取引所でも取り扱っているビットコインかイーサリアムで入金する必要があります。
また、その準備をする為にまずは国内の仮想通貨取引所でビットコインかイーサリアムを現物取引で購入し、ウォレットに保管します。そしてバイナンスか、ポロニエックスで口座開設しビットコインかイーサリアムを入金して0xを購入します。
仮想通貨0x(ゼロエックス)の将来性
仮想通貨0xの将来性についてですが、最近では分散型取引所やプラットフォームに注目が集まっており、その流れで同じく注目される可能性があります。また、イーサリアムトークンを保有しているユーザーにとっては、便利な互換性機能があるので利用頻度が高まることも予想されます。市場価格は、2018年6月時点で1ZRX=145円台で推移しており、3月から上昇傾向が続いています。
今後イーサリアムを使った新たなアプリケーションのリリースや、イーサリアムトークンの発行・流通などに伴い0xプラットフォームは需要が高まることが考えられます。また、相場も上昇傾向が続いていることもあり、今後も注目のアルトコインといえるでしょう。