仮想通貨業界でいまもっとも注目されているのはICOです。ICOとは、企業や組織が仮想通貨を新規に発行して、それを売却することで事業資金を調達する仕組みのことです。そして、仮想通貨の普及とともにうまれたその仕組みに関わる新たな仕事が「ICOコンサルティング」です。この記事ではそんなICOコンサルティングの内容やメリット・デメリットについて紹介します。

ICOコンサルティングとは

ICOコンサルティングとは、ICOを成功させるためのあらゆる手助けをする仕事で、たとえば事前に以下のようなことを決めないといけません。

・どんなトークン(仮想通貨)を発行するのか。総発行枚数はどれくらいか。
・ブロックチェーンを使ってどういうサービスを開発するのか。
・発行したトークンはどうやって使われるのか。価値が上がるための方法はどんなものか。
・ブロックチェーンを使って開発をするメンバーを集める。
・多くの投資家に知ってもらうためにプロモーション活動をする。
・仮想通貨取引所に上場するための下準備をする。

これらはあくまでもICOを行なうために準備しておきたいことの一部です。このなかでも特にICOコンサルティングが大きく貢献するのは、主にプロモーション面です。なぜなら、プロジェクトのことを投資家によく知ってもらうことが必要だからです。どのようなプロジェクトなのか、将来性があるのかをいうことをしっかりと理解してもらえば、そのぶん投資金が集まる可能性が高くなります。要するに、しっかりと資金調達を成功させて、プロジェクトを無事に進ませていくために必要なあらゆることを手助けしてくれるがICOコンサルティングということになります。

ICOコンサルティングの仕事

ここでは、ICOコンサルティングが実際にどういう活動をしているのか細かく解説します。まず、一番大きな役割としては、「ICOで発行されるトークンの価値がしっかりと高まるように設計する」ということです。

ICOは、あらたにトークンを発行して売却することによって資金を調達します。そしてそのトークンを購入する投資家の目的は、将来的に売却することによって利益を得ることです。だから投資家にICOのトークンを購入してもらうためには、「このトークンの価値が将来的に上がる」と思ってもらわないといけません。ICOコンサルティングはこの目的を達成するためにトークンを設計します。

まずはどのような技術を使ってトークンを発行して、どういうサービスで利用されるのかを決めます。特に、投資家はそのプロジェクトに将来性があるのかをしっかりチェックするのでここはとても重要です。なんとなくお金を集めたいだけ、というようなプロジェクトは失敗してしまうのです。

また、ICOのトークンを保有していることによってどのようなメリットが生まれるのかを決めます。たとえば決済に使われるトークンなら、より多くの店舗などで使用できたほうが、価値が高くなります。ほかにも「特定のゲーム内やオンラインカジノ内で利用できる」など、プロジェクトの内容に応じた用途を決めます。

次に、トークンの流通方法を決めます。一般的には仮想通貨は仮想通貨取引所に上場して売買するものなので、仮想通貨取引所への上場を目指してスケジュールを組み、上場のために必要な要件を満たすようにします。ほかにもゲーム内の勝敗によってトークンが受け渡しされるようにするなど、配布されるトークンがしっかりと流通するように仕組みを作ります。このようにトークンがしっかりと使われて価値が高まるように設計するのも大切なコンサルティングの業務といえます。

ICOコンサルティングのもう一つの大きな役割が、ICOのプレゼンとプロモーションです。先に解説したとおり、ICOはより多くの人に知ってもらわないと投資金を集められません。また、ICOの後も多くの人から知られて利用されるようにならないと価値が高くなりません。だから投資家や、その他のユーザーにもICOの存在を広めることが大切なのです。

そのためにまずはホワイトペーパーと呼ばれる事業計画書のようなものを作ります。それからSNSなどを駆使して、多くのユーザーにそのICOのことが目に触れるように宣伝活動を行ないます。ほかにもICOのトークンセールにオトクなサービスをつけたりして、投資家からの注目が集まるようにするのです。

ICOコンサルティングが増えている理由

ICOコンサルティングの仕事を徹底解説ではなぜ最近ICOコンサルティングが増えているのでしょうか。その理由は主に3点あります。

①世界的なICO規制の動き
世界的にICOを法律で規制しようという動きが強まっています。そういう情勢を理解せずにICOを実施すると、法規制によってプロジェクトが頓挫してしまう可能性もあります。ICOの専門家に協力してもらえば、法律による制限を極力回避してICOを実施できるのです。

②あらたに発行されるトークンへの信頼性が増す
最近ではICOがブームになっているため、ICOを実施する企業が増えています。また、ICOを使って詐欺をもくろむ人たちもいます。その結果、ICOで発行されるコインへの信頼性が低くなってしまっているのです。だからこそ投資家に正しくプレゼンをできなければ、ICOは失敗していまいます。そこでプロモーション面でも高い手腕を持っているICOコンサルティングをもとめるプロジェクト増えているのです。

③仮想通貨に関する広告の禁止が増えている
googleやFaceBookなどの大手企業が、それぞれのサービス内での仮想通貨にかかわる広告を禁止しています。つまり、このようなメディアを使った一般的な広告は、ICOでは不可能なのです。そこで独自の手法や人脈を持つICOコンサルティングの需要が高まっています。

このようにICOコンサルティングの必要性が高まった結果として、最近はICOコンサルティングがどんどん増えています。ちなみに日本でも以下のようなICOコンサルティング企業があります。

ICOコンサルティングのメリット

ICOを行なうプロジェクトがICOコンサルティングを利用するメリットは主に以下の3点です。

①ブロックチェーンや仮想通貨に関する知識と経験
②企業経営に関するアドバイスも受けられる
③中長期的な戦略コンサルタントを受けられる

ブロックチェーンを使って革新的な技術を開発できる人でも、プロモーション面や経営面に疎い人がたくさんいます。まずはICOを成功させないといけませんが、それ以降もプロジェクトを成功させるためには経営への深い知識が必要なのです。そしてICOコンサルティングはこのように、プロジェクトの成功に向かってトータルでサポートをします。

ICOコンサルティングのデメリット

一方でICOコンサルティングのデメリットといえるのは、コンサルティング料金が発生するという点です。これはコンサルティングをする以上は仕方がない面でもあります。ただし、何の知識もなくICOにのぞむよりも、知識・経験・技術を備えた専門家の力を借りられればICOが成功する確率は高くなります。

最近高い注目を浴びているICOコンサルティングという仕事について紹介しました。ICOは迅速に莫大な資金を調達出来る手法として広まっていますが、しっかりと計画をたてて実施しないと失敗してしまうものです。そういうことがないようにブロックチェーンや企業経営についての深い知識を持つICOコンサルティングの需要が日々増しているのです。