仮想通貨市場の今後について、どのような展開となるのか誰もが気になることだと思います。ここ数年、ビットコインが牽引するように仮想通貨市場は大きく成長を遂げてきましたが、一方で安全面でのリスクに関する問題点がいくつか露見し、価格の乱高下が発生したことで投資商品としての損失リスクも顕在化しました。
このような仮想通貨の魅力的な部分と、リスキーな部分の両面が多くの人の知るところとなった現在だからこそ、今後がどうなるのか期待と不安が入り混じる状況となっています。そこで、今後の展開について現状分析や個別の仮想通貨銘柄などを取り上げながら解説をします。
仮想通貨市場の今後について
2017年という1年は仮想通貨にとって非常に大きな年でした。年明けからのビットコイン含めた市場価格の上昇に加えて、日本国内では4月の「仮想通貨法の施行」もあり、更なる値上がりが起こり、夏場から11月にかけて「ビットコインのフォーク問題」の頃には、世界的な投機的な市場価格の爆上げとなり、世の中の仮想通貨に対する注目が一気に集まりました。
一転して、2018年になると年明けから値下がりへとトレンドがシフトしたこともあり、早くも仮想通貨市場に対する限界感が漂う雰囲気へと変化しており、仮想通貨は一体どうなってしまうのか?と不安に感じる投資家も多いのが現在です。そのなかで、今後の仮想通貨市場がどのようなものになるのかを考えてみたいと思います。
結論から言うと、「仮想通貨市場の成長は、まだ期待ができる」ということです。成長が期待できると考えるポイントは以下の通りです。
●株式や為替FXなど他の投資市場規模に比べるとまだまだ仮想通貨市場の規模が小さい
●決済手段として採用される範囲が拡大していて、通貨としての価値が向上している
●仮想通貨の「フィンテックとしての機能」に対するサービスが拡大していく
2017年までの仮想通貨市場の拡大や値上がりは、あくまでも新興の投資対象としての急激な成長という要素が強くありましたが、ビットコインなどの保有者が増え、決済手段として採用する国家や企業が拡大する動きを受けて、通貨本来の価値が上がりつつあります。
また、「イーサリアム」や「リップル(XRP)」などスマートコントラクトや独自の金融ネットワークを背景に持つ仮想通貨などについては、送金や個人間決済などの新たな金融サービスを今後展開していく予定があり、本当の価値を発揮するのはこれからとなります。
このような仮想通貨に対する通貨価値の向上や金融技術面での将来性と投資市場としてのポテンシャルを考えるとまだまだ成長が期待できる、もしくは本格的な発展はこれからと考えられます。
仮想通貨市場の現在
仮想通貨の市場規模がどのくらいあるのかをご存知でしょうか?日本国内でどのくらいの仮想通貨が保有されているのか、全世界でどれだけの仮想通貨が発行されているのかについては、仮想通貨の性質上正確に把握することが難しいのですが、2017年12月の段階で、国内取引所における仮想通貨の取引高合計は約2,000億円程度、世界全体では約5兆円と言われています。
また、仮想通貨市場全体に対する時価総額については、同じく2017年12月の時点で約70兆円になると試算されており、中でもビットコインの時価総額は30兆円と半分近くを占めています。
ちなみに、この金額がどのような価値を示しているのかを日本を代表するメガカンパニーの時価総額と比較してみると、
1.トヨタ・・・23.5兆円
2.三菱UFJ・・・11.7兆円
3.NTT・・・11.2兆円
日本のトップ企業3社よりもビットコインの時価総額のほうが高いということで、仮想通貨市場の規模と価値というものが、いかに大きなものになりつつあるかが分かるかと思います。
現時点でも十分に大きな経済規模を保有している一方で、その他の投資市場との規模においては以下のような比較ができます。
1.株式市場の世界時価総額・・・7,700兆円
2.金市場の世界時価総額・・・900兆円
3.デリバティブ市場の世界時価総額・・・13京円
現在の投資経済に関するメジャー市場に比べると、仮想通貨市場が非常に小さく、まだまだ成長のポテンシャルがあることが分かると思います。
つまり、一般的に語られるような不安視をする必要はなく、日本のトップ企業を凌ぐ経済規模を保有しているものの、投資経済の世界では今後の成長が期待される新興市場であるという位置づけであることが分かると思います。
今後の成長が期待される仮想通貨とは?
現在、世界中には1,500種類以上の仮想通貨が存在していると言われています。そのなかで最も市場価値を集めている代表的な存在が「ビットコイン(BTC)」になりますが、今後の成長が期待される、いわゆる「アルトコイン」はどのようなものになるのでしょうか?
