仮想通貨投資を最近始めた初心者の方達は、主に国内の仮想通貨取引所で口座開設・取引を始めるかと思います。国内の取引所で取り扱っている仮想通貨というと、ビットコイン・イーサリアム・リップル・ネムなどが主要な通貨といえ、知名度も高いので初心者の方も比較的安心して取引できるでしょう。そして、仮想通貨投資を進めていると疑問に感じるであろう部分が、それぞれの通貨に独自で付けられた名称のプロジェクトがあります。今回紹介する仮想通貨ネムも、同様に「カタパルト」と呼ばれるプロジェクト進行しています。

仮想通貨業界の特徴でもあるのが、このような独自の名称を付けられたプロジェクトで、初心者の方から見ると非常に理解するのが難しく感じます。ですが、仮想通貨投資を覚えていく上で、前述のようなプロジェクト・アップデートについては基本だけでも知っておく必要があります。そこで、今回は仮想通貨ネムユーザーや、これからネムで取引する方向けにネムの概要や特徴、カタパルト実装に関して紹介していきますよ。

仮想通貨ネムとは

仮想通貨ネムは、2015年3月31日に公開された通貨で、通貨単位はXEMとなります。通貨発行上限枚数は、8,999,999,999XEMとビットコインよりも多いことが分かります。ネムを取り扱っている国内の取引所は、ザイフとDMMビットコインとなっており、ビットフライヤーなどでは取り扱っていません。

ネムが開発された目的というのは、通貨としての機能を利用してもらう事だけでなく、ネムを中心とした新しい経済圏を作ることとされています。ただ、ネムの機能はトークン発行や取引機能など、他の仮想通貨でも可能なことが多いですが、Polと呼ばれる独自の取引承認方式が採用されています。このPolは、前述の開発目的の経済圏を作るという理念に沿っており、PoSを改良したシステムになっています。

PoSは、通貨を保有している程取引承認の権利を得やすくなるという、特徴がありますが保有することを目的とするユーザーが増えると通貨の流動性が低下し、経済圏を作ることができないという課題がありました。そこで、ネムではPoSを改良したPolを開発し、通貨の保有量と「重要度」を承認権の指標にしました。

この重要度というのは、取引の活発さを指標にしたシステムで、より大きなコミュニティで活発な取引をしている人の方が重要度も高まり、承認権を得やすくなります。つまり、取引を行わなくては、取引承認権を得る事ができなくなったので、自然と通貨の流通性が高まるという事です。

仮想通貨ネムの特徴

続いては仮想通貨ネムの主な特徴を簡単に説明していきます。

1つ目の特徴はPolという独自の取引承認方式と承認作業です。前述でも解説したようにPoSを仮想通貨ネムの為に、独自に修正・改良したものがPolという承認方式です。PoSは通貨の保有量に応じて取引承認権を得られるか決められて、保有量が多い程承認権を得られやすくなる=報酬を受け取ることができます。

しかし、この方法では通貨の保有を優先させることで、流動性が低下するリスクもありました。そこで、Polではネムの保有量と取引の活発さ=「重要度」で、承認権の得られやすさが決められるようになりました。また、少人数のグループで無意味な取引を繰り返しても、重要度の値が高まることはないように設計されています。ですので、正当な取引のみを重要度の指標に入れているということになります。

そして、承認作業についてですが、仮想通貨ネムの承認作業にはハーベストと呼ばれる作業があり、ハーベストには2つの作業方法があります。1つ目は、ローカルハーベストという作業です。こちらは、自身が保有しているネムを、ネム公式ウォレットに保管しておくことが条件で1分に1回承認作業が行われます。そして、承認作業が行われると、取引手数料が報酬として受け取ることができます。

2つ目の方法が、デリゲートハーベストと呼ばれる承認作業です。スーパーノードへハーベストを任せて、スーパーノードで行われているハーベスト報酬の一部を受け取ることができる仕組みになっています。

ネムとmijinの関係性とカタパルト実装とは

価格上昇も期待できる仮想通貨ネムとカタパルト実装について徹底解説次はカタパルトを中心に紹介していくのですが、カタパルトを知る為にはmijinについても知っておく必要があります。まずmijinというのは、仮想通貨ネムの開発者とテックビューロ社が共同開発している、ブロックチェーンの名称でネムと連動可能な仕様として知られています。

ブロックチェーンmjinの特徴はいくつかあり、1つ目は複数のアセット管理が可能という点です。ビットコインなどメジャーな仮想通貨でも、ゲーム内通貨などの管理が1つしかできないタイプですが、mijinは複数のアセットを同時に管理できる優れた機能があります。

2つ目は、スマートコントラクト機能が実装されていることです。契約機能といえば、イーサリアムのスマートコントラクト機能がありますが、mijinにもスマートコントラクト機能が実装されている為字度契約などのプラットフォームとして活用出来ます。これからスマートコントラクト機能を使って、何か新しいシステムを構築しようと検討している方にはおすすめでしょう。

3つ目は、様々な情報管理を柔軟に行えるよう、管理システムとしても特化させています。例えば社内データなどの、セキュリティ上、慎重に扱わなくてはいけないデータも取り扱うことができます。なぜなら、ブロックチェーン自体の改ざんなどができないよう、設計されていますしプライベートブロックチェーンなので外部と切り離すことができます。

続いてカタパルトについてですが、これは仮想通貨ネムの大規模なアップデート名になります。従って、カタパルト=アップデートが行われるとネムの価値が上昇し、市場に好影響なのではないかといった推測がされています。

mijinにはカタパルト実装済み

カタパルト実装はネムが目的なのですが、システムが連動しているmijinへ2018年5月14日に実装されました。

カタパルトを実装することによって何が変わるのかと言いますと、まず取引処理のスピードが速くなります。具体的には、NoSQLと呼ばれるデータベース管理関連のシステムを導入し、1秒間に4,000回という処理速度を実現しました。ちなみに、送金処理に定評があるリップルは、1秒間に1,000回ですので、カタパルト実装後の処理がいかに速いか分かるでしょう。

次の特徴は、マルチレベルマルチシグという、マルチシグを改良したシステムも導入します。内容は、従来のマルチシグの多数決による署名を発展させ、署名賛成Aの更に賛成署名も求めるシステムになっており、セキュリティ強化に繋がります。

続いての特徴は、アグリゲートトランザクションと呼ばれる機能です。こちらも従来の機能を改良・発展させたシステムで、トランザクションの独自改良版と呼べるでしょう。アグリゲートトランザクションの大きな特徴は、1つの取引に関連する処理を自動で結び付けて同時に実行できるという点です。

例えば、Aがお客さん、Cがお店側、BはAとCと無関係のユーザーだとします。Aはネムで支払いを済ませたいと考えているのですが、Cはイーサリアムで決済を希望していた場合、どちらかが換金処理を行ってから支払い・受け取り処理しなくてはいけません。そして、そこにBというユーザーを処理に組み込みます。Bはネムとイーサリアムで取引をしたいと考えており、要求をしていたのでA・B・Cの処理を組み合わせて取引処理を実行します。

これが、アグリゲートトランザクションの1例で、これが実行されるとAとCは換金処理をしなくとも取引が成立し、Bは希望通りイーサリアムとネムの取引ができるということです。つまり、無関係の取引処理も組み合わせることで、効率化をはかることができます。

仮想通貨ネムにもカタパルト実装は予定されていますが、2018年以降予定と公式発表があったので、ネムユーザーの方はしばらく待つようになります。また、ネムにカタパルトが実装されれば、価格上昇も期待できるでしょう。