仮想通貨によって世界中から資金調達が出来る「ICO」。新たな事業を展開するには資金が必要であるため、多くの方がICOに関心を集めています。また、実際に「ICO」を行って多額の資金調達に成功した例もあり、その関心は高まるばかりです。そこで「ICO」にはどんなメリットやデメリットがあるのか、また具体的なICO投資方法はどのようにするかを詳しく解説していきます。
ICOの基本情報
「ICO]とは、仮想通貨による資金調達の方法です。企業などの事業者がICOを行うと、トークンと呼ばれる仮想通貨を出資者に発行します。このトークンを購入するには、主に仮想通貨のビットコインやイーサリアムでの支払いが必要です。そのため、ICOに参加するには、事前に仮想通貨取引所に口座を開設し、仮想通貨を購入しておく必要があります。
そして、ICOでトークンを発行することを「トークンセール」と言います。この「トークンセール」では、仮想通貨取引所で取り扱うよりも安い価格で購入することが出来ます。そのため、ICO投資家にとってはメリットのある購入方法と言えます。また、トークンセールにはその仮想通貨の販売下限枚数である「ソフトキャップ」と、その仮想通貨の販売上限枚数である「ハードキャップ」と言われる設定があります。つまり、ソフトキャップを満たせない場合にはICOは中止され、ハードキャップに到達した時点でICOは打ち切られます。
実際にICOでは大きな資金調達に成功した例が国内でも存在します。成功例としては「COMSA」「QASH」「ALIS」が挙げられます。最も有名な「COMSA」は約109億円の資金調達をしており、堀江貴文氏も注目したICOでした。また「QASH」は約124億円の資金調達に成功し、人気が高すぎてICOが3日間で終了しています。そして、「ALIS」の資金調達額は約4.3億円と他の2つと比べると金額は小さくなりますが、わずか4分という短時間で1億円の資金調達に成功しています。
ICO投資のメリットとは?
ICOで発行されたトークンは仮想通貨の一つでもあり、他の仮想通貨と取引が可能です。そのため、保有しているトークンが値上がりすれば大きなリターンを得られるというメリットがあります。例えば、プレセールの価格が約26円だったイーサリアムは、2018年6月5日現在の価格が約63,000円のため、その価値は2,400倍となっており大きなキャピタルゲイン(売買差益)を得られることが分かります。
また、トークンは仮想通貨のため売買が簡単なこともメリットになります。そのため、他のICOによって発行されたトークンと取引することも出来ますし、取引相手にトークンを送金したりすることも可能です。また、ICOは株式とは違って仲介者が存在しないため、取引手数料を抑えて利用出来ます。
そして、ICOでは資金調達後も投資者は経営に対する発言権を持っていないため、経営に干渉されないことが発行者にとってはメリットとなります。この点がICOと株式の大きな違いです。つまり、発行者側は自由に経営を行うことが出来ますし、制約のない中で事業が進められることになります。
さらにICOでは国内だけではなく世界中から資金調達が可能なため、より多くの資金を集められる可能性があります。これはICOのトークンだけではなく、仮想通貨全体のメリットとも言えます。また、資金調達は開発段階でも可能なため、発行者であればさらに事業を進めやすくなります。そして、実際に約318億円の資金調達に成功した「EOS」というICOも存在します。
ICO投資のリスクやデメリット
ただし、ICO投資にはリスクやデメリットが無いわけではありません。まず、ICO投資で大きなリターンを得るには案件選びが重要になります。ICOで多額の資金調達に成功するのはほんの僅かに過ぎないため、投資をしても成功する確率はかなり低いと言えます。そのため、ICO投資では案件選びはかなり慎重に進める必要があります。
そして、案件選びではホワイトペーパーの確認が重要になります。しかし、ホワイトペーパーは英語で書かれていることが多く、内容も技術的なことのためその内容を理解することは難しいため、この点もデメリットとして挙げられます。ただし、ホワイトペーパーの理解はリスク回避にもつながるため、ICO投資を成功させるには欠かせいない条件と言えます。
また、ICOの中には詐欺まがいのものもあるため、この点には注意しなければなりません。開発途中で開発者が消えてしまう、または資金調達だけ行ってトークンが発行されないという例も確認されています。そのため、この事態を重く見た中国や韓国ではICOは全面的に禁止されていますし、アメリカでもICOに対するルールが設けられています。現在日本ではICOに対する規制はありませんが、今後ICO規制が設けられる可能性は十分に考えられます。
ICOでは投資者側に発言権がないことは発行者側にはメリットとなりますが、投資者側に立つとこの点はデメリットになります。また、ICOでは事業の途中で開発者が開発を止めてしまった場合でも、何も強制することが出来ません。ICOは成功した時のリターンは非常に大きいのですが、このように大きなリスクも負っていることを忘れてはいけません。
ICO投資への参加方法
ICO投資に参加するにあたっては、まずは仮想通貨のビットコインやイーサリアムを購入することから始めていきます。ICOで発行されるトークンは、主にビットコインやイーサリアムが支払いに使われることがこの理由です。まだこれらの仮想通貨を持っていないという方は、仮想通貨取引所に自分の口座を開設しましょう。
次に、どのICOに投資するか案件を選ぶことになります。ICOでは、この案件選びが成功のカギとなるため慎重に選ぶ必要があります。そのため、ICOのホワイトペーパーをしっかりと読んで判断しなければいけません。また、ICOの情報サイト「ICO MARKET」や「Crypto Currency Magazine」を参考にすることも判断材料として有効です。
支払い用の仮想通貨の購入と案件選びが完了したら、ICOで発行されるトークン専用のウォレットを用意します。特にICOでは、イーサリアムのプラットフォーム上で使用できる「ERC20トークン」のことが多いため、こちらに対応したウォレットの準備が必要です。イーサリアム系のウォレットでは、「MyEtherWallet」や「Metamask」が有名です。
支払い用の仮想通貨の購入・案件選び・ウォレットの準備が出来たら、トークンの購入です。指定されたアドレスに支払い用の仮想通貨を送金すれば、数日後にトークンが手元に入ります。なお、ICO案件によって仮想通貨の最低投資額は違いますが、5,000~50,000円のことが多いようです。
ICO投資の注意点と今後の可能性
ICOによる資金調達は、成功すれば多額の資金を調達できますし、投資者も大きなリターンを得ることが出来ます。しかし、ICOには詐欺的な被害が確認されていることからも分かるように、大きなリスクも存在します。それを回避するには、ICOのホワイトペーパーの内容をよく読み、企業など事業者の情報を詳しく調べる必要があります。ただし、ホワイトペーパーの内容を理解するには仮想通貨の専門知識が必要になるため、仮想通貨の初心者にはハードルが高いと言えます。
また、ICOでは投資家側の保護が不十分なため、場合によっては大きな損害を被る事になります。そのため、ICOに投資する場合には、あくまでも余剰資金で行うことが大切です。
そして、保有しているトークンの利確を行った場合には課税対象となるため、こちらも注意が必要です。仮想通貨全般では、仮想通貨で商品やサービスの購入・仮想通貨同士の取引・仮想通貨を円に替える、これらが課税の対象となります。そして、トークンは仮想通貨で購入するわけですが、購入時に保有している仮想通貨の価格が上がればその差額が課税の対象になります。
ICOや仮想通貨は、まだまだ法整備やルール作りが進んでいない分野です。その分リスクやデメリットが多くなりますが、ルール作りが進んでくればさらなる急成長が見込める分野です。ただし、成功するのはほんの少しの数のため、細かな情報収集を行うことが今後ICOや仮想通貨で成功するための手助けになると言えます。