2018年から仮想通貨投資を始めた方は、比較的新しく発行された通貨やトークンに興味関心があるでしょう。特にバイナンスなど海外の仮想通貨取引所では、100種類以上のアルトコインが上場しており仮想通貨投資初心者にとっては、豊富な種類から選ぶことができて目移りする状況でしょう。また、イーサリアムなどのメジャー仮想通貨に目を向けてみると、様々な企業との連携も始まっておりイーサリアムプラットフォームを使った、新プロジェクトやゲームアプリの開発など今後の進展に注目といえます。
ただ、仮想通貨投資初心者の中には、2018年に発行された新興の仮想通貨に注目するあまり、2018年以前に上場された仮想通貨と当時の背景について知らないことが多いのではないでしょうか。新しい仮想通貨に興味・関心を抱くことは良いことですが、更にこれまでの仮想通貨市場についても知っておくことでより深く仮想通貨投資について考察できます。
そこで今回は、2017年に上場されて当時様々な側面から注目されていたADAコインと、その発案者であるチャールズ・ホスキンソン氏について紹介していきます。
ADAコインとは
仮想通貨ADAコイン(エイダコイン)は2017年10月に公開された通貨で、通貨単位はADAです。通貨発行上限枚数は、25,927,070,538 ADAと、ビットコインの発行枚数より多い状態となっています。取引承認方式はOuroborosという独自のシステムを開発していますが、PoS方式に近いのでウォレットにADAコインを保管しておくと報酬が貰えます。
発案者は、チャールズ・ホスキンソン氏で、この方はイーサリアムの創設にも関わっておりブロックチェーン技術の研究・開発を行っています。また、開発プロジェクトのことをカルダノプロジェクトと呼びますが、3つの企業・財団がそれぞれ役割を担って開発に携わっています。
1つ目は、カルダノ財団という団体です。カルダノプロジェクトの中心に位置しており、開発・宣伝という役割ではなくパートナーシップ、つまりADAコインを様々な企業・個人と連携してもらえるようコミュニティの中心として広める活動を行っています。
2つ目は、IOHKと呼ばれる企業で、こちらにチャールズ・ホスキンソン氏も所属しています。事業内容はADAコインの開発事業を行っており、ブロックチェーン技術や新たなシステムであるOuroborosという取引承認方式も開発しました。技術部門と呼べる企業でしょう。3つ目は、Emurgoという企業で、主に広報宣伝活動を中心事業としています。
ADAコインの取引所
続いて、取り扱っている取引所についてですが、2018年6月時点で国内の仮想通貨取引所では取り扱ってはいませんが、いくつかの海外の仮想通貨取引所で取り扱っています。また、海外の仮想通貨取引所というのは、日本ユーザーでも知っている所でバイナンス取引所や、ビットレックス取引所が有名です。特にバイナンス取引所は、口座開設から入金までスピーディに手続きできるので使いやすくBNBコインとの連携サービスも魅力です。
ADAコインの開発目的についてですが、元々はオンラインカジノのプラットフォームとして開発された仮想通貨として考えられていました。オンラインカジノ自体は、仮想通貨が発行される前に存在したサービスですが、中央管理者=胴元が必ずいるので場合によっては不正にカジノゲームの調整や、胴元に有利になる設定を行う事もありました。また、このような事になる可能性が高いことから、プレイヤーが負けるように予め設定されたカジノになるので、アンフェアな状態になりやすい問題がありました。
そこでチャールズ・ホスキンソン氏はADAコインを使って、非中央集権方式のオンラインカジノを構築し、プレイヤー全員がフェアな状態でカジノを楽しめるようにと考え、ADAコインの開発が進められてきました。しかし、開発が進むにつれて開発理念や目的は、徐々に軌道修正されることになります。その大きな修正点というのが、オンラインカジノのプラットフォームから、様々な場面で利用できるよう機能を拡大させることです。ですので、2018年6月時点の公式サイトでは、オンラインカジノのプラットフォームという目的に関する紹介文が修正されています。
ADAコインの特徴
ADAコインの特徴は、まず5つのロードマップが作成されたことです。そのロードマップというのが、
・Byron
・Shelley
・Goguen
・Basho
・Voltaire
という名称のプロジェクトになります。
最初のByronとは、いわゆる設計・企画の段階のことでADAコインのウォレット・機能についての具体的な設計をこの段階で決めます。
2つ目のShelleyは、Byronを基に設計されたシステムの中でも、特にウォレット関係を実装させていく内容になります。例えば、独自の取引承認方式であるOuroborosの機能面に関する拡張作業やペーパーウォレットの作成、ハードウェアウォレットのレジャーナノSとの連携などです。
3つ目のGoguenは、ADAコインの新たな開発目的であるオンラインカジノに限らず、様々な機能拡張を目指す為の実装プロジェクトが主な内容となります。例えば、最近仮想通貨市場でも注目されている、サイドチェーンの実装や、スマートコントラクト導入などが予定されています。
4つ目のBashoは、詳細について公開されていませんが、主にシステムの安全性に関する開発を行う段階として計画されています。そして最後のVoltaireも詳細について公開されていませんが、財務モデルに焦点を当てたシステム開発を予定しています。
次の特徴は、法定通貨では用いられているクレジットカード機能と同様の、カルダノデビットカードの発行が検討されています。具体的な内容は、カルダノデビットカードを使用してADAコインによる決済機能が実装されます。ですので、将来的にカルダノデビットカードの利用可能な店舗などが、増えてくれば必然的にADAコインの普及にも繋がるでしょう。
ADAコイン発案者のチャールズ・ホスキンソン氏
ADAコインを知る上で欠かすことのできない点が、発案者であり技術者でもるチャールズ・ホスキンソン氏の理念についてです。チャールズ・ホスキンソン氏は、仮想通貨業界初期から市場を見つめてきた方で、近年の仮想市場の課題について警鐘を鳴らしています。
それは本来の開発目的でもある、世界中の経済格差やあらゆる問題を解消する為に生まれた仮想通貨という点が、様々なビジネスマン達の参入によって変わってきていることです。つまり、当時仮想通貨を開発するチームの多くは、仮想通貨によってあらゆる問題を解決させるという目的を持って開発していましたが、近年では投資家から資金を回収することを主目的とした開発チームも増えてきているという趣旨です。
そこで、チャールズ・ホスキンソン氏は、ADAコインの開発を進める上で世界中の利用者にとって決済手段として用いられてほしいという考えを持っています。また、現在の仮想通貨は取引所で法定通貨と交換して、仮想通貨非対応の店舗で決済するなど一部手間の掛かる作業が課題となっています。この部分についても、チャールズ・ホスキンソン氏は改善しようと考えており、ADAコインを交換せずそのまま決済に使用できるような仕様も考えています。
今後ADAコインの購入を検討している方は、ADAコインの開発状況や技術的優位性に注目するだけでなく、チャールズ・ホスキンソン氏の発言や公の場での発表などにも注目して投資を考えることが大切です。