国内で取引所「Zaif(ザイフ)」を運営するテックビューロ株式会社はプライベートブロックチェーンの「mijin(ミジン)」を開発しています。ビットコインなどの多くの仮想通貨の土台をなすブロックチェーンの技術を応用し、権限を持つ人しか利用できないブロックチェーンを作り上げています。大きな目的は金融機関のインフラコストを抑えることですが、それだけではなさそうです。何かと話題になったNEMへの実装も予定されていて目が離せないブロックチェーンになりそうです。そこで、mijinとは一体何なのかを解説していきます。

Mijinの開発者テックビューロ株式会社について

mijinはブロックチェーンの革命児Mijinの開発者であるテックビューロ株式会社について簡単に紹介しておきます。テックビューロは国内の取引所、Zaifを運営していいます。Zaifは国内でも取引手数料が安く、積立投資を扱っている数少ない取引所でもあります。取引量で言うと国内ではトップ3にはいつも名を連ねています。プラットフォームの「COMSA」も話題を集め、ICOによる資金調達を行い株式上場はしていない珍しい会社です。

取引所のみを運営するだけではなく非常に多くの事業、プロジェクトを手がけています。クロークプリント(cloack print)やクロークコード(cloack coad)という肉眼で見ると透明で見えないもののスマートフォンのカメラを通すと見える技術やQRコードを透明に印刷する技術の開発も行っています。最先端の技術を開発しているような印象を受けます。

代表を務める朝山貴生さんは大学在学中に個人で事業をはじめアメリカでもビジネスを手がけてきた人物です。仮想通貨業界では知らない人がいないほど業界をリードする人物で発言には多くの方が注目しているのも事実です。TwitterなどSNSを覗いてみるといいでしょう。

Mijinの名前の由来や特徴

テックビューロが手がけているmijinですが由来は忍者の武器でもある「微塵(みじん)」になります。少し馴染みのないものですが3本の鎖が繋がっている武器で敵を粉々に砕くという意味の「微塵」でもあります。Mijinの由来もこれまでの通念や常識をことごとく打ち砕いて新しいものを創り上げる意味で名付けられています。公式サイト(http://mijin.io/ja/)にはmijinのミッションとして2018年までの金融機関のインフラコストを10分の1未満に削減することと明記されています。すでに2018年も半分を過ぎようとしていますから非常に注目したい技術でもあります。

Mijinの特徴についてみていくと冒頭で取り上げたようにネットワークに参加するには権限が必要です。これをプライベートブロックチェーンと言います。参加者を限定すれば取引処理、承認作業がスムーズに行えるメリットがあります。オープンになっていないブロックチェーンですから企業内システムに導入しやすいと言えます。セキュリティー面でも利用者を限定することは効果的で、元々のブロックチェーンよりもさらにセキュリティー水準が高い特徴を持ちます。ちなみに、ビットコインなどはパブリックブロックチェーンと言ってネットワークへの参加者に制限は設けられていません。多くの人が取引処理や承認に参加するため分散型台帳とも呼ばれています。Mijinではゼロダウンタイムを実現していますので24時間365日、システムがダウンすることなく利用できるようになっています。当然、ブロックチェーンの特徴である改ざんが不可能、分散管理によるデータ消失の心配もほとんどありません。

以上を踏まえるとmijinはビットコインのブロックチェーンのような非中央集権システムではなく管理の仕組みを限られたプライベートなネットワーク上にすることで中央集権的なシステムを採用。セキュリティーと取引処理を迅速にするメリットを提供するわけです。

MijinとNEMの関係

mijinの特徴や話題のNEMとの関係・将来性テックビューロは仮想通貨NEM(ネム)との技術的なつながりがあります。Mijin自体がNEMのブロックチェーン技術を使って開発が進んでいます。NEMのアップデートとしてmijinを実装する予定となっていて、そのアップデートはカタパルトと呼ばれ注目度の高いものになっています。

カタパルトには大きく3つの特徴があります。あらゆる資産を一つの資産で保管し経営者が自分自身で管理から設計まで可能になります。管理面でも秘密鍵を分割するマルチシグでコントロールしていきますのでセキュリティーも強固になります。秘密鍵は銀行口座でいうと暗証番号のようなものですから管理は非常に重要な問題と覚えてください。最大の特徴とも言えるのは取引処理の速さで、1秒間でおよそ4000件の処理が可能です。ビットコインは毎秒5件ほど、送金システムに重点を置くリップルでも毎秒1000件くらいですから、とてつもない処理速度であるのは容易に理解できるでしょう。

非常に魅力的なカタパルトですが実装にはこぎつけていません。当初、2017年の夏には実装かとの噂も流れていましたが実現せず、βプログラムが2017年の11月に始まりました。βプログラムはクローズドでのプログラムでてテスト利用が開始されています。本格的な実装は2018年以降と公式ホームページでも記されています。同様のことがCOMSAのホワイトペーパーにも書いてありました。β版のリリース、公式的な発表があるわけですからカタパルトは実装に向けて着実に進んでいます。カタパルトが実装されれば、NEMの価格が上昇する可能性は非常に高いと考えられます。NEMの理念が新たな経済圏を作り出すことですから、カタパルトの実装で理念実現が近づくでしょう。

Mijinの活躍の場面・将来性

最後に、mijinの特徴が生かされる場面を考え将来性に迫ろうと思います。Mijinの特徴に着目し試験的な運用をしている組織や団体が現れてきています。2017年10月から一般社団法人日本ジビエ振興協会がmijinを採用して流通システムが構築できるか試験運用しています。ジビエとは野生の鳥獣を食肉にすることです。イノシシやシカなどを狩猟により捕らえて食肉にしていくわけですが消費者に安全に届けるため加工時の記録を保管する目的で試験運用をしています。エネルギー分野では中部電力が国内のエネルギー業者の先頭をきるようにmijinでトークンなどの資産を発行し取引ができるのか実証実験開始しました。

企業内の様々なデバイス間を接続するソフトウェアやサービスを開発しているインフォテリア株式会社では株主総会の議決権をmijin上で発行し投票できるかの実証実験を行っています。うまくいけば議決権だけではなく配当の発行も可能になるかもしれません。また議決権の発行を選挙の投票権にも応用できれば私たちの生活にも大きな影響を与えるでしょう。さらに、テックビューロと不動産業を営む株式会社LIFULL(ライフル)とフィンテック事業などを営む株式会社カイカは不動産情報の共有をmijinを使って行い情報の一元的な管理と透明性や正確性のある情報を提供すことで不動産業界にもいい影響をもたらすことが期待されます。ソフトウェア開発や販売、マニュアル制作を行っているナウレッジオンデマンド株式会社はコンテンツの利用履歴や改訂履歴を記録する際にmijinが使えないかの実験を行っています。また、既に日本マイクロソフトが採用するブロックチェーンソリューションでは2015年9月から発売されているmijin v.1を採用し世界88カ国で利用が可能になっています。

Mijinを使った実験は国内にはとどまらず、ベルギーのアントワープ市では電子行政システムの導入で適用実験にmijinが選ばれました。電子行政システムへmijinを使うことで、住民の出生情報や住民票の管理、転居などの情報処理、生涯学習のサポートなどを安全に運用することが可能になります。

このように、mijinのプライベートブロックチェーンに魅力を感じている企業や組織は少なくありません。色々な分野への応用がきく技術の浸透を期待して行きましょう。