仮想通貨市場に大きな影響を及ぼす国として、中国や日本、韓国、インド、アメリカなど人口が多い国や経済発展している国々があげられます。日本の南に目を向けてみますと、フィリピンやタイ、インドネシアなどの東南アジアがあります。これらの地域はASEAN(東南アジア諸国連合)とも呼ばれ著しい経済発展をしています。このASEANの中でもここ数年で最も経済発展をしているのがフィリピンです。日本にいるとフィリピンの仮想通貨事情がどのようなものか聞こえてきません。今フィリピンの仮想通貨事情はどうなっているのでしょうか。それと今後どのような方向に進むのでしょうか。
フィリピンという国は?
フィリピンは大小7,100以上の島々からなる国で、正式国名を『フィリピン共和国』といいます。日本との結びつきは強く、世界でも有数の親日国として有名で、日本はフィリピンを「戦略的パートナー」として位置付けています。フィリピンの人口は1億人と日本とあまり大差はありません。しかし平均年齢が24歳と非常に若く、GDPも2009年1,685億ドルから2016年で3,43億ドルと2倍近く上昇していることから、今後非常に経済発展が見込まれている国の一つです。
現在の大統領は過激な発言で常に話題をつくっているドゥテルテ大統領です。独裁者と言われている大統領ですが、非常に親日の大統領としても有名です。
フィリピン政府による仮想通貨への対応
フィリピン政府が仮想通貨に対し規制または警告をはじめたのは、2014年に仮想通貨の安全性の問題の警告から端を発しています。2016年6月に事業者への規制の強化に着手します。理由は大規模なマルウェアを使用した不正送金詐欺が発生したからです。そして2017年2月6日、交換業者に対し新しい規制が敷かれました。交換所はサービスを行うにあたって「登録証」の申請が必要なこと、マネーロンダリング防止協会事務局にも登録しないといけないこと、取引所には登録料と年間の手数料がかかるとのことでした。
さらに今年に入って日本のCoincheckのハッキングを受け、投資家保護という名目で投資家を保護し、詐欺コインからの被害を軽減するために仮想通貨取引の抑制を決めました。交換所の経営に必要な登録証がない交換業者を捜査したようです。このようにフィリピンは一度大きな不正送金詐欺にあったということから仮想通貨に対してはかなり厳しい態度をとっていました。
しかし4月27日フィリピン政府は北部にあるカガヤン州の経済特区で日系企業を含む仮想通貨事業10社に対し営業認可する予定だということを発表しました。カガヤン経済特区はアジアのシリコンバレーを目指し、フィンテック産業の確立をめざしていくだけではなく、ブロックチェーンやフィンテックの大学の開校も検討しているようです。
日本の取引所も参入することが決まっています。現在みなし業者である「みんなのビットコイン」を運営しているトレイダーズホールディングス、仮想通貨取引所として金融庁の認可を受けている「QUOINE」です。「QUOINE」は昨年からフィリピンで取引所を開始することを発表していました。少しずつですがフィリピンでも規制緩和の動きが出始めています。日本はすでに仮想通貨に関してはかなり「後進国」などといわれていますがこれを機に日本でも規制緩和へ動いてもらいたいものです。そして日本にはどういうわけか、フィリピンと関係している? 仮想通貨がいくつかあります。ICOとして販売されているものもありますので紹介していきます。
NOAH(ノア)コイン
2017年駐日フィリピン大使館公式ページが、ノアプロジェクトにフィリピン政府及び中央銀行は一切関係ないと発表しただけではなく、登録している住所に会社が存在していなかったとことが明るみになりました。さらに提携をしていたはずの企業もノアコインプロジェクトとは一切関係ないことが判明してしまい、返金騒動にもなったのはマスコミでも取り上げられたので、覚えている方も多いでしょう。
そのNOAH(ノア)コインですが現在、多くの取引所へ上場を果たしているだけではなく、東証二部上場企業を買収するなどかなり活発に動いています。NOAHコインが詐欺コインか否かは意見が真っ二つに分かれるようですが、実際どのような仮想通貨なのでしょうか。