そこで、今後成長が期待されるアルトコインを6つ解説したいと思います。今後の成長が期待されている6つの通貨は以下の通りです。
●Ripple/リップル(XRP)
●Ethereum/イーサリアム(ETH)
●NEM/ネム(XEM)
●Lisk/リスク(LSK)
●Litecoin/ライトコイン(LTC)
●BitcoinCash/ビットコインキャッシュ(BCH)
それぞれの特徴などを以下で解説をしていきます。
Ripple(リップル/XRP)
リップルは現在、仮想通貨に関する時価総額ランキングで第3位となる通貨になります。リップルについては既に急成長を遂げている銘柄となり、2017年に最も成長をした仮想通貨のひとつになります。
リップルの特徴は、ビットコインにはない決済処理スピードの速さにあり、ビットコインの弱点となっている送金時の遅延などが発生しないのが大きな特徴です。そのために、日本のメガバンクなどが提携をすることで、国際送金などの新たなネットワークを構築するプロジェクトが進んでおり、今後の成長が確実されています。
Ethereum(イーサリアム/ETH)
仮想通貨における時価総額ランキングがビットコインに次ぐ第2位となるのが、この「イーサリアム」です。イーサリアムもビットコインやリップルと同じく、既に急成長をしたことで知名度のある銘柄となり、2015年7月のICO時点では約300円でしたが、現在では40,000円を超える価格となっています。
イーサリアムの特徴は、ビットコインが使用する基本システムである「ブロックチェーン」ではなく「スマートコントラクト」と呼ばれる別のシステムを採用していることにあります。
スマートコントラクトでは、ブロックチェーンでは実装されていない「契約の管理」を行うことができるようになっており、設定された契約条件に従った、契約内容の履行状態に対する確認や管理などを自動で行えることから、不動産売買などの契約物件への採用が可能となっています。
NEM(ネム/XEM)
2015年にリリースされ、昨年の「コインチェック流出問題」でも知られることとなったNEMは、時価総額第4位となる仮想通貨です。
NEMの特徴は、ブロックチェーンの仕組みとしてビットコインなどが採用をする「Proof of Works」ではなく、「Proof of Importance」を採用している点になり、簡単にまとめるとNEMの発展により多く貢献した人に対して報酬が支払われる仕組みとなるため、より多くの取引を行うことが重要しされる仕組みを採用していることです。
Lisk(リスク/LSK)
2016年にリリースされ、現在は時価総額で第18位に位置する仮想通貨がLiskです。2017年6月時点で420円とこれから大きく成長するポテンシャルを秘めているという点で人気がありますが、特徴としては、イーサリアム同様の基本システムを採用していながら、サイドチェーンと呼ばれる機能追加やサービス拡大に対するシステムとしての柔軟性を持っていることになります。
Litecoin(ライトコイン/LTC)
ライトコインは2011年10月に元Google社員が開発した仮想通貨で、歴史的にはビットコインに次ぐ仮想通貨としてリリースされています。
基本的な仕組みに関しては、ビットコインのプログラムをもとに開発がされていることから、基本構造としてはビットコインと大差がないものになります。
BitcoinCash(ビットコインキャッシュ/BCH)
2017年8月にビットコインから分裂(フォーク)して誕生したのがビットコインキャッシュです。ビットコインは、リリース当時の設計上の課題として、ひとつひとつのブロックに記録できるデータ容量が少ないという問題を抱えており、この改善方法でビットコインの運営に関わるグループの間で意見が分かれて、結果的にビットコインキャッシュという別の仮想通貨が誕生しました。
結果として、ビットコインキャッシュはビットコインのブロックサイズが1MBであったのに対して、8MBまで拡大をしており、取引時間の短縮などビットコインが抱えていた問題点を改善されたシステムとなっています。
このように、ひと言で仮想通貨といっても、それぞれが持つシステムの特徴などがあって用途やユーザーが異なるために、どれかひとつに集約されるというイメージではなく、それぞれが独自に発展していくことが予想されます。
現時点ではビットコインが法定通貨と同様の決済手段として店舗での決済などに採用されていますが、今後、送金や不動産契約といったより幅広い経済活動において採用されることが予測され、それに伴ってより多くの投資資金が仮想通貨市場に流入することが予見されます。
短期的な投機から長期的な投資へのシフトが重要
2009年にビットコインの最初の取引が行われてから9年が経過して、ビットコインやイーサリアムに関しては爆発的な価格上昇を引き起こし、現在では仮想通貨に対して短期的に急激な価格上昇が期待できる一種の投機的商品として注目をされている側面があります。
「億り人」と呼ばれるような一瞬にして億単位の投資利益を手にした投資家も、なかには存在しますが、これは10年にも満たない仮想通貨の短い歴史における一瞬の出来事における、一握りの人の話です。
ビットコインに代表される仮想通貨本来の価値は、現在の金融システムが抱えるさまざまな課題や問題点を、IT技術を用いることで解決をして、より安価で、より効率的な金融サービスを、より安全に提供できる点にあります。
これら本来の仮想通貨が提供できる金融サービスの多くは、これから実装されていくことが予定されており、本来の仮想通貨の価値が社会的に発揮されることが今後であることを考えると、これから起こる長期的で緩やかな成長に対する本質的な投資というものが重要となります。