仮想通貨が発行された当初は、世界共通の通貨として送金や決済に使用されることを想定していました。しかし、様々な改良や新たに通貨が発行されるにつれて、徐々にその概念が変わってきました。例えば、2017年の仮想通貨市場は、国内に限ってみた場合あくまで投資対象としての利用を前提として購入されていました。つまり、株やFX同様に仮想通貨売買で資産を築くことを目的とした投資家が多く、結果的に需給関係でボラティリティが大きく変動する市場となりました。
ですから、いわゆる仮想通貨バブルというのも起きて、初心者でも比較的収益を出しやすい右肩上げりの相場になりました。しかし、2018年に入り仮想通貨に対する考え方が変わり始めており、仮想通貨を何らかのシステムのプラットフォームとして活用することを主目的とする事例が増えてきました。そこで、仮想通貨が新たなアプリケーションのプラットフォームとして活用されている分野の1つ、ゲームシステムとの連携やゲームをテーマにした仮想通貨について紹介していきます。
仮想通貨は通貨としての機能だけではない
仮想通貨とゲームとの関係性について知る為には、仮想通貨の定義や機能について知る必要があります。特に仮想通貨投資初心者の方は、仮想通貨を投資対象としてイメージしやすい反面それ以外の機能や価値については分かりにくく感じるかと思います。
まず国内の仮想通貨に対する定義についてですが、2017年4月1日に施行された改正資金決済法により、「貨幣」として定められています。従って仮想通貨=貨幣としての取り扱われ方をするので、消費税非課税ですし仮想通貨投資に掛かる利益には所得税の申告が必要となります。
このように、仮想通貨というのは「貨幣」として定義され、モノやサービスの決済・送金手段・法定通貨との交換など、お金としての役割も果たすことができます。仮想通貨初心者の方で、仮想通貨の役割が分からない方は、まずお金・貨幣として国内では定義されていて決済などに利用可能な事を覚えましょう。
国内では仮想通貨を「貨幣」と定義しており、決済手段などお金として使うことができますがそれ以外の役割・機能も果たすことができます。それが、ツールやソフトのシステムとして活用されるパターンです。多くの仮想通貨初心者はここで理解が難しくなると思いますが、概念が分かれば難しいことはありません。
後述でも紹介するゲームとの連携も、ツールやソフトのシステムとして活用される事例に当てはまります。そもそも仮想通貨を構成するシステムの1つ、ブロックチェーン技術は通貨としての機能以外にも様々な場面で活用出来る拡張性の高いシステムなのです。従って、仮想通貨の「貨幣」としての機能を果たすことは勿論、ゲームなどのシステムとしての役割も果たすことが可能なのでゲーム内通貨を仮想通貨にすることや、ゲーム内取引をブロックチェーンネットワークで構築することもできます。
このように貨幣としての役割ではなく、アプリケーションなどのシステムとして運用されるパターンも最近増えており、特にゲームと連携されることが多くゲームユーザーも注目しています。
近年仮想通貨とゲームの連携が増えている
仮想通貨は「貨幣」としてだけではなく、あらゆるシステムとして活用されたり、ゲームと連携されたり様々な活用方法が試されています。そして、2018年に入り特に仮想通貨ゲームというのが、続々とリリースされており企業もそちらに力を入れる傾向が強くなっています。
1つ目の連携方法は、ゲーム内通貨を仮想通貨に置き換える方法です。オフラインゲーム=家庭用ハードなどのゲームは、基本的にソロプレイもしくはローカルエリアでのプレイになるのでゲーム内通貨を何かに換金する手段は難しかったです。また、オンラインゲームの場合は法定通貨で一定のゲーム内通貨を購入、ゲーム内でアイテム購入する際にゲーム内通貨を経由して法定通貨で支払う事例もあり、ある程度法定通貨との連携もされていました。しかし、ゲーム内通貨であることには変わりないので、ゲーム内通貨で実際のモノやサービスを購入することはできませんでした。
しかし、仮想通貨を活用したゲームでは、ゲーム内通貨を全て仮想通貨で売買できるようにするのでゲーム内で仮想通貨を増やせば、その仮想通貨から法定通貨へと換金することが可能となり実際の利益となります。ですので、ゲーム内の架空の通貨が仮想通貨に変わる事で、実際に価値のあるものへと変化しますし、ユーザーにとっては資産としてのメリットがあります。
2つ目は、ゲームアプリのプラットフォームとして開発された仮想通貨です。つまり、仮想通貨のブロックチェーン技術をゲームの基盤として開発し、ゲーム内データの管理やシステム管理をブロックチェーン上で管理・運営するという役割を果たすようにしています。こちらの場合は、ユーザー側にとって目に見えた違いや特徴などは現れにくいですが、データの改ざんを防いだりゲーム内の経験値報酬が仮想通貨になったりと、メリットもいくつかあります。
仮想通貨を活用したゲーム
続いては仮想通貨を活用したゲームについて、いくつか紹介していきます。2018年6月時点で仮想通貨を活用したゲームは、多数リリース・開発されていますがその中でも特に活用されている通貨といえばイーサリアムです。イーサリアムにはスマートコントラクト機能があるので、自動契約など様々な追加プログラムを実装できますし、DAppsと連携させて安全性を高めることも可能となっています。
イーサリアムを活用したゲーム1つ目はCRYPTONINJAという、国産のゲームです。開発元は名古屋のソフトウェア開発企業「エバーシステム株式会社」で、ゲーム内容はERC721規格で構成されたデータをお城や忍者として用いたタワーディフェンスとなっています。6月にリリースされるという公式発表で、事前登録者数も1,300人を超えており期待の仮想通貨ゲームといえます。
2つ目は、KryptoWarという戦争ゲームになります。こちらもイーサリアムを活用したゲームで、ゲーム内通貨もイーサリアムで統一されています。武器や軍隊をイーサリアムで購入・強化していき、他プレイヤーが構築した軍隊と戦うシミュレーションゲームになっています。イーサリアムを利用できる環境にあることと、MetaMaskを事前に準備する必要があるので初心者の方には、ゲームを利用する為の環境構築で悩む場合もあります。
ゲームを主軸にした仮想通貨
仮想通貨とゲームの連携は、ゲームシステムの基盤として利用されているだけではありません。仮想通貨ゲームクレジットという通貨も発行されており、発行年も2014年と黎明期に開発されていることで先見があったといえます。ゲーム専用仮想通貨として開発されており、ゲームクレジットを導入したゲームであれば共通通貨として利用することができる特徴があります。
また、国内で有名なゲームにも、ゲームクレジットが採用されているので、今後益々ゲーム専用仮想通貨として期待されています。メリットについてですが、ゲームクレジットを利用してアイテムなどを購入していたとして、そのゲームが終了してもゲームクレジットを他のゲームへ移動したり、ウォレットに戻したりと資産を失わずに済みます。ですから、ユーザーにとって安心して使用できる仮想通貨といえるでしょう。
また、市場に流通しているので価値が高まれば、ゲームクレジットの価格は上昇し資産を増やすこともできますので、従来のゲーム内通貨とは違って資産価値が付くようになりました。仮想通貨ゲームや、ゲームに活用されている仮想通貨に興味関心がある方は、この機会に調べてみるといいでしょう。ゲームを楽しみながら資産も増やすことができるという、新しい仮想通貨の利用方法を試すことができますよ。