昨年の今頃はまだ『仮想通貨』というジャンルは、株式市場では存在していませんでした。
まだ仮想通貨がどこか『胡散臭いもの』としての認識されていました。しかし現在、仮想通貨は一つのジャンルとして確立しています。今ではSBIホールディングスやDMMなどの東証一部上場企業も仮想通貨業界への進出をしています。

一昨年東京とニューヨークに同時に上場をし、昨年東証一部上場へ上場を果たした日本では非常に著名なSNSサービスを提供している、LINEが仮想通貨業界への参入を発表し、仮想通貨を取り扱うLINEフィナンシャルの設立を今年の1月31日に発表しました。詳細は発表していませんが、メディア用のプレス文章では、ビットコインなどの通貨の販売と記載されています。

LINE(ライン)とは

仮想通貨LINE(ライン)の今後の展開LINE(ライン)は韓国NHN(現在ネイバー株式市場)傘下の日本法人NHN株式会社が開発した、アプリです。現在はチャットや通話だけではなく、ゲームや音楽など多くのサービスも無料で使用することができます。LINEが有名になったのは今ではごくごく一般的に利用されるようになった、『スタンプ』がきっかけです。スタンプは文字だけではなく、気持ちやメッセージをイラストであらわしたものです。さらにLINE Storeなどでスタンプなどを購入できるだけではなく、ローソンなど実店舗でスマホ画面を見せて商品を購入できるLINE Payもあります。

そして昨年LINEスマートスピーカーを販売したことでも非常に話題になりました。時価総額は約9,300億円で、Lineユーザー数は2億1,700万以上で主な使用上位国は、日本、台湾、タイ、インドネシアとなっています。アクティブユーザー数も1億6,700万人を超え、比較的年齢が高い人たちにもユーザー数が多いなど、ユーザーの裾野が広いことが特徴のアプリです。

LINE PayとLINE Payカード

LINE Payのユーザーは国内で3,000万以上といわれ、送金と決済、割り勘、出金、送金依頼の5つのサービスが使用できます。手数料は出金時に200円かかるだけでそれ以外では手数料がかからないようになっています。冒頭で紹介したローソン以外にもドラッグストアウェルネスやツルハ、LOFTやメガネスーパーなどで利用できます。さらにオンライン決済では、ZOZOTOWNやFOREVER21など10社で使用することが可能になっています。

次にLINE Payカードです。LINE Payカードは、基本的には支払いをするためのものでクレジットカード払いとLINE Payカード決済の両方を利用することができます。いずれもJCBカードとして支払うことができます。対応店舗は国内外の3,100万件のJCB加盟店だけではなく、セブに礼文などのコンビニや西友、Google playなどのアプリストアでも使用可能になっています。

LINE PayカードにはLINE Payとは違い別途申し込みが必要となりますが、LINE Payで支払いをした場合、金額の2%がLINEポイントとして貯まるようになっているので、支払いをするときはLINE Payカードを使用したほうが良いでしょう。

LINEフィナンシャルとICOの実施?

前述したように1月31日にLINEフィナンシャルの設立を発表しました。資本金は50億円で、LINEの社長である出澤剛氏が代表者を務めることになっています。サービスの開始時期は不明ですが、すでに金融庁への仮想通貨交換業の登録の申請をしています。ビットコインなどの通貨を販売と書いてあるだけなので、今後、どのようなアルトコインを取り扱っていくのか、というのは分かっていません。

ただ基本的に取り扱うと思われる仮想通貨の種類は、基本的には金融庁が公表しているホワイトリスト内の仮想通貨、ということになるでしょう。ホワイトリストというのはあくまでも通称で、金融庁に認可された仮想通貨交換業者が取り扱う仮想通貨をいいます。現在19種類の仮想通貨がホワイトリスト入りしています。

仮にLINEフィナンシャルとして仮想通貨交換業を行うとしたら、19種類の中から選出されるのは間違いないでしょう。取り扱いが予想されるのは、ビットコインキャッシュ、イーサリアムの2種類は本命でしょう。他にもリップルやライトコインなどが有力なのではないかと考えています。

さらにLINEは仮想通貨交換業だけではなくICO(initial Coin Offering)への参加へも意欲的です。ICOは企業が新しく新事業をおこすときに、資金調達として自社が発行するコインとビットコインなどの仮想通貨を交換し、換金することで資金調達をするという方法です。

しかしICO自体は主催者が逃げてしまったケースも多く、「ICOの9割が詐欺」とまで言われるほどです。よって中国や韓国、アメリカなどではICOを禁止または非常に厳しい規制を敷いています。ただICO自体禁止している国は多いようですが、日本に至っては数年後をめどにICO合法化への審議が始まっているようです。

仮にLINEがICOを実施するとするのならば、法整備が整ってからというのが有力でしょう。そのころまでには今のような「ICOの9割は詐欺」なんていう言葉が消えていることを願うばかりです。

LINE(ライン)の今後の展開

将来期待できる分野を前向きに検討している企業から生まれる仮想通貨「LINE」先月の中旬、LINE(ライン)はブロックチェーン技術を生かした新サービスを提供する子会社、Unblockを設立したことを発表しました。子会社設立の目的はブロックチェーン技術をLINEのサービスを合体させたサービスの開発を目的としているようです。

LINE は1月31日に発表の際、保険やローン事業なども手掛ける予定があると発表しています。そして3月7日にLINEウォレットについて発表し、すでにサービスは開始されています。このウォレットはLINE Payと機能的にはほぼ同じですが、LINE Payよりスムーズに送金や決済をすることができるように作られています。請求書のバーコードを読み取り請求書支払いをすることも可能で、現在東京電力エナジーパートナーの電気料金請求書をLINE Payで支払うことができます。

LINEが仮想通貨交換業へ進出明確にしていることから、今後LINEウォレットで仮想通貨決済が可能になる可能性はかなり高いでしょう。東南アジアの方の多くは日本とは違い、銀行口座をもっている人は少ないとされています。

なぜならば東南アジアでは銀行口座を作るのにお金がかかるのと、維持費にもお金がかかるからです。このようなことから、東南アジアではスマートフォンで決済することが日常的になりつつあります。よってLINEウォレットが銀行の代わりになる可能性もあります。そしてLINEは東南アジアでもユーザー数が多いので、LINEウォレットの使用率が飛躍的に伸びる可能性も非常に高いでしょう。

その他仮想通貨業界への進出、または前向きに考えている企業

先日金融庁によると100社以上が仮想通貨交換業者としての申請を希望しているという発表がありました。メルカリやグノシーなどすでに仮想通貨交換業者としての申請をしたことをIRとして発表したところも多いです。ここ数日で仮想通貨交換業への参入を発表した企業もいくつかありました。結果、株価が大きく上昇したところもありました。それだけ、仮想通貨という分野が将来期待できる分野だとみているのでしょう。いくつか紹介していきます。

・エイベックスグループ 5月24日Fintech事業への参入のため100%子会社「エンタメコイン」を6月に設立すると発表しました。資本金9億9,000万円でエンターテイメント関連事業者向けにブロックチェーン技術を用いた決済システムの提供を目指します。

・アイフリークモバイル  5月22日、仮想通貨関連事業への進出を事業目的に追加したことから、大幅に株価が増進しました。

・大和証券 産経新聞のインタビューで大和証券社長、中田誠社長はビジネスの機会があれば参入を検討するとの意向を示しました。