「DateCoin(デートコイン/単位:DTC)」はロシア発の仮想通貨で、2018年3月30日から5月30日までICOトークンセールが実施されました。ICOの目的は、ブロックチェーンを利用して、次世代のグローバルな出会い系サービス「Denim(デニーム)」のシステム、ビジネスをさらにグレードアップしていくことです。
ブロックチェーンで出会い系サービスを刷新
DateCoin(デートコイン)は2018年5月30日にICOトークンセールが終了しました。6月1日には海外の仮想通貨取引所に上場しています。
DateCoin(デートコイン)と書いて「デートコイン」と読みます。Dateとは、恋人同士が直接会って、映画を見たり食事をしたりするあの「デート」のことです。その名の通り、DateCoinはカップルを誕生させる「出会い系サービス」のために発行される仮想通貨です。運営するのはロシア企業ですが、サービスもホワイトペーパーも公式サイトも英語版があります。
スマホアプリには遊び相手がほしい10代向き、20代向き、中高年向き、真剣な婚活用、「パパ活」専用、不倫専用、同性専用など、利用者のニーズや〃愛のかたち〃に合わせたさまざまな出会い系サービスが揃っています。もう必要ない人も、必要性を感じない人も、恋人募集中でも出会い系サービスは「うさんくさそう」「怖そう」と敬遠している人も、ダウンロードして実際に利用して相手に出会っている人も、いることでしょう。
ユーザーの立場からみた現状の出会い系サービスの問題点は、次のようなものです。
1 自分の希望に一致するパートナーに出会えるまで手間と時間がかかり、効率が悪い
2 写真が古いか修正している、プロフィールを〃盛っている〃など情報の信頼性が低い
3 なりすまし、偽アカウント、業者アカウント(サクラ)などにだまされる不安がある
4 料金体系が不明瞭で、高額な請求を受けたり、お金をだまし取られる不安がある
5 システムのセキュリティが弱く、ハッキングされて個人情報が漏洩する不安がある
6 個人情報を勝手に流用されて、商品を売りつけられたりしないか不安がある
興味はあっても利用に二の足を踏んでいる人は、こうした懸念を抱いています。このうち6は、最初から悪意を持った業者にひっかかったら仕方ありませんが、それ以外はシステムを改善すれば解決する可能性が高いものです。「パートナー探しの効率が良く、情報の信頼性が確保されていて、料金体系が明確でシステムのセキュリティが高い」のであれば、評価は良くなり、信頼されてユーザーも増えることでしょう。
DateCoinが目指しているのは、仮想通貨ならではのブロックチェーンの技術を使って、そんな〃ユーザーに選ばれる〃出会い系サービスを構築し、展開することです。その名前は「Denim(デニーム)」と言いますが、実はDenimは2015年から、モバイルアプリなどのサービスをリリースしてロシア国内で営業を開始していて、現在80万以上の会員を獲得しています。出会い系サービスに仮想通貨、ブロックチェーンをとり入れるのはこれが世界で初の試みで、「2021年、全世界でユーザー数1,900万人達成」という大きな数値目標を掲げています。
DateCoin(デートコイン)で支払うと利用料が半額になる?
ロシアではすでに営業中の「Denim」ですが、今後はAI(人工知能)をシステムにとり入れ、より効率的な管理体制を築き、ユーザーに対してはよりベストなマッチングを実現できるようにすると、DateCoinのホワイトペーパーではうたっています。システム開発や、グローバルな広告・宣伝、マーケティング、プロモーション活動などにICOで調達した資金を使うとアナウンスしています。
ではDateCoinの保有者は、どんなメリットが受けられるのでしょうか? その最大のものは「DateCoinで支払うと、出会い系サービスDenimが利用料半額で使える」というものです。
現在、Denimの利用料はロシア・ルーブルや米ドルなど法定通貨で支払いができますが、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)のような仮想通貨ではできません。DateCoinは、Denimで初めて利用できる仮想通貨になる予定です。しかも、法定通貨と比べて最大50%オフ(半額)のサービスを行うとホワイトペーパーで公言しています。
半額でも出会い系サービスを使わない人にメリットはありませんが、少なくともDenimでは「実需」が発生します。実需がないか実需が乏しい仮想通貨はレートがなかなか浮上できず低迷を余儀なくされますが、DateCoinはDenimがすでに開発済み、営業中でサービスの実需は確実にあります。しかも利用料半額というインセンティブ(トークン使用の誘引策)を講じていることは、大きなアドバンテージになります。そのためICO評価サイトの「ICO bench」では5点中4.4点という高い評価を得ました。
ふつう、「自社トークンなら利用料半額」のようなディスカウントサービスを行うと、それに引っ張られて法定通貨との交換レートを下げてしまうおそれがありますが、DateCoinはトークンをDenimのアプリ内で販売する際、それと同量のDateCoinを「バーン(焼却)」すると言っています。これは通貨の需要と供給のバランスの供給のほうを減らす策で、半額サービスを続けながらトークンの交換レートを下げずに維持することができます。そんな価格維持政策は、投資家の信頼を獲得する上では重要なことです。
上場直後乱高下したがこれから真価発揮?
