国内・海外と仮想通貨取引所はたくさんありますがそれぞれの取引所でコインの値段が違っていることにお気づきでしょうか?「できるだけ安く買いたい」「高く売りたい」と考えた場合に、どこで仮想通貨の売買を行うかということは、とても重要になってきます。また、仮想通貨の値段の差を利用して稼ぐ方法というのも存在します。ということで今回は、仮想通貨取引所によってコインの値段が違う理由やコインの値段の差を利用して稼ぐ「アービトラージ」について詳しく解説していきたいと思います!
仮想通貨取引所によって値段が違う2つの理由
仮想通貨の売買を始めたばかりの頃は「まずは大手の取引所で経験を積もう」と思うかもしれません。しかし少しずつ経験を重ね、他にも口座を開設してみると、まったく同じコインなのに、「取引所によって値段が違う」ことに気がつくでしょう。値段が違う理由はどこにあるのでしょうか。
株式の取引をする場合、東京証券取引所に上場している株式を証券会社を通して売買することになりますから、証券会社が違っても売買板は同じということになります。さらに「どの時間帯にどれだけの注文があるか」という点も共通ですから株式の値段はどこの証券会社を利用してもほぼ同じということになるのです。しかし仮想通貨の場合は違います。仮想通貨は東京証券取引所のような「管理者」が存在しません。そのため、場所ごとにコインの値段が違ってくるのです。
仮想通貨というのはそもそも、管理者不在のシステムです。管理者がいない=ユーザー同士が相互に管理し合うシステムということになります。つまり仮想通貨の売買は、管理者を通さずユーザー同士が直接売買を行うという仕組みになっているのです。この場合、取引所は「管理者」ではなく、仮想通貨の売買をしたいというユーザーとユーザーをつなぐ場所・仲介するためのシステムを提供する場所です。そのため、集まるユーザーの需要と供給のバランスによって値段の違いが生まれてくるのです。
値段の高い取引所と安い取引所、どっちを選べばいい?
「できるだけ損はしたくない・少しでも利益を上げたい」と思うのは当然ですよね。では、仮想通貨の値段が高い取引所と安い取引所、どちらを選ぶほうが損をせずに済むのでしょうか。仮想通貨の売買で儲けるためにはまずはできるだけ値段の安いところでコインを購入するのが良いでしょう。各取引所によって売買の値段が異なってくるのが仮想通貨ですから、購入した値段よりも高い値段で売れるところを見つけたら、そこで売却することによって利益を得ることができます。詳しくは後述しますが、この値段の差で儲ける方法を「アービトラージ」と呼んでいます。
仮想通貨の売買である程度の利益を得ていきたいと考えるのであれば、コインの値段が高いか・安いかという観点から取引所を選ぶのではなくスプレッドができる限り小さいところを選ぶという視点を持つことも大切です。スプレッドとは仮想通貨の売却の値段と買取の値段の差のことです。そして、スプレッドは取引所の手数料になります。たいていの場合は、取引手数料は無料~0.2%程度ですが、中にはマイナス手数料という、取引するごとにお金がもらえるというサービスを展開しているところもありますよ。
仮想通貨取引所の価格差を利用したアービトラージとは
仮想通貨は株式などと違い、取引所ごとに値段が違う…ということは、値段の差を利用して利益を出すことも可能になります。それが仮想通貨の値段の差を利用して利益を得る「アービトラージ」と呼ばれる手法です。「アービトラージ」という言葉だけ聞くと、なんだか難しそう、怪しい感じがすると思うかもしれません。アービトラージを簡単に言ってしまえば「仮想通貨の転売による値段の差で儲ける」仕組みです。安く仕入れ⇒高く売るという「せどり」の転売システムと全く同じ考え方ですね。ですからアービトラージは難しくないのです。
たとえば…「取引所Aでは1BTCあたり50万円」「取引所Bでは1BTCあたり55万円」という取引が行われていた場合、取引所Aでビットコインを購入、取引所Bで売却すれば5万円の儲けを得ることができます。アービトラージで儲けようと思うのであれば、複数の取引所を活用していくことが必要です。
そもそも取引量の多いビットコインなどは取引所ごとに大きな値段の差が出ることはあまりありません。しかし、流通量のそれほど多くないアルトコインの場合は話が違ってきます。時には10%近い値段の差が生まれることもあるのです。この10%近い値段の差が生まれた瞬間を逃さずに取引するためには、あらかじめ複数の取引所に口座を持っておかなければいけません。「値段の差が大きい!これはチャンスだ!」と思った時にコインを安く仕入れることができる取引所に口座を持っていなければ、もう完全にアウトです。なぜなら、登録して口座を開設、実際に取引ができるようになるまで本人確認なども含め数日~1週間以上かかることがあるからです。
