現在、日本は国家をあげて「働き方改革」の動きに取り組んでいます。企業もそれに対応するかのように、副業禁止の規定を撤廃したり、週休3日制を導入したりと、まだまだ試行錯誤しながらではありますが、従来当たり前とされていた勤務体系から一歩踏み出す取り組みが見られ始めました。
これは、一方では多様な働き方、しいては生き方を選択できるような社会になっていることを表しつつ、もう一方では従来保証されていた終身雇用や年功序列が今後も保証されているわけではないことを意味します。とにかく一度大企業に入ってしまえば、そこそこは出世するか、「窓際族」として仕事はなくとも収入は確保することが出来た時代ではなくなります。
これからは会社に所属する、所属しないにかかわらず(もしくはその中間的な立場になるにせよ)個々がしっかりとしたスキルを身に着けていくことが必須となるでしょう。そんな社会づくりにブロックチェーンの技術を用いて貢献していこうとするプロジェクトがbeepnow(ビープナウ)です。
beepnow (ビープナウ)のプロジェクト内容
beepnow (ビープナウ)のプロジェクトは一言でいうと「スキルシェア」のプラットフォームの形成です。個人が持つ「スキル」を、それを必要している人に「シェア」するような形で提供することでマネタライズさせるようなマッチングの場を作ります。すると、スキルを保有している人にとっては活躍し、お金を稼ぐ場を提供し、スキルを必要としている人にとっては必要なシーンでのみ対価を支払うという使い方を許容することにより、人を雇う、募集するといったコストを落とすといった価値を提供することが出来ます。
このシェアできるスキルは多岐にわたります。例えば、「プログラミングの外注」「家事代行」「といった、現在既に何らかの形でサービス提供しているもの、「弁護士への法律相談」「税理士への税務相談」といった専門的な案件から「ペットの散歩代行」「引越しの手伝い」など、もはや固有のスキルというよりは時間があればこなせるような案件まで、そのプラットフォーム上で需要と供給さえあれば成立するので、可能性は無限大です。
このプラットフォームに参加者それぞれが、欲しいスキルの依頼、提供できるスキルの掲載から、マッチング、案件の報酬の決済までスマートフォン1台で行うことが出来るような仕組みの構築が目指されています。この決済の中で報酬の受け取りは法定通貨で行うことも出来ますが、beepnowのトークンで受け取るという形の選択も行えます。
beepnow (ビープナウ)の存在意義~なぜブロックチェーンなのか~
プロジェクト内容自体に共感や興味を抱きつつも、一方であえてブロックチェーンを使って行う必要があるのか、と疑問に感じられた方もいらっしゃるかもしれません。その疑問の根源は、そういったスキルのシェアリングサービスは既に世の中に(ブロックチェーンを介在させることなく)出ている、という点に尽きると思います。
その最たるものが、クラウドソーシング。クライアント(主に企業)が必要なリソースを必要な際にだけ、クラウドソーシングのプラットフォーム上に登録されたフリーランサーやパラレルワーカーに発注するシステムは浸透しきっているとは言い難いですが、最大手企業が上場しており、一般に認知はされています。また、家事の代行といった業態であれば、それ以前から総合人材会社などを中心にサービスが提供されていました。
この市場にあえて今更、ブロックチェーン技術を用いて食い込む意義は大きく分けて2つあります。1つは高額な中間マージンからの解放、もう一つは中央集権からの撤廃。いずれも、仮想通貨の元祖であるビットコインから受け継がれてきている理念です。
1. 高額な中間マージンからの解放
例えば大手系列会社の家事代行サービスを利用した場合、クライアントが報酬として支払った金額の内、実際にサービスを行った個人に対して支払われる報酬は多くて半分程度です。残りの部分は、サービスの提供元が仲介料、手数料としてもらい受けています。
クライアントは多額の金額を払っているにも関わらず、作業者に支払われる金額はそのうちの一部。営業代行から、クレーム処理を含めたアフターサービスを行うための費用として仲介料が発生するのはビジネスとして当然とはいえ、その比率の妥当性は疑問です。
また、クラウドソーシングでも半分とまではいかなくとも、例えば20%といった金額がプラットフォームの利用料として案件報酬の中から引かれています。ブロックチェーン上のプラットフォームを展開することにより、この仲介料を大幅にカットでき、依頼者は元来より少額の支払いを行っても、作業者はより高額の報酬を得ることが出来ます。
2. 中央集権的なシステムからの解放
もう一つ重要な論点として、現行のシステム上はサービス提供の大元、もしくはクラウドソーシングの提供元といったプレーヤーへの「中央集権化」が起きかねない、ということです。実際に起きているとは考えたくないですが、個人のスキルや評価について、中央権力が意図的に操作を行うことで、特定の個人を優遇、もしくは冷遇するといったことが仕組みの上では可能です。
ブロックチェーンの技術を用いることで、個人が案件をこなした履歴や、その案件に対する評価などが公正、かつ、改ざん不可能なものとなります。そうすることで個人は安心してそのスキルを高め、クライアントのニーズに応えることに集中すればよいという形になります。
報酬をbeepnow (ビープナウ)トークンで受け取ることのメリット
プラットフォームやプロジェクト自体の価値はあるとして、次に論点となるのは「果たして報酬を法定通貨ではなくトークンで受けとるメリットがあるのか」という話です。
beepnowのプラットフォームが成長しても、その中でトークンが使われず、法定通貨。ばかりが使われてはトークンの価値が上がらず、ICO参加者が享受できるメリットが薄くなってしまいます。しかし、この点は、トークンを使うことで手数料などのコストが削減できる、という点と、案件をこなすことで得られる評価が高い人には、そのインセンティブとしてbeepnowトークンが配布される、というシステムを取ることによってトークン流通のインセンティブを出すことでカバーされています。
beepnow (ビープナウ)のICOスケジュール
2018年6月3日現在、beepnow (ビープナウ)は世界のどこの取引所にも上場していません。それどころか、ICOのプロジェクトすら募集を開始しておらず、2018年7月にブロックチェーンの開発が完了し、8月からICOがスタートする予定です。現在、トークンを入手したい場合はICOよりも早い段階の「プライベートセール」という形で開発者、創案者に近い立場から入手することになります。
ブロックチェーンは働き方改革の切り札になるか
beepnow (ビープナウ)はまだICOの段階にすらないプロジェクトであり、現段階で投資をしてもどれだけのリターンが得られるか分かりません。しかし、ここのスキルをシェアし、マネタライズするというプラットフォームの構築自体は今後の世の中の流れに沿ったものでありますし、そこに公平性、透明性を担保するという意味ではブロックチェーンという人類史上でも有数の発明の性質に非常に親和性の高いものかもしれません。
現在、国も企業も試行錯誤の段階にある「働き方改革」ですが、もしかしたらそれを実現させる立役者になるのは今動いているプレーヤーではなく、プラットフォームで活動する個人かもしれません。今後の動向が見離せないプロジェクトの一つです。