仮想通貨投資が世間に広まるにつれて、悪質な詐欺のニュースを耳にすることが増えてきました。詐欺の被害を防ぐには、まず詐欺の手口を知ることが重要です。この記事では実際にあった事件から詐欺の手口をピックアップして、詐欺に対処する方法をご紹介していきます。
仮想通貨の詐欺で逮捕者が出た事件3選
リップルトレードジャパン破綻詐欺
リップルの取引仲人会社「リップルトレードジャパン」の代表が「IOU(電子借用証書)」詐欺で逮捕された事件。2015年3月、リップルトレードジャパンは事実上の倒産となり、払い戻しの見込みがないにも関わらず顧客との取引を続けて、全国の顧客40人以上から計約1,700万円の現金をだまし取りました。
仮想通貨1.9億円搾取詐欺
仮想通貨取引において取引所を介さず、個人間での取引を装って現金をだましとった事件。2016年7月、容疑者が会社社長40代男性にビットコインと現金2億円の交換を持ち掛け、約1.9億円のビットコインを仮想通貨口座に送らせて詐取し、交換業者に送って現金約1億7400万円と交換するという手口でした。取引はホテルの一室で行われ、「相対取引は税務署にバレない」と説明し、現金2億円分のニセ札を用意しています。詐欺に関わった7人が逮捕されています。
ウクライナ仮想通貨詐欺
ウクライナで6つの仮想通貨サイトを詐欺目的で運営していた容疑者4人が逮捕された事件。容疑者は合法の仮想通貨サイトに似せたサイトを作り、偽造されたデジタルウォレットに仮想通貨を送るよう利用者に促していました。複数の通貨を取り扱い、独自のシステムを作り上げていて、架空のレビューまである手の混みようでした。容疑者は、ある程度の資金を手に入れるとサイトを閉鎖し、次のサイトを作成し犯行を繰り返していました。
詐欺の疑いがある代表的な仮想通貨
ノアコイン
「フィリピンの貧困問題」を解決するために「フィリピン政府公認の国家プロジェクト」と発表しICOを行なったプロジェクトです。プレセールは日本とフィリピン限定で行われました。フィリピン大使館から「ノアコインとは提携していない」と声明が発表されたことを受けて、ノアコインは詐欺だと疑われるようになります。これを受けて運営は、希望者に返金対応を行いました。ノアコインは2018年3月にHitBTCに上場しており、プレセールの約6.5倍に価値を記録しています。
クローバーコイン
48ホールディングスが発行している仮想通貨です。クローバーコイン購入額の20%をリップルで受け取ることができ、将来的な価格上昇で二重に利益が取れるシステムとなっています。しかし実際にリップルの還元は行われていません。そしてクローバーコインを紹介すると、紹介された人が購入したクローバーコインの60%が紹介者にもらえる仕組みです。現在はクローバーコインの販売は停止され、予定されていた上場も中止となっています。48ホールディングスは解約や返金に対応をすると発表していますが、口座が凍結されていることを理由に実施されていません。
トゥルーライフコイン(TLC)
スパークル株式会社が発行している仮想通貨です。TLCかスパークルの商品を紹介することで、紹介者に55%の紹介報酬が払われるシステムを採用しています。TLCは購入すると「儲かる」「人生が変わる」という点ばかり強調されており、ホワイトペーパーやロードマップが発表されていないので、具体的なプロジェクトの内容がわかりません。2016年から取引所に上場すると言われていましたが、現在も上場されておらず、スパークルの公式ページでしか購入できなくなっています。
ディールコイン
アラブの中東の10か国が「仮想通貨で原油取引を行う」ことを目的に作られた仮想通貨です。実際は取引に必要なブロックチェーンを使っておらず、ただのHTMLデータだと判明しています。投資金額の1/3分しか購入できず、さらにディールコインは代理人を通して購入しなければならないところが「詐欺ではないか」と疑われていました。さらに2016年4月から法定通貨と交換できると発表していましたが、延期を繰り返し未だに実現していません。現在は公式サイトが閉鎖し、運営チームとは連絡が取れなくなっています。