ですから、せっかくのチャンスを逃さないためにも複数の取引所に口座を持っておくようにしましょう。また、取引所がハッキングの被害に遭う・破たんしてしまうといった可能性もゼロではありませんから、リスクを分散させるという意味でも複数の取引所に口座を開いておくことをおすすめします。
値段だけじゃない!仮想通貨取引所の選び方のポイント
「仮想通貨を安く購入して高く売る」というアービトラージで儲けていこうと思えば確かにコインの値段で取引所を選ぶことは重要です。しかし、値段だけではない様々なポイントがありますので、それらも考慮することが大切です。仮想通貨を安全・安心に売買するためにはまず「信用に値する取引所かどうか」を確認することが大切です。その大きな基準となるのが金融庁から正式に認可を受けた「仮想通貨交換業者」であるかどうか、という点でしょう。仮想通貨は皆さんもご存知の通り、ハッキリとした発行者や管理者が存在しません。そのため厳しい安全管理が求められます。
仮想通貨取引所からNEM(ネム)が流出した事件が起きたこともあり、日本の金融庁は取引所に厳格な基準を設けることを決定しました。金融庁から正式に認められた仮想通貨取引所は「資金決済法」の定義を満たした業者であるということから信頼性の高さは格段にアップします。中には金融庁に申請中という取引所もあります。こうした業者のことを「みなし業者」と呼んで区別していますがユーザーを保護する意味で業務は通常通り行われています。しかし、安全面・確実性を重視するのであれば、金融庁の認可を受けた取引所を選ぶのが良いでしょう。
資本力の大小は、仮想通貨取引所を選ぶ際に見逃せないポイントのひとつです。大きな資金力を持っていれば、それだけセキュリティ対策にお金をかけることができるからです。仮想通貨はバーチャルなお金であり、インターネット上にのみ存在しているものです。そのため金庫で保管しておけば安全という性質のものではありません。ですからできるだけセキュリティを強固にできる可能性が高い資本力のある仮想通貨取引所を選びましょう。
ちなみに、仮想通貨取引所における「資本金1,000万円」というのは、必要最低限の資本金であると覚えておくと良いでしょう。株式やFXなどと違って、仮想通貨は取引所によってコインの値段が変わってくるという特性を持っています。ですから、取引所のユーザーが少ないということは「コインを買いたい人・売りたい人が少ない」つまり流動性が低くスプレッド(値段の差)が大きくなりがちです。
買いたい人も売りたい人も少なく、流動性が低い場合、豊富な資金力を持つ人が一度にたくさんの注文をして仮想通貨の値段の操作ができるようになってしまいます。そこで取引所ではそうした不正が行われないように、手数料(スプレッド)を多めに設定して価格をできるだけ安定させようと働きかけていきます。
一方、ユーザー数が多く取引量も多い取引所であれば流動性が高く取引も成立しやすくスプレッドも小さくなりますからスピーディーかつ有利に取引することができるというわけです。仮想通貨の値段が取引所によって違うように手数料の値段も取引所によって異なります。1回の取引にかかる手数料はそれほど高い金額ではないかもしれませんが、取引する頻度が高い、1日に何度も入出金を繰り返すといった場合には「チリも積もれば山となる」気がついた時にはものすごく手数料がかさんでいたということにもなりかねません。
せっかく仮想通貨の売買によって儲けを出すことに成功しても、手数料のせいで台無しになってしまってはもったいないですよね。ですから、仮想通貨取引所を選ぶ際には手数料の安さもきちんとチェックするようにしましょう。
仮想通貨の値段が違う理由と選び方
仮想通貨取引所によってコインの値段が違う理由やコインの値段の差を利用して稼ぐ「アービトラージ」さらに取引所を選ぶポイントなどについて詳しく解説してきました。今はビットコイン以外の、様々な特徴を持った見どころ満載のアルトコインがたくさん登場しています。中にはまだそれほど注目を浴びていないマイナーなアルトコインも多数存在します。アービトラージで稼ぐにはもってこいと言えるでしょう。
ただ、どんな取引で稼ぐにしても仮想通貨取引所選びは慎重に行う必要があります。安全性や取引量、手数料などを総合的に判断して複数の取引所を上手に利用していくことで賢く利益を積み重ねていけると良いですね。