仮想通貨の価格に影響しなかった日本の確定申告と影響を与えた韓国の確定申告
日本の確定申告は2月16日から3月15日まで行われましたが、日本の場合は既に法整備がなされていて仮想通貨によって得た利益は雑所得として申告する義務が生じています。そのためか確定申告期間中の2月から3月におけるビットコインなどの仮想通貨の価格は大きく下げることはありませんでした。
一方5月に入りビットコインなどの仮想通貨の価格が下がりビットコインが70万円代になることもありましたが、この5月に入ってからの下落原因の1つには韓国の確定申告がありました。韓国の確定申告は5月に行われるのですが、現状仮想通貨の取引で得た利益は非課税となっていました。
しかしG20によって7月までに国際的な課税に関するガイドラインが策定されることが決まったことによって、韓国でも来年には仮想通貨の取引による利益を課税対象にしようという流れが起きてきました。そしてその流れの影響を受けて課税対象になる前に売って税金分を利益に上乗せしようという動きが起きていることが、月末からビットコインなどの仮想通貨の価格が上昇を続けていることからでも分かります。
先行きが明るい2つの取引所の開始
一方NEMの流出事件によって取引を停止して後にマネックスグループに買収されたコインチェックは、経営陣を一新して新体制で6月頃から営業を再開する予定になっています。そしてコインチェックはマネーロンダリングなどに関する対策を行い、MoneroやDashそしてZcashといった匿名性の高い仮想通貨取引の廃止を発表しましたが、博打性が高い仮想通貨であるAugurの取引も6月18日に廃止することを発表しました。
このように犯罪資金のマネーロンダリングや日本では禁止されている博打などが行われる危険性の高い仮想通貨を排除して、より健全な仮想通貨取引所として再出発を図ることになっています。一方今年初旬に開業する予定であったSBIバーチャルカレンシーズですが、既に口座開設の先行予約を申し込んでいる顧客のうち、審査が終了している顧客に関して住所地確認通知葉書を送付していて、この葉書の受け取りを確認して口座開設通知書を発送すると6月1日に発表しています。
そしてこの住所地確認通知葉書が6月末迄に届かないなどあればカスタマーセンターに連絡するようにとも記載されていましたが、6月4日からVCTRADEという仮想通貨の現物取引を開始すると発表しました。具体的にはまずリップル(XRP)の取引から始めて、後にビットコイン(BTC)そしてビットコインキャッシュ(BTC)を順次取引開始する予定になっています。
そして出金時の手数料はかかりますが基本的に取引手数料は無料となり、営業時間は朝7時~翌日の朝6時迄となっています。
CMEの仮想通貨先物価格の推移
このように5月に入って下落を続けていた原因の1つといえる韓国の確定申告による売りがおさまり、下げる要因が1つ無くなりました。そしてコインチェックも経営体質の改善と取り扱う仮想通貨の健全性を確保して営業を再開することが決まりましたし、SBIバーチャルカレンシーズもやっと6月4日からVCTRADEによって仮想通貨の現物取引を始めたことなど、先行きの明るさを表す情報が入ってくるようになってきました。
一方CMEの仮想通貨先物価格も大きく下落を続けていました。CMEの仮想通貨先物価格はビットコインなどの実際の取引とは連動性はあまりないですし、先物の出来高自体も少ないため、同じ基準で先物を見ることは現状あまり意味がないともいえますが、Twitterなどの情報に振り回され易い仮想通貨取引の現状では先物が下がっているという情報が心理的なおもしになってしまう危険性もあります。
CMEの仮想通貨先物がビットコインの今後を占うカギになる
しかし、そのCMEの仮想通貨先物価格の下落が直近下値で安定してきていることから買いの安心感を生み易い状況になってきているといえ、その点で大きくマイナスな出来事が無い限りこれ以上の下落は無いといえます。そしてリップルなど好材料が続いて出ている仮想通貨を中心にしてビットコイン建てで買われてくることがあれば、好材料がある仮想通貨と共にビットコインも上昇していく可能性はあります。
特に心理的に影響を与える可能性のあるCMEの仮想通貨先物価格が上昇するかどうかが、今後のビットコインなどの仮想通貨の価格が上がるかどうかを判断する目安になるため、CMEの仮想通貨先物価格の動きを注目する必要があります。