仮想通貨の詐欺のよくある手口
代表的な事例として「ICO詐欺」と「フィッシング詐欺」を紹介します。2事例とも仮想通貨ではよく見られる詐欺の手口です。どのような詐欺なのか概要を知ることで被害を防ぎましょう。
まずICO(新規仮想通貨公開)詐欺です。プロジェクトの資金調達を目的とするICOですが、詐欺目的で使われることがあります。ICOではビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨を投資する代わりに、プロジェクトが発行する仮想通貨を受け取ります。ICO詐欺は、運営が集めた資金を持って失踪したり、取引所やウォレットのパスワードを入力させ資産を盗んだりします。ICOにおいて、高配当や価格保証、セミナー勧誘、紹介制度、限定販売がある場合、詐欺である可能性が高いです。
次にフィッシング詐欺です。本物の取引所を装ってメールを送信し、アカウント情報の変更などを理由にIDやパスワードの入力を求めてきます。本物そっくりな偽サイトに利用者を誘導し、入力した情報を盗む手口もあります。2段階認証を入力してもログインができない場合は、フィッシング詐欺である可能性が高いです。フィッシング詐欺は、本物とは微妙にメールアドレスやURLを変えているパターンが多く、意識して疑わないとまず気付きません。
危険な仮想通貨の見分け方
価格が確実に上がる
高配当で不労所得
元本保証あり
高額な最低購入金額を設定している
MLM報酬(紹介制度)がある
セミナーや友人を介して勧誘
LINEやtwitterなどのSNSでの勧誘
代理店のみの販売
日本だけの限定販売
web広告によく出てくる
有名人の名前や写真を出してくる
まず「価格保証」がある案件は詐欺です。金融商品に対する価格保証は、証券取引法違反となっています。仮想通貨は法整備が整っていないので違法ではありませんが、このような手口で資産を狙われます。相場は流動性があるものなので、価格を保証できません。
「確実に価格が○倍になる」と高配当を売り文句とする「HYIP(ハイプ)」も注意してください。「High Yield Investment Program」のイニシャルの略で「高配当投資プログラム」と訳されます。「日利で数%の高配当」「不労所得が得られる」と儲かりそうな言葉を並べて、投資家を誘ってきます。ほとんどが仮想通貨を第三者に紹介することで、紹介者は配当がもらえるというマルチ商法を組み合わせた詐欺です。
次にセミナー勧誘がある仮想通貨も危険です。周りの雰囲気に飲み込ませることで、冷静な判断をできなくさせるのが狙いです。セミナー勧誘者には紹介料がもらえるようになっていて元締めが儲かるように作られています。あなたを儲けさせたいからではありませんので注意してください。
他に列挙した項目も、仮想通貨詐欺でよくある手口なので覚えておきましょう。
仮想通貨で詐欺に遭わないための対処方法
前項のような仮想通貨の詐欺の手口を知ることが重要です。詐欺師は巧妙な手口であなたをだまそうとしてきます。できすぎた話は「詐欺ではないか?」と疑うようにしましょう。
仮想通貨投資をするときは、金融庁公認の取引所だけを使用するのも有効な手段です。できれば取引所専用のメールアドレスを作り、パスワードも取引所ごとに違うものにしましょう。さらにフィッシング詐欺を防ぐために、ブックマークしたURLからログインすることで被害を防げます。
フィッシング詐欺はwebページの「広告部分」に掲載されることがあります。GoogleやYahooなどの検索エンジンから検索してログインすると、偽サイトに飛ばされることがあるので注意してください。よく使うサイトはブックマークして利用することで、フィッシング詐欺を防げます。
仮想通貨の詐欺に遭わないためには「自分の身は自分で守る」姿勢が重要です。常に最新の情報をチェックし、日頃からセキュリティを高めていきましょう。