仮想通貨投資を始めた初心者の中には、仮想通貨というものがどのように流通していて、海外の状況について知らない事が多いでしょう。それもそのはずで、2017年の仮想通貨バブルで一気に知名度も上がり、仮想通貨投資を始める人が増えたものの、一般的な生活レベルにまで仮想通貨が浸透しているとはいえません。例えばスーパーやコンビニで、仮想通貨決済が可能なお店はあるでしょうか。中には独自に取り入れている事例もあるかもしれませんが、2018年時点ではありません。
また、送金手段として魅力が語られますが、それでも一般の方達は法定通貨日本円を銀行やATMで送金操作を行います。これ自体は問題ではなく、国ごとの特徴と考えるのが正しいといえるでしょう。つまり、日本は経済大国であり、日本では現金主義の感覚が残っています。更に歴史的にも価値が重んじられるのは日本円ですし、一般的にこちらを使って生活するでしょう。しかし、今回紹介するBitPesaサービスが普及しているアフリカでは、日本とは違う価値観で仮想通貨を利用しています。そこでアフリカ発のサービス「BitPesa」について紹介していきます。
アフリカのフィンテック事情
日本ではフィンテックという言葉が、最近になってようやくテレビなどでも聞かれるようになりましたが、それでも一般的な生活でフィンテックを意識するようなサービスや出来事は少ないです。仮想通貨投資や仮想通貨を使った決済サービスなど、数年前と比較して普及も進んできていますが仮想通貨に関しては積極的に利用している人と、全く利用しない人に分かれているといえます。
また中にはフィンテックという言葉を知っているが、仮想通貨と同義と間違えて捉えている人もいます。しかし、フィンテックというのは仮想通貨という意味ではなく、金融とテクノロジーを合わせた新しいシステム・サービスのことを指します。ですので、フィンテックという大きなくくりの中に仮想通貨というジャンルがあると認識するのがよいでしょう。日本におけるフィンテックの活用事例と言えば、身近な所では電子タグでしょう。こちらも2025年の普及を目指して国を挙げて進めているプロジェクトの1つです。
話は戻りますが、アフリカのフィンテックに関する市場について見てみると、日本とは違う事情があります。それは、アフリカのケニア発の電話回線を使った、あるフィンテックサービスが普及しています。簡単に説明するとアフリカの電話回線USSDを使って、送金ができるサービスという日本とは違う概念で生まれたシステムが普及しています。また、このサービスの名前はM-PESAと呼ばれるのですが、後述で紹介するBitPesaと対抗していますが、ケニアの3人に1人が利用している有名なサービスになります。
なぜ、アフリカではこのようなサービスが普及するかと言いますが、電話の普及率は7割を超えているので一般的なツールといえるのですが、銀行口座の所有率が高くないので容易に送金できる環境ではない事情があります。従って、日本の多くの方が利用しているATMも、口座を開設していなければ操作できませんし、銀行口座がなければあらゆる金融サービスを利用することができません。このように国によってお金とサービスに関する事情が違うので、フィンテック技術が様々な形に変わって普及していくようになるのです。
アフリカ発の国際送金サービスBitPesa(ビットペサ)とは
フィンテック市場が拡大しているアフリカですが、2015年頃に新たなフィンテックサービスが誕生しました。それがBitPesa(ビットペサ)というサービスで、ビットコインを使った国際送金が可能になります。元々国際送金のコストというのは高いこと、アフリカでは銀行口座の保有率が高くない事からBitPesaのサービスはサービス当初から利用者が増加し様々な地域で利用されるほどに拡大しています。
また、BitPesaのサービスを始めた会社は、アフリカのケニアにあるElizabeth RossielloとDuncan Goldie-Scotという企業で最初はケニアのみで展開していました。そして前述でも説明しているように、2018年時点では、本拠地であるケニアと、コンゴ、ウガンダ、タンザニア、コンゴ共和稿、さらにイギリスと中国でもサービス展開している世界的にも注目されていることが分かります。
続いてBitPesaのサービス内容ですが、国際送金の際に使用する通貨がビットコインで処理されるので、送金元から送金先まで数10分で完了するスピーディで利便性がよいといえます。また、具体的な流れについてですが、まず送金元の通貨で送金処理を行います。そして、送金元が送金する相手は取引先ではなく、BitPesaのブローカー宛てに送金してブローカーは受け取った通貨をビットコインに換金したのちに、さらに送金先の法定通貨へと換金して送金処理を行います。これで、送金先は無事に受け取ることができるという仕組みです。
ちなみにですが、この時の手数料については、送金手数料が無料でビットコインから法定通貨へ換金金する際に金額の3%を手数料として支払う必要はあります。また、ポイントとなるのは、BitPesaを利用するためにBitPesaと提携しているブローカーへ送金を行うという点です。これによって、送金元は通貨をビットコインに換金する必要がなく面倒な手続きは、ブローカーに任せる事ができるので非常にメリットが大きいです。
また、もう1つの大きな特徴はビットコインレートが変動していたとしても、送金処理後は固定価格で行います。尚且つ、事前に価格を計算するので大きな価格変動が起きた際にもシステムが混乱しないように対策が取られている所も魅力と言えます。つまり、送金支払額が変動しないように考えられているということです。
BitPesa(ビットペサ)のサービス状況
アフリカ企業を中心とした150社以上が利用している大きなサービスとなっています。また、IT企業だけでなく料理店など様々な人たちが気軽にBitPesa(ビットペサ)を活用しており、一般社会への普及率が高いものとして考える事ができます。また、ケニア、コンゴ共和国、セネガル、イギリス、ナイジェリア、ウガンダ、タンザニア、中国などサービス展開している地域が広がりつつあり、注目すべきはアフリカ地域以外の国でも利用が始まっている点です。イギリスと中国がBitPesaのサービスにいち早く提携していることから、世界的にも認知されています。
BitPesa(ビットペサ)とビットコインの安全性
日本の仮想通貨非利用者からすると、国際送金に仮想通貨ビットコインを利用することに抵抗がある方もいるでしょう。しかし、前述で説明したようにサービスの安定化を図るために、ビットコインのレートが変動しても取引後は固定価格にしていますし、利用地域が拡大していることからも信用されているサービスといえます。また、ビットコインに使われているブロックチェーン技術は、データの改ざんが非常に厳しいですし2018年時点で比較的安定したレートで推移しています。
また、ビットコインに抵抗がある人にとってメリットとなっているのが、利用者はビットコインを保有する必要もないので、自分が使用している通貨のままで送金できますし手軽な送金手段として考える事ができます。あくまで、ビットコインを使って換金するのはブローカーの役目です。BitPesaは今後もサービス拡大を目指して運営を続けるでしょうし、この機会にBitPesaやアフリカのフィンテック事情について気になった方は、独自に調べてみるのもいいでしょう。