日本と同様に仮想通貨の人気が高い国がお隣の国、韓国です。韓国の三大取引所一つといわれているbithumbも仮想通貨の取引高ではトップクラスの取引所です。ただそんな韓国ですが、去年から今年にかけて仮想通貨への規制で大きく揺れました。
さらに今年の初めに起こったCoincheckのハッキング事件から始まった暴落によって、自殺者が続出するほどにまでなりました。日本でも仮想通貨の取引をしている人は多くいます。しかし自殺者が出るといったようの報道はありません。どうして韓国ではどうしてこんなにも、仮想通貨に熱狂的なのでしょうか。
韓国の代表的な取引所
冒頭でも書いた通り韓国には三大取引所といわれている取引所があります。もちろんそれ以外にもあるのですが、今回は韓国ではメジャーな3つの取引所を紹介していきます。
・bithumb(ビッサム) Coinhillsという全世界の仮想通貨の取引所の取引高を、ランクキングにしているサイトではbithumbは常にベスト10に入っている非常に知名度の高い取引所です。取り扱っているコインの数も日本の取引所とは段違いで多く、30種類前後を取り扱っているだけではなく、日本語でも対応可能となっています。なお、現在登録するとビッサムキャッシュというコインをもらえるようになっていますので、興味のある方は登録するのも良いではないでしょうか。
・Kobit(コービット) 韓国で最初にできた仮想通貨取引所です。セキュリティが安定していて、サーバーが他の取引所に比べて安定していわれています。Bithumbのように日本語での対応はしていないだけではなく、英語での対応もしていません。
・Coinone(コインワン) チャートシステムが非常に優れているといわれている取引所です。英語と韓国語に対応していますが日本語での対応はしていません。
韓国政府の仮想通貨への対応
先月就任した韓国金融庁監督院の院長は、記者会見で仮想通貨への対応は肯定的な立場をとることを記者会見で言っています。さらに今後仮想通貨に関連した商品をよりよく利用できるような、システムを作り上げると正式に表明していることから、今後韓国の政府による仮想通貨への新たな規制を敷かれる可能性というのはかなり低いでしょう。
昨年から中国と同様に韓国ではICOが違法化されました。そして仮想通貨をめぐる大規模な詐欺事件などが起こったことによって2017年韓国では、以下3つの規制が設けられました。
・未成年の仮想通貨取引禁止
・新規仮想通貨公開の禁止
・外国人の韓国国内仮想通貨取引禁止
さらに2018年度には、実名制システムの導入が発表されました。このことによって匿名口座で仮想通貨取引に使用することが禁止になりました。さらに金融監督院による仮想通貨のインサイダー取引を受け、韓国公務員の仮想通貨禁止の制定で仮想通貨に関する規制が敷かれてしまいました。
さらに先のインサイダー事件を受け、法務部のパク・サンギ長官が取引所の閉鎖を含めた規制案を検討していると発言したことによるビットコインの価格は-10%以上価格を下げてしまいました。とうとう国民も黙っていることができなくなってしまいました。特に声を上げたのが2030世代といわれる若い人たちです。どうして2030世代といわれる若い人たちが声を上げたかというのは、後述します。
2030世代の若い人たちは、法案に対する怒りを破壊した部屋や家具などの写真を、SNS上にアップすることで、自分たちの怒りを表現するようになりました。さらに国内における仮想通貨取引規制法案の反対に20万人以上が賛同し、政府要人が方針を検討した上で返答を用意しなければならないという「国民請願」を発議させてしまいます。この韓国における20万人以上というのは、人口比でいうと日本の場合50万人以上のことを示します。
その結果、政府が仮想通貨に対し強引に規制を敷くということはできなくなりました。逆に政府は規制を強くしていくのではなく、仮想通貨市場を健全なものにしていくのと、ブロックチェーンの発展を支援していくという方針に変化していきました。
さらに科学技術情報通信部と金融委員会の監督を受けるという、条件付きの元ICOを合法化する法案を提出しました。このように以前の韓国政府は仮想通貨に対して規制を強くする一方でした。しかし「国民請願」後は方針転換をして、仮想通貨やブロックチェーンを少しずつ推進していく方向へと向かっています。
韓国国民が仮想通貨へ熱狂的な理由
現在韓国の大統領である文在寅(ムンジェイン)政権の支持率は、非常に高く支持率80%近くを記録しているようです。しかし経済的には失業率が上昇し、若者の4人に1人は無力だといわれています。昨年大規模な雇用対策を行ったにもかかわらず、9.9%と過去最悪の失業率を記録してしまいました。日本の企業へ就職を希望している韓国の大学生も非常に多くなってきているようです。
少し話はそれてしまいましたが、韓国で仮想通貨取引を行っている人の多くは『2030世代』と呼ばれている世代だといわれています。2030世代は奨学金や学費に悩む大学生のような若い人たちが多く、仮想通貨取引を行っている全体の6割は2030世代の若者です。ただでさえ失業率の高い韓国で仮想通貨は、先行きの見えない人生に「一縷の望み」を託した手段の一つだったようです。
2030世代が仮想通貨に熱狂的になのは、文在寅が若い2030世代にとってあまりに頼りにならない大統領だったということを、暗に意味しているのではないでしょうか。
仮想通貨への各国の対応
韓国以外の国の仮想通貨への対応はどうなっているのでしょうか。日本や中国、それだけではなく、今後仮想通貨市場に強い影響を及ぼす可能性のある国について調べてみました。
・日本 昨年4月仮想通貨交換業を登録制にし、仮想通貨に対するかかる消費税を廃止しました。さらに今年4月にICOを合法化するためのガイドラインを提唱。このことによって、数年後にICOは証券とみなされることによって、日本でもICOが盛んになる可能性が高くなります。ただ日本の場合は各国と比べて税率が異常に高いだけではなく、扱うことができる仮想通貨もまだまだ少ないなど問題点も山積みになっています。
・アメリカ 全体的に仮想通貨に対しては好意的ですが州によって憲法などが制定されているので、仮想通貨に対し厳しい州もあれば緩い州があります。ICOに関してはこれからも規制が強化される見込みです。最近では、仮想通貨に対して厳しいとされるニューヨーク州が匿名通貨であるZcashのトレーディングを許可したことも話題になりました。
・中国 中国政府はこれからも仮想通貨に対し規制を強化すると予測されています。当然ICOによる規制緩和の可能性もかなり低いでしょう。しかし中国政府は仮想通貨の規制は強化するものの、ブロックチェーンに対しては推進するという発言をしています。
・シンガポール 元々シンガポールは仮想通貨に対しては寛容な国で、規制のようなものはありません。ただ、仮想通貨への投資に関して、価格変動が激しいことを警告を発しています。これから突如規制に乗り出すということは考えにくいでしょう。
近々に起こった韓国国内の仮想通貨関連のニュース
最後にここ数カ月以内で、韓国国内で起こった仮想通貨に関連するニュースでも特に注目のものをまとめていきます。マイナスのニュースが多いですが、できる限りプラスのニュースをまとめていきます。
・韓国ソウル市がSコインを発行予定 朴ウォンソー市長はインタビューの中で、社会福祉プログラムに使用されるSコインという独自の暗号通貨を開発していると発言しました。
・韓国最大手の取引所bithumbでNEMとAeternityが上場 世界でも屈指の取引高を誇る取引所、bithumbにNEMとAeternityが上場しました。上場したことでNEMの価格とAeternityの価格は一時的ですが上昇しました。