岡山県西粟倉村(にしあわくらそん)が全国で初めて独自の仮想通貨を手がけるICOを行うと発表された。

ICOはInitial Coin Offeringの略で、企業が資金調達のために投資家たちに資金を募り、独自に発行した仮想通貨を報酬として分配する仕組みとして一般的に認知されている。今回、資金集めを行っているのが企業ではなく、地方自治体の一つの村というのが話題性を呼んだ。日本の小さな地方自治体が地域づくりの手段としてトークンを発行して資金を集めるICOを実施し、財源を確保する事例は日本で初めてとなっている。

西粟倉村は村の面積の約95%を森林に覆われている村です。林業の6次産業化や移住起業支援など地方活性化政策に取り組み移住者や村民により木材など山の恵みを活用した20社近い企業が設立された。

岡山県西粟倉村でICOによる財源確保を実施する方針1990年の総人口1939人のピーク時をめどに年々減少傾向にあり、2018年6月現在1468人となっている。2040年までには人口の「再生産力」を示す20〜39歳の女性人口が「消滅可能性都市」の一つとなっている。

西粟倉村は、民間事業体で構成する一般社団法人西粟倉村トークンエコノミー協会を立ち上げる準備を進めている。この協会が発行予定のNishi Awakura Coin(NAC)は、NAC保有者に投票権が付与され、西粟倉村で事業を推進するローカルベンチャーに投票が可能になる予定である。この取り組みにより、NAC保有者は地域作りに参画することができ、自治体のローカルベンチャーの背中を後押しをする仕組みとなっている。地方自治体がICOを活用するメリットとして、世界中から資金を募ることができるので地方自治体の魅了を全面的に押し出すことができ、魅力を感じた人の移住を促進することができる。西粟倉村では多くの集客を見込めるような経済圏を目指しているということ。2018年4月に設立された一般社団法人日本仮想通貨交換協会などが目指すICOに関する自主規制ルールに則って運営や資金を調達していく方針である。

海外ではこういった自治体の財源確保のための手段としてICOを検討している自治体があり、アメリカのカリフォルニア州バークレー市は資金調達の手段としてICOを検討しており韓国のソウル市では独自の仮想通貨の発行を検討している。

海外でも事例としては少ない状況であるが、日本で初めての試みである地方自治体がICOに踏み切ることは今後の地方の動き方にも影響を及ぼすであろう。