・フィリピンの社会問題を解決 フィリピンには多くの出稼ぎ労働者がいます。フィリピンから出稼ぎで海外へ行っている人のことをOFWといい、約1,000万人といわれています。OFWが稼いだ外貨は国際送金によってフィリピンに送金されますが、国際送金は非常に高額で年間3,500億円もの手数料としてとられ、社会問題化しています。この高額な手数料を解決しようとしているのが、NOAHコインです。
・保有量に応じて20%の配当(第一期) おそらくNOAHコインへ投資をしている多くの方がこの20%の配当を期待していることでしょう。さらに以後40年間復配で配当が得られるようになっています。配当はて毎日入金されるとのことです。
さらに現在分かっているだけでも、NOAHコインが基軸通貨になる取引所の開設が決定されていること、公共料金をNOAHコインで支払うことができるようになるなど、多くのことが予定されています。ただTwitterは別として多くの人はNOAHコインを推薦している人は多くなかったので、購入の際は注意が必要です。
PGC(フィリピングローバルコイン)
フィリピン大統領の弟エマニュエル・ドゥテルテ氏が関わっているだけではなく、現地の新聞にも掲載された仮想通貨が、PGC(フィリピングローバルコイン)です。非常に残念なことに2018年5月1日PGCを発行するJ-PGCの奥野高徳(おくのたかのり)取締役が、一昨年東京港区で男性2人が暴行され、現金を奪われた事件で奥野高徳取締役が実行犯に暴行の指示をしたという疑いで、逮捕されてしまいました。
J-PGCの代表にはフィリピン大統領の弟であるエマニュエル・ドゥテルテ氏が就任していることから、今後の大統領選への影響があるのではないかという懸念があります。PGCは今後、韓国の取引所へと上場の予定があるようです。ではPGCというコインがどのような特徴をもっているかを書いていきます。
・フィリピンの出稼ぎ労働者問題(OFW)の解決 フィリピンの出稼ぎ労働者問題(OFW)。どこかで聞いた問題だと思いませんか? そう! ターゲット層がNOAHコインと全く同じなのです。PGCもNOAHコインと同様、フィリピンの社会問題である国際送金の問題を解決するというのを目標にしています。
・マイクロファイナンスの導入予定 マイクロファイナンスとは貧しい人たちに向けた小口融資のことをいいます。経済発展著しいフィリピンですが、貧しい人たちはかなり多いことが分かっています。このような人たちが突如お金に困ったときに融資を受けられるようにする予定しています。
・配当がある これもNOAHコイン一緒です。30万PGCで月利1%ほどのようです。
PGCに関しては取締役が暴行事件を起こした張本人ということもあってか、やはりいい印象をもっている人が少なく、今後期待は難しいでしょう。
MAXBOX(MBX)
フィリピン政府最高ランクであるAランクの認可を得て開設予定である取引所のトークンがMAXBOXです。取引所トークンは多くの取引所が発行していますが、Binanceを皮切りに多くが上昇しています。さらにフィリピン初の国家公認仮想通貨取引所ということもあり、話題になっています。
・発行枚数が少ない上に全体の68%をロックアップ!! MBXの総発行枚数は1億枚と決められています。この量ははっきり言ってかなり少ないです。さらに全体の68%の6800万枚をロックアップ(ある期間まで売ることはない)つまり、市場に出回るのはたった3,200万枚ということになります。3,200万枚というのは、ビットコインほど少なくはありませんが、Ethereumの約3分の1の量という少なさです。ただ、Binanceトークンと違い手数料割引などのサービスは今のところないようです。
現在取引所トークンは軒並み上昇をしているので、買ってみるのは全く問題ないでしょう。ただICOなので、100%上がるという保証はありませんので、自分の資産と相談のうえで購入するかどうかを考えてみると良いでしょう。