ブロックチェーンの仕組みと安全性

ブロックチェーンの安全神話崩壊の危機とそのビットコインなどの仮想通貨はブロックチェーンによって守られることによって安全な取引が保証されています。具体的にはビットコインなどの取引データをハッシュ関数によって暗号化してブロックで管理します。そしてそのブロックをマイニングという作業を通じて直前にあるブロックのハッシュ関数の値やナンスと呼ばれる特別な値を台帳として繋げて、ブロックチェーンが出来上がっていきます。

このナンスと呼ばれる特別な値を割り出すには時間のかかる計算を行わなければならないのですが、その計算の結果ナンスが割り出されて全てのノードが承認すると正式に新しいブロックとしてブロックチェーンに追加されていきます。もしこのブロックチェーンに改ざんしたブロックをつなげようとするとナンスを割り出すことに時間がかかり、他所で管理しているブロックチェーンと整合性がとれなければ承認されないため、改ざんされ難い安全な管理システムということができます。

そして一方取引データは取引の当事者が所有している秘密鍵で署名されていて、その署名を公開鍵によって閲覧することでその取引データが改ざんされていない正当な取引データであることを確認することができ、この事によっても改ざんされ難いことが証明されています。

ブロックチェーンの盲点をついたモナコインなどのアルトコイン消失事件が次々と発生

このように改ざんされ難いブロックチェーンですが、このブロックチェーンの盲点がつかれて2018年5月13日~15日までにLivecoinという海外の仮想通貨交換業者が管理しているモナコインが消失して、1,000万円ほどの被害を受けてしまいました。マイニングを行いブロックチェーンに新しいブロックを追加するにはナンスを一番速く見つけて承認される必要があるのですが、稀に複数のナンスが同時に承認されることがあり、その場合は一番長いブロックチェーンが有効となって短いブロックチェーンは無くなってしまうのですが、今回のモナコインの消失はこのマイニングの特徴を突かれたかたちになったのでした。

具体的な手口は新しいブロックを追加した際にそのブロックを非公開にしてマイニングを続けてブロックチェーンを伸ばしていき、その一方でモナコインを違うコインに交換して出金して、その出金後に長く伸ばしたブロックチェーンを公開することで自動的に長いブロックチェーンが残り、モナコインを交換したブロックチェーンが無くなってしまいました。

このようなブロックチェーンの盲点を突いた手口は51%攻撃と呼ばれていて、ネットワーク全体の過半数を占めるマイニング能力があるマイナーが行っていることが特徴となり、22日にはバージ(XVG)がマイニングシステムのバグを悪用されて51%攻撃を受けて2億円相当の被害を受けた取引所がありましたし、ビットコインゴールド(BTG)も16日~18日に51%攻撃を受けて2億円相当の被害を受けた取引所がありました。

51%攻撃を防ぐには国際的なマイニング管理団体による監督が必要

モナコインなどのアルトコインが次々と消失していった原因と対策この51%攻撃は以前から可能性を指摘されていましたが、実際に行うにはネットワークの過半数を占めるマイニング能力がないと出来ないため、実際に起きる可能性をあまり意識されていなかったことはいなめません。実際以前はビットコインなどのマイニングは個人でも行えていましたが、今は高性能のコンピューターを使用しないと行えないため、ビットコインなどのマイニング事業は個人から団体などが組織立てて行う事業になっています。

ただ、取引量の少ないアルトコインなどは個人や小さな組織でもマイニングを行えることが出来るため、モナコインなどのようなアルトコインであれば1組織でも過半数を越えるマイニングを行うことが可能となり、その結果悪意あるマイナーが51%攻撃を仕掛けることが可能となったと推定することができます。ただし現状ではこの51%攻撃の有効的な対策はないので、今後51%攻撃が増えることが想定されるため、何らかの対策が必要となってきます。

具体的には国際的な管理団体に所属する各国の団体にマイニング事業を行う事業主は登録を行ってマイニング事業を行うことを義務付け、登録されているマイニング事業主が寡占状態になっているかを監視して、寡占状態であれば監督して是正を図り、悪質な場合は罰則も行えるようなルールを作って実行していくなどの具体的で実行力のある対策を立てていくことが重要になってきます。