DateCoin(デートコイン)はイーサリアムベースのERC20トークンです。総発行量は4億6,600万DTCで、大量購入ボーナスがついて5月30日まで実施されたICOトークンセールでは約65%の3億300万DTCを売り切っています。ビットコインとイーサリアムで購入できましたが、そのレートはイーサリアムでは「1DTC=0.0001875~0.00025ETH(最高約16円)」で、最低購入金額は0.1ETHでした。
ホワイトペーパーによると、今後のロードマップは2018年6月に世界7ヵ国で、7月には日本でもサービスを開始し、年末までにユーザー数が200万人を突破すると見積もっています。ブロックチェーンを完全に統合した次のシステムは2019年3月にリリースし、2019年中に事業継続可能な収益を確保できると言っています。続いてシステムを矢継ぎ早に最適化し、東京五輪の閉会直後の2020年9月になると世界23ヵ国でサービスしてユーザー数は1,200万人を突破。翌2021年にはユーザー数をさらに1,900万人まで伸ばす、というシナリオを描いています。
投資家が気にする上場計画はメイン機能が完成する2018年8月がメドだとしていましたが、前評判の良さを買われてICOトークンセール終了直後の6月1日、「YoBit」という海外の仮想通貨取引所に上場しました。ここではビットコインを使って購入できますが、上場したとたん、いきなりICO価格(1DTC=約16円)の100倍を超える価格をつけ、その日のうちに一時200倍を超えましたが長続きはせず、すぐに値が崩れて6月7日にはICO価格を割り込み1DTC=約12円まで下がりました。
ただしこれは、6月6日にICOで販売されたトークンが一斉に配布されて供給が急増した影響があり、「落ち着いた」と言ったほうが適当でしょう。これからその真価を発揮する時期に入っていくと思われ、お楽しみはこれからです。なお、国内の仮想通貨取引所ではまだ取り扱いがありません。
出会い系サービスの需要と将来性
出会い系サービスは、日本でも欧米でも偏見や誤解にさらされています。「売春の温床だ」と全面禁止を求めている人や団体もいます。しかし〃プロ〃の方とそのお客さんにはそれ専用のマーケットプレイスがあります。出会い系サービスに来て〃ノンプロ〃のふりをして営業したりすると、売上金の回収ができずに逃げられたり、警察に通報されるなど〃事業継続リスク〃が高くなるので、実際にはきちんと棲み分けています。
それでも出会い系サービスには「恋愛はいいが出会い方が問題」「結婚相談所はいいがスマホアプリなんか安易すぎる」「子どもを守れ」などと社会的なキャンペーンを起こされて「悪」のレッテルを貼られるリスクや、国によっては政府が法律を制定して取り締まりに乗り出し摘発されるリスクがあります。民族によって、人によって恋愛観はまちまちです。DateCoinの上場直後の乱高下は、仮想通貨としての評価は良くても、そんなあやういイメージが影響したのかもしれません。
誤解されがちですが、出会い系サービスにはいわゆる「顔面偏差値」に関係なくニーズがあります。この世に人間がいて「愛」がある限り、なくならないビジネスです。高齢化が進んで人口が減少していく日本では需要の先行きに不安がありますが、地球上にはアジアにもアフリカにも中南米にも、コアユーザーになるような若年層の比率が高く、人口の増加が望める国があります。移民の国で人口増が続くアメリカも有望です。需要は底堅く地域によってはまだまだ成長が望めるという意味では、DenimやDateCoinトークンの将来は決して限定的とは言